古く美しいお家はリノベーションで楽しむ!イタリアで最も美しいコルチアーノ村~定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家 vol.2

世界の人びとの暮らしと日常を体験するため、現地の家庭で暮らすように旅している、定住旅行家のERIKOです。
お家は一見小さな家族が暮らす世界ですが、その暮らしやインテリア、家の構造などから、そのお国柄や価値観、自然環境が見えてくるものです。

前回は南イタリアのマッセリーアのご紹介をしました。
今回ご紹介するお家は、イタリア中部に位置するウンブリア州ペルージャ県にある人口2万人の小さな基礎自治体、コルチアーノ村にあります。コルチアーノは、「イタリアの最も美しい村」に加盟されている村で、城壁内は中世の美しい街並みが残っており、その中で現代の暮らしが営まれています。

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親子2世帯で暮らす、ロマーニ家


ロマーニ家は、コルチアーノの城壁とオリーブ畑が見渡せる場所にあります。お家は立派な一軒家で、親子2世帯が暮らしています。ロマーニ家は、分離型の2世帯住宅で、娘さん家族とエントランスを共有して生活をしています。イタリアでは結婚して、嫁が夫の家族の家へ嫁ぐという習慣は今はほとんど残っていません。

1階には私が滞在させてもらったロマーニ家が暮らし、2階には彼らの娘さん家族が暮らしています。近所では、オーガニック養蜂や、オリーブなど、ウンブリア州ならではの農業などに従事する人が暮らしています。

イタリアの家に着いてすぐ私が練習することがあります。それは、鍵の開け閉め。
不思議に感じる方もいると思いますが、イタリアの鍵穴は特徴的で、日本のように鍵を回せば簡単に開くタイプではないのです。鍵を差し込んだあと2、3度ひねってやっと開きます。
そのコツが掴めるまでは何度もくるくる回して空回りしたり、結局開けられずに家の外から家族に電話をかけて開けてもらうこともしばしばありました。


気になる内装は…


ロマーニ家は夫のガブリエラさんと、奥さんのディーナさんの2人暮らしですが、2階に住んでいるお孫さん2人は、娘さんが仕事に出ている間は彼らの家で過ごしています。


リビング。お客さんが多い時は、ここで食事したりもします。いつもは猫ちゃんが常駐。


こちらが私が使わせてもらっていた、ゲストルーム。バスルーム付きです。
イタリアのほとんどの家はカーテンではなく、シャッターカーテンが使われていて、日中は日差しが入ってくるのでずっと締め切って、熱風を部屋へ入れないようにします。シャッターを閉めると部屋の中は暗くなってしまうので、外は晴れているのに電気をつけるというもったいない状況が発生してしまいます。
しかし、エアコンの無い室内では熱風は大敵なのです。


イタリア人の聖地、キッチン。広々とした台は、パスタをこねたりするためのスペースです。
また、ハムをスライスする機械やトマトを絞るための機械などたくさんの調理器具を収納する場所が多くあります。夏の時期は果物が豊富に収穫できる時期。滞在中はマンマと一緒にのイチジクでジャムをたくさん作りました。


庭では家庭菜園をしていて、トマトや野菜などがたくさんとれます。また、バーベキュー用のグリルもついています。


プール。エアコンの無い真夏のイタリアには欠かせない存在です。近所の人たちも集まって、みんなで暑さをしのぎます。

ロマーニ夫婦は、外国人をホームステイさせたり、家に招いたりと交流するのが大好き!1年中、どこかの国のお客さんが来ているため、ゲストルームに加え、近所にB&B(ちょっとした宿泊施設)も所有しています。
また、コルチアーノ村にはホテルが1つもありません。そのためか、多くの家庭にはゲストルームがいくつも完備されていて、外国人が村へ訪れた場合、村人が話し合って空いているゲストルームをB&Bのように宿泊させたりしています。

さて、ここまでロマーニ家のお宅の内装をご紹介しました。今回、コルチアーノ村の城壁の中にあるお家にお招き頂く機会があり、そのお家も素敵だったのでご紹介したいと思います。


1500年の歴史を持つ家


私がステイさせてもらったロマーニ家のお家は50年前くらいに建てられた新しいものですが、中世の街並みが保たれているコルチアーノ村には、昔の古いお家が数多く残っており、リフォームと修理を繰り返しながらも、人びとは暮らしを営んでいます。
こちらは、1500年以上前に建てられた家に住むパリラーニさんご夫妻。レンガと石、木材で造られたお家で、1979年に芸術家だったひいお爺ちゃんが購入したのだそう。


家の中に入るとすぐ飛び込んでくるのは、大きな丸い石。ここにはもともと、オリーブオイル農家の家族が暮らしていたそうで、この石は、オリーブをすり潰すための機械だそう。
今では家を象徴するアンティーク家具のような存在になっています。


奥さんのアントネッラ・パルラーニさんはアーティストで、絵を描いたり、“Kimono”と呼ばれる日本のエッセンスが入った作品を創作しています。
村にはお店も一軒構えており、外国人向けのレッスンを行ったりもしているそうです。

コルチアーノ村のお家はほとんど日光が当たらない構造から、家の中はとてもひんやりとしていて過ごしやすく、扇風機もいらないほど。日本では日当たりの良さが家を選ぶ際の基準のなかで大切なことの一つと考えられていますが、イタリアでは部屋の中に日光がどれだけ入らないかが意識された構造となっているのです。

コルチアーノ村のお家を紹介しましたが、イタリアの多くの建物は古いものが多く、エアコンの取り付けなどがなかなかできなかったりするので、時には現在の生活に合わない点も。しかし、それでも歴史を感じられる街並みや家の中にいることは、伝統や文化を意識させる心を育んでくれる環境であると思います。


ERIKO

モデル・定住旅行家 モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。
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この記事を書いた人

定住旅行家 ERIKO

モデル・定住旅行家
モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。