大都市テヘランのお家とお正月~定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家 vol.14

2019.01.07
世界中で現地の家に滞在し、その国の文化や暮らしを体験して発信している、モデル・定住旅行家のERIKOがお届けする、”定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家”シリーズ。

今回は以前にもご紹介した、中東のイランからです。
砂漠のイメージが強いイランですが、イラン国内の面積は日本の約4倍。国内でも地域によって気候や生活習慣、家の作りも随分異なります。
今回は、イランの首都テヘランのお家をご紹介します。

テヘランはイラン高原北西部の標高1,200mに位置する大都市です。イラン最高峰のダマバンド山があるアルボルズ山脈が北部にそびえています。
1月頃のイランの気候はとても寒く、10℃以下の日々が続き、雪も積もります。約1300万人が暮らす世界有数の大都市圏テヘラン。
日本へ戻って来ると、東京が小さく、人が少なく、静かに感じるほどです。テヘランは昔避暑地として栄えていましたが、現在はイラン経済・文化の中心地となっています。

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大切なのは広々としたリビング!


テヘランに暮らす人たちの多くは、マンションで生活しています。

私が滞在させてもらった、テヘラン市内に家族3人で暮らす、エマミさん一家のご自宅を紹介したいと思います。

イランでは日本と同じように、家に入る時に靴を脱ぐ習慣があります。脱いだ靴は玄関の外にある靴箱に収納します。


イランの家の最大の特徴とも言える、広々としたリビング。家族や親戚を家に招く習慣の多いイラン人にとって、家の中で最も大切な空間です。
ベッドルームやキッチン、バスルームと比較するとバランスが悪いと感じてしまうほど、リビングの面積はかなり広くとってあります。

リビングには必ずペルシャ絨毯がひかれています。お客さんが来た時には、この上で食事をとったり、また食事の後はみんなで布団を引いて雑魚寝をします。
初めて食事会に呼ばれたときに、食事が終わった後、布団と枕が並べられ、「どうぞ寝てください」と言われた時は驚きましたが、たくさん食べた後に眠るのは気持ちがいいものです。


こちらはキッチン。収納の中にはイラン料理に使われるたくさんのスパイスが保存されています。


イランのどの家庭にもある、家電たち。お米が主食のイランでは炊飯器は必須のアイテムです。
そして、2段型のポットは紅茶をよく飲むイラン人にとってはなくてならないもの。下の段でお湯が沸かせ、上段の紅茶を温めることができます。

家の中にはトイレが2カ所あります。一つはバスルームと兼用の洋式のトイレ。トイレットペーパの代わりに水を利用します。
もう一つのトイレは和式。イラン人は洋式よりも和式を好む傾向があり、家族も和式を多く利用していました。


こちらは家のあちこちにある空気穴。夏場には、水を冷やして冷たい風を送り込む機械を使って、家中を冷やすのだそうです。

家選びをする時に大切なポイントをエマミさんに伺いました。

「家を選ぶ時に重要なのは、まず築年数です。イランは日本と同じように地震が頻繁にある国ですので、耐震性なども考えてあまり古い物件は避けるようにします。その次に大切なのは、近所の人です。同じマンションに住む人が常識がある人か、ちゃんとした仕事についているか、近所づきあいがきちんとできる人かは、入居前に必ず確認します」


イランのお正月

日本ではお正月を迎えましたが、実はイランにもお正月が存在しています。毎年日本の春分の日に当たる3月21日がイランの元旦です。
新年は、毎年政府によって発表される、太陽が春分点を通過する正確な時刻によって割り出されます。ですので、日本のように日付が変わったらお正月を迎えるわけではなく、毎年時間が異なります。
私が滞在した2018年では、19時45分28秒に新年を迎えました。

ペルシャ語でお正月は、ノールーズ(ノー=新しい、ルーズ=日)と言います。日本人がお正月を大切にし、家族で過ごすように、イラン人にとっても1年で一番大切で、気持ちを切り替えたり、新しいことを始めるきっかけとなる行事。
このノールーズが始まる前には、師走のようにお正月を迎える準備などで怒涛の日々を送ります。1年で一番忙しく、また出費がかさむ時期です。

まず、家の大掃除。絨毯や家具を買い替え、配置を変えたり、ガレージから家の隅々まで綺麗にします。


お正月を迎えるためのインテリアも欠かせません。イランでは伝統的に”ハフトシン”と言って、ペルシャ語のSで始めるものをお供えする習慣があり、Sib(リンゴ)、 Sir(ニンニク)、Sekke(貨幣)、Serke(酢)、Sabzi(草)などに加えて、コーランや金魚、卵などの縁起のいいとされるものも一緒に飾ります。

飾りは明るくてカラフルなデコレーション。家の中も一気に賑やかになります。
そして、ノールーズの直前の火曜日には、無病息災を願うため、焚き火の上を乗り越る”チャハールシャンべ・スーリー”という儀式が街のあちこちで行われます。
お正月を迎えると、子どもたちはお年玉やプレゼントを大人からもらいます。そして、連日親戚周りをして、各家庭が広いリビングに大勢の家族や親戚を迎え入れて、一緒に新年を祝います。

イランのお正月の習慣は、日本のお正月と共通しているところがあります。
両国でお正月は気持ちを切り替えるタイミングであり、それと同時に暮らしの基本となる家の中も見直すいいきっかけとなる時期ですね。

ERIKO 
モデル・定住旅行家 モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。
WEB : http://chikyunokurashi.com
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