「リバースモーゲージ」とは? メリット・デメリットを解説

2022.05.20 逆瀬川 勇造
老後は何かとお金がかかるものです。「老後2,000万円問題」などで老後資金の不足について報道されることも多くなり、老後資金に不安を抱えている方も多いでしょう。

そんな老後資金の問題の解決策として注目されているのが「リバースモーゲージ」です。

とはいえ、リバースモーゲージがどんなものなのかよく分からないという方も多いものです。


この記事では、リバースモーゲージの仕組みとメリット・デメリットを分かりやすく解説していきます。


「リバースモーゲージ型住宅ローン」の概要と仕組み


リバースモーゲージとは、金融機関が提供するシニア向けのローンのことをいいます。

ローンと言っても住宅ローンなどの一般的なローンとは大きく異なっており、老後資金のサポートとして注目を集めているのです。リバースモーゲージの特徴には、次の3つがあります。

  • 自宅を担保に融資を受けることができる
  • 元金は相続時に一括返済+生前の支払いは利息のみ
  • 推定相続人の同意が必要

それぞれ見ていきましょう。

自宅を担保に融資を受けることができる


リバースモーゲージは、自宅を担保にして老後資金の融資を受ける方法です。

融資後も自宅に住み続けられ、老後の生活費としてまとまったお金を得ることができます。融資の受け方も金融機関によって異なり、一括で受け取るだけでなく年金のように毎月一定額を受け取るタイプなどもあるのです。

また、高齢者向けローンとあるように、利用できる年齢も高齢者に限られています。金融機関によって異なりますが、一般的には60歳から80歳前後の方が対象となります。

元金は相続時に一括返済+生前の支払いは利息のみ


自宅を担保に融資を受けるという点では住宅ローンと同じです。しかし、リバースモーゲージは返済の仕組みが住宅ローンと大きく異なるのです。

住宅ローンは、融資額を一括で受け取りそれを毎月分割で返済していきます。 対して、リバースモーゲージは契約者が死亡した後に、担保の不動産の売却か相続人による現金一括で返済する仕組みです。利息分のみを生前中に毎月返済していきます。

月々の返済は利息分だけと生前中の返済の負担が少ないため、老後生活のサポートとして高齢者から注目を集めているのです。

推定相続人の同意が必要


リバースモーゲージの契約は推定相続人の同意が必要な金融機関が多い点には、注意が必要です。

リバースモーゲージの借入金は、亡くなった後に自宅を売却して返済するため、家を相続財産として残せません。そのため、相続人の同意を得ておく必要があるのです。


リバースモーゲージのメリット


ここでは、リバースモーゲージのメリットについて見ていきましょう。メリットとしては、次の3つが挙げられます。

  • ローンと比べて月々の支出を抑えやすい
  • 住み慣れた家に住み続けることができる
  • 高齢でも資金調達できる

ローンと比べて月々の支出を抑えやすい


リバースモーゲージでは毎月の返済が利息分だけのため、毎月の支出を大きく抑えることが可能です。

住宅ローンが残っている場合でも、リバースモーゲージに借り換えることで、毎月の返済が「元本+金利」から「金利」のみとなり負担を大きく軽減できるでしょう。

住み慣れた家に住み続けることができる


老後資金の確保のために自宅を売却するケースも珍しくありません。しかし、リバースモーゲージなら自宅を担保にしてそのまま住み続けることが可能です。

売却せずに資金を調達でき、住み慣れた家を手放さずに済むのは、老後生活の大きなメリットといえるでしょう。

高齢でも資金調達できる


高齢になると資金調達しようにもその方法はかなり限られてしまいます。一般的なローンでの借入は難しくなるのが現実です。

しかし、リバースモーゲージは高齢者向けローンであり、借入年齢の上限も80歳前後と上限が緩やかに設定してあります。完済時の年齢制限も基本的に設定されていないため、高齢者でも利用しやすい仕組みとなっているのです。


リバースモーゲージのデメリット


リバースモーゲージにはデメリットもあるため、安易に利用を決めることはオススメできません。高額な資金を借り入れるため老後の生活に関わる重要な契約でもあるのです。

そのため、メリット・デメリットを理解したうえで、慎重に利用を検討しなければなりません。デメリットとしては、次のようなことがあります。

  • 対象不動産に制約がある
  • 金利変動リスクや価値下落リスクがある
  • 長生きするほど融資限度額まで資金を使い切ってしまいやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

対象不動産に制約がある


担保にできる不動産には制限があり、どんな不動産でも借入できるわけではありません。

基本的には、戸建て住宅が対象となるため、マンションでは借入できないケースが多い点には注意が必要です。戸建てであっても資産価値の低い不動産や所在地域によって借入できない可能性があります。

また、借入できる額も不動産の評価によって異なります。基本的には、担保評価額の50~70%程が上限となるのが一般的です。

仮に別の住まいでもよいのであれば、その時点で売却したほうが調達できる資金が高額になる場合もあるため、老後に必要な生活費を考慮したうえで判断することをオススメします。

金利変動リスクや価値下落リスクがある


一般的にリバースモーゲージは変動金利が適用されます。変動金利タイプの場合、金利が上昇することで毎月の返済額が増加する点には注意が必要です。

また、担保に設定している自宅の評価額が下落すると、借入できる限度額が下げられる可能性があります。不動産の評価は定期的に見直されるため、評価額が大きく下がると、借入総額が限度額を上回ってしまう場合があるのです。

その場合は、超過分の返済が必要になり、月々の利息に超過分の返済額が追加されてしまいます。

さらに、価値が下がってしまうことで、自宅を売却しても完済できずに、残債を相続人が自己資金で返済しなければならなくなる点にも注意が必要です。

長生きするほど融資限度額まで資金を使い切ってしまいやすい


生存中に、借入総額が限度額まで達するとそれ以降の借入はできません。長生きすることは喜ばしいことですが、生きている間は生活費が必要です。また、契約によっては死亡時ではなく契約期間が定められているケースもあり、長生きして契約期間を超えてしまうと、一括返済しなければなりません。

融資を得られない場合は、生活に支障が出るでしょう。また、高齢になって融資の一括返済を求められると、自宅を売却したうえで借金を背負うなどのリスクがあるものです。

できるだけ長生きしてセカンドライフを充実させるのが理想ですが、リバースモーゲージを考える上では注意が必要な点です。


充実した老後生活のために……リバースモーゲージの理解が必要


リバースモーゲージの基本やメリット・デメリットについてお伝えしました。

自宅を担保に融資を受けられるリバースモーゲージは、老後資金調達方法として有効です。毎月の返済は金利だけで元本は死亡後に物件を売却して返済するため、月々の負担を抑えつつ老後資金を確保できます。

ただし、リバースモーゲージには、金利上昇や価値下落のリスク、融資が必要な期間には注意が必要です。

充実した老後生活を送るためにも、リバースモーゲージについてよく理解したうえで慎重に検討することをオススメします。


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この記事を書いた人

逆瀬川 勇造

宅建士・FP2級技能士(AFP)
不動産に強いFP事務所「合同会社7pockets」代表。金融機関と住宅会社に勤務した経験から、家を建てる方がつまずきやすい問題について、実際に担当した経験など交えながら解説。金融・住宅・不動産関連を中心にコラム執筆・監修など行う。