タイの家は1階がフリースペース!~世界の家 vol.4

2017.10.15 高坂類

四国・愛媛から全世界に家づくり情報をお届け! ieny地域ライター高坂類です。

世界の家」シリーズ第4弾、本日は「タイの家」をご紹介します!


はじめに 〜木村さんファミリーのご紹介

(高級デパート「サイアムパラゴン」の入り口。右の大きな肖像はタイの新国王。)

(木村さんと妻のプーさん)

まずは今回、お話をうかがう木村さんファミリーをご紹介。
日本人の夫・木村孝さんと、タイ人の妻・プーさんのご夫婦は、3歳の息子さんと日本で暮らしています。

木村さんは愛媛県で「木村孝写真事務所」を構えるフリーのフォトグラファー、プーさんは同じく愛媛県で本格タイ料理のお店「POO KITCHEN」を今年オープンしました。
お話は夫の木村さんからお伺いします。

先日も、仕事を兼ねてタイに帰省してきたという木村さんファミリー。タイの家について教えてください!


タイの家は1階がフリースペース!

高坂「木村さん、本日はよろしくお願いします! タイの家にはどんな特徴がありますか? 日本人から見て驚いたことなどを教えてください!」

木村さん「よろしくお願いします!
まず、タイの伝統的な住居の大きな特徴は、高式で、1階が共用スペースということです。現代では都市化によって住宅事情は変わってきていますが、1階が共用スペースであるという家への考え方は、基本的に変わっていないようです。」


木村さん「共用スペースの1階には、家族だけでなく近所の人や友人たちも自由に入ってきて食事や歓談をします。タイは日中とても暑いので、何もできないほど暑い時間帯は家の中でいちばん涼しい1階で休憩します。そういう時、知らない近所の人も1階にある椅子に座ったり長椅子に寝転んだりして休んでいます(笑)。」

高坂「えっ、知らない人も!」

木村さん「そうなんですよ。そのあたり不思議な感覚で。タイで近所をバイクで走っていた時、突然『そこまで乗せてくれ』って知らないおじさんに当然のように話しかけられて、そんな距離感で言ってくるなら奥さんの親戚か知り合いかな?と思って乗せたんですけど、後から他人だとわかったり(笑)。」

高坂「そうなんですね! 不思議なフレンドリーさ。」


賃貸は、上下の階をタテに借りる!


木村さん「驚いたのは、1階が共用スペースであるという考え方から、家には1階が必ず必要なようなのです。
たとえば3階建てのアパートやマンションで、日本なら必要な1部屋を借りますよね。もし複数の部屋が必要な場合も、同じ階の部屋を複数借りるか、1フロアで借りることが多いと思います。でもタイでは、1階から最上階までをタテに借りたり買ったりするんです。」

高坂「へえ〜!! 」

木村さん「1階は先ほども話したように誰でも入れるスペースなので、住むのは2階以上です。だいたい3、4階建てが多いでしょうか。上の階に行くほど家族の年齢が若くなり、空き部屋は親族向けの貸し部屋にしている家も多いです。僕の妻も、親戚の家の空き部屋を借りて住んでいたことがありました。
それからタイでは商売をするのも日本と違って営業許可などが不要でとても自由なので、1階をお店にしている家も多いです。イメージとしては日本の長屋が近いですね。ただ、この“タテに借りる”という特徴はタイの都市部の賃貸物件の話で、田舎の家や“○○village”などと呼ばれる高級住宅街は戸建てが多いです。でも、1階が共用スペースなのは同じですね。」

高坂「全然、日本と違いますね。シェアハウスやゲストハウスみたいです!」

木村さん「そうなんですよ。僕が仕事でよく使うタイのホテルも、タイの家の特徴がよく表れているので紹介します。」


ゲストハウスのようなタイのホテル



木村さん「タイのバンコクには仕事で行くことが多いのですが、よく利用している「バーン クン ナイン ワン ドーム(Baan Khun Nine Wang Doem)」というホテルが、タイらしいつくりです。1階には椅子や、横になって休める長椅子があり、日本のホテルのロビーやラウンジよりも自由にくつろげるスペースになっています。ゲストハウスに近いですね。」

高坂「素敵なホテルですね!」



木村さん「この寝室のように床がタイルになっているのも、暑いタイの家の特徴です。ひんやり冷たくて、涼しく過ごせます。タイの家には日本の家のような玄関がないので、靴で入ることも想定しているんでしょうね。」

高坂「寝室の床がタイルって、びっくりしました(笑)。暑いタイならではですね。」

木村さん「ここのホテルはタイらしさを感じられる上、内装のセンスもサービスもよく、臨機応変に対応してくれてとても気に入っています!今回、タイの家の特徴を改めて考えてみて、このホテルが思い浮かんだので紹介しました!」


まとめ 〜日本人の夫に聞く!タイの家はどうですか?


(タイのカラフルなタクシー、トゥクトゥク。)

(タイのフルーツたち。左の毛むくじゃらがランブータン、紫色で固い皮のマンゴスチン、後ろにあるベージュの丸っこいのがロンゴン。)

高坂「日本人の木村さんから見て、タイの家はどうですか?」

木村さん「タイは全体的にとても自由な雰囲気で、住居にもそれが現れていると感じます。今回は残念ながら写真が準備できなかったのですが、妻の祖母宅は1階が共用スペースになっている典型的な家なんです。そちらを訪ねて滞在している時も、1階には本当に誰でも入ってくるので最初は驚きました!
暑い国なので、昼間はみんなで涼をとってゆっくりしようよ、というスペースが古来から必要だったんでしょうね。それから1階でものを売るのがすごく気軽で、とりあえず1階に置いて売ろうか。って、すぐなります(笑)。でも、そういう自由さ、僕は好きです!」

高坂「タイ、楽しそう...。行ってみたくなりました。私は、賃貸物件をタテに全階借りるというのが一番の驚きでした!! 1階が解放されたスペースというのは、南国ならではのオープンな気質が感じられますね。

木村さん、ありがとうございました!」

世界の家シリーズ、次回は第5弾「中国の家」に続きます。


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この記事を書いた人

高坂類

ライター
1983年新潟県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。 四国・愛媛県 新居浜市(にいはまし)に拠点を置くデザイン事務所 hink DESIGN(ヒンクデザイン)代表。 広告デザインとWeb制作を中心に、ライター、ラジオパーソナリティ、モデル、司会等、四国の生活をより楽しくしようと 幅広く活動しています。 四国の魅力発信プロジェクト「しこくらいふ」主宰。 激辛グルメサークル「にいはまスパイスガールズ」主宰。