サウナは自宅のおもてなしの場~北欧フィンランドのお家と暮らし1

2019.03.27
カラフルな雑貨に食たち。森を連想させる優しい色使いの家具――。
近年、そのアイテムたちだけでなく、ライフスタイルにも注目されているフィンランド。そんな、憧れてしまうフィンランドの暮らしを少しのぞいてみませんか?

フィンランド在住のライター・こばやし あやなさんに、フィンランドの暮らしをご紹介していただきます。今回は、好きな人も多いであろう『サウナ』について。
フィンランドでは各お家に1つずつ、なんて話も聞いたことがありますが、実際はどうなのでしょうか?


サウナは生活空間の一部

自宅サウナは、更衣室とシャワー室の奥に設置されている
フィンランドが、日本でも入浴施設などでおなじみの「サウナ」の本場の国であることは、近年とくに知られるようになってきました。
フィンランド人にとってのサウナ浴は、日本人にとってのお風呂そのもの。少なくとも週に何回かはサウナに入らないと身体がきれいになった気がしない、十分にリフレッシュできない……そんな心地になってしまう「日常習慣」なのです。

マンションベランダでも一目気にせずクールダウンしている人は多い
だから、サウナは公共スパ施設や湖畔のサマーコテージだけにある特別な場所ではなく、一般家にも当たり前に存在し、生活空間の一部としてごく日常的に利用されています。
一戸建ての家には、シャワールームの奥にファミリーサイズのサウナ室がついていますし、田舎地方の敷地の大きな家では、母屋のそばにもう一件ゲストルーム付きのサウナ小屋を有している家庭も少なくありません。
また賃貸アパートや学生寮であっても、世帯ごとに小さめの個室サウナがあるか、棟内にアパートの住人たちが利用時間を決めてシェアする共同サウナがついています。


サウナは歓迎と友好を表す“おもてなし”

マイホームにサウナを持っている家庭では、ファミリーが日常的にリフレッシュ目的に利用するだけでなく、サウナをおもてなしの空間としても活用するのがフィンランド人ならでは。

ベンチ上段のほうが温度が上がるので、苦手な人は下段に座ると良い
古来フィンランドでは、サウナのなかでは性別も国籍も身分もみんな平等になって、居合わせた人との平穏で心地よい交流を楽しむ権利が守られています。だから、ホームパーティや知人の訪問、あるいは突発的な宅飲みの集いの際に「ぜひサウナに入っていってください」とストーブを温めておくのは、「うちで心ゆくまでくつろいでいってください」という、訪問客に対するホストからの歓迎と友好の意の現れなのです。

サウナパーティでは、さっぱりと軽くつまめる料理が喜ばれる

この精神は、多くの企業オフィスに外来客用のサウナが付いていることにも垣間見えます。
互いに素っ裸でリラックスしながらのビジネス商談は、交渉成立に結びつきやすいという考え方まであるほど。


どんなときでも使えるように!清潔な空間をキープ

ホームパーティにおいては、少人数の友人同士の場合は、男女別に時間を分けて入ることもあるし、複数のカップルや家族親戚を招く場合は、パーティ時間の裏でペアやグループごとに順次交代して楽しんでもらえるよう、パーティのホストが次々に促します。

バスタオルやフェイスタオルは、サウナ訪問客用にたくさんストックする家庭が多い
それなりの人数が押しかけるパーティでは、「各自バスタオルとサウナ用ドリンクを持参してください」と呼びかけられるのも普通ですし、こんな時に備えて、たくさんの来客用バスタオルやサウナドリンクを常備している家庭も少なくありません。

このように、サウナ室とシャワールームはいつなんどき来客が利用するかわからないので、常に清潔にしておくのは大前提。

桶や柄杓、アロマなどサウナグッズを売る専門店もある
そして、デザイン性のあるベンチマットを敷いたりキャンドルを灯したりと、マイホームサウナをより愉しんでもらうためのアイテムを整えておくなど、居住空間のなかでも、日頃からのお手入れや心遣いが欠かせない特別な一角なのです。


こばやし あやな
フィンランド中部の都市・ユヴァスキュラ在住。ユヴァスキュラ大学大学院で芸術教育学を学び、ライター・現地コーディネーター・翻訳者として活動している。All Aboutフィンランド公式ライター。サウナ文化の研究もしており、公衆サウナ文化を紹介した著書『公衆サウナの国フィンランド』が2018年12月21日に発売。
『公衆サウナの国フィンランド: 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』