イケメン庭師、村雨さんに聞く! 庭師になるまでの僕のこと

2019.03.18
ieny 3周年記念、スペシャル企画! テレビ番組『みんなで筋肉体操』(NHK)で話題のイケメン師、村雨 辰剛(むらさめ たつまさ)さんへの独占ロング・インタビューを、前後編にわたってお届けします。


修行時代のことから庭師として哲学、素敵な和風ガーデンづくりのコツなど、「お庭」についてはもちろん、プライベートなことまでたっぷり語っていただきました。マンション狭小住宅だって、日本庭園が楽しめる! 我が家の庭にもぜひ取り入れたい“村雨流・庭の楽しみ方”は必見です。

前編では、日本で庭師になるまでのこと、そして日本庭園への想いについてうかがいました。オススメの日本庭園も、教えてもらいましたよ!


庭師になるまで植物には興味がなかった

北欧スウェーデンご出身の村雨さんは、19歳で日本に移住後、23歳で造園業の親方に弟子入りし、現在は庭師として活動。26歳には日本に帰化されています。そもそも、どうして庭師になったのですか?

村雨さん:僕は、“日本文化”、“日本の美意識”というところから日本に興味をもったので、それまで、植物とのかかわりは、まったくありませんでした。ガーデニングには、まったく興味なかったです(笑)。植物にも特に興味なくて、ぜんぜん知らなくて。


僕は、盆栽が趣味なんですが、日本ならではの美意識で、を育てて、若い木を何百年もの樹齢があるように見せかけるといった仕立て方とか、そこに美しさを感じることに、ものすごく興味があったんです。古さにある“美”を追求する日本が、とても魅力的でした。

造園業に入ったのは、ひとからの紹介で親方に出会って、弟子入りしたことがきっかけでした。


変わらなかった初心を大切にしたい

―お父様が軍人さんということもあり、村雨さんの日本国籍取得にあたっては「戦争になったら、日本人として戦えるのか」という問いかけがあったとか。日本への帰化を、どのように決意されたか教えてください。

村雨さん:父にそう言われて、改めてそういうのも含めて、自分に「いいのか?」って問いかけたときに、それでもしたいなと思ったので。単純な答えなんですけど(笑)

僕にとって一番大きかったのは、最初に日本に魅了されたころの、自分の気持ち。その初心の気持ちと、今の気持ちが大して変わってないな、ということでした。


その自分の気持ちに気づいたときに、このまま日本に一生、住んでもいいなと思って、決断できたって感じです。

あと日本庭園をする庭師として、一人前になって庭のことをするときには、これはもう完全に自分のこだわりなんですけど、日本人としてしたかった。

改名することにも、そこにこだわりがあって、日本で生まれたわけではないけど、自分のできる範囲であれば、全部やろうという感じでした。


厳しい徒弟制度に覚えた充実感

―日本の造園業の親方に師事して、庭の修行を始めたということですが、修行は厳しかったですか?

村雨さん:厳しかったですが、とても充実していました。僕は、日本の徒弟制度を経験したくて入ったところもあったので。

ヨーロッパでもそうですが、現代では、いろんな専門学校があって、決まったカリキュラムで専門的な技術を学ぶことができるようになっています。だけど、現場で基礎を身体で覚えるためにも、徒弟制度は必要だと考えています。


日本庭園の仕事に関わってから、仕事がいやだと思ったことは一回もなかったです。ワクワク感の方が大きかった。体調不良だったり、剪定のような単純作業に飽きて上の空だったりして、ちゃんとした仕事ができていないと、すぐ親方にばれます(笑)

造園技術はもちろんですが、ひとつのことをやり続ける力も、身についたと思います。


わび・さびの美意識がつまった日本庭園の奥深さ

―厳しい修行時代も、日本庭園への興味が薄れることはなかったということですが、日本庭園の魅力はどこにあるのでしょうか?

村雨さん:日本庭園の魅力にハマったのは、主(おも)には日本に来て、造園業界に入ってからです。

スウェーデンにいるとき、日本をまったく知らなかったときに、日本という国は、どういうところだろうと自分で調べているうちに、すこしずつイメージが固まってくる段階で、お寺とか神社とかお城とか、こういう建築物があるんだなとか、日本庭園というのがあるんだなと、ふわっと知ってはいました。

日本に来て、自分の目で見て、業界に入ってから、あ、松があって、石とか、苔とか、水とか、自然のいろんな要素をつかって日本庭園をつくっていくんだなってことがわかって。


面積の大小にかかわらず、自然のあらゆる要素をぜんぶ利用して、空間をつくっていく。空間といっても、自然を切り取ったような風景をつくっていくっていう、哲学的な深い意味が込められていることに気づいて、その奥深さに魅力を感じました。
わび・さびといった美意識がつまっている。とても新鮮でした。


一番好きなのは地元・愛知にある華蔵寺の庭

―好みの日本庭園を、教えていただけますか?

村雨さん:僕もぜんぜん勉強中なんですけど、今までみた庭の中で断トツ一位で好きなのは、修行時代の地元でもある愛知県の西尾市吉良町にある華蔵寺の庭です。

そこは、忠臣蔵の吉良上野介の吉良家の菩提寺で、とても古い庭です。お寺の裏で建物に囲まれて、北側の山を借景にして。
狭い庭ではあるんですけど、そこで座って鑑賞すると、閉じ込められた空間で目の前に山の斜面があって、ダイナミックなんです。むかしからある石組がまだあって、すごく落ち着く空間です。

ほかには、有名なところだと島根の足立美術館とか、東京周辺なら鎌倉にある明寺とかもいいですね。



憧れの庭、つくりたいけど……土地がない!

―教えていただいたどの庭も、ほんとうに素敵ですね。我が家にも素敵な庭があったら……と憧れますけれど、マンション住まいでベランダやバルコニーしかなかったり、狭小住宅でほんの小さな庭スペースしかなかったりと悩ましい読者も多いです。

村雨さん:でも、京都の街を見ると、坪庭とかたくさんありますしね。面積が小さくても、日本庭園ってぜんぜんつくれるんですよね。

―えっ! ぜひそこのところ、詳しく教えてください!

ということで、後編では、庭師・村雨さんの“村雨流・庭の楽しみ方”を教えていただきます。


村雨辰剛(むらさめ・たつまさ)
1988年、スウェーデン生まれ。中学時代の世界史の授業をきっかけに、日本独自の美意識に感銘を受ける。高校時代にホームステイを経験した後、19歳で日本に移住。23歳で造園業に飛び込み、見習い庭師へ転身。26歳で日本国籍を取得、村雨辰剛に改名する。造園業の傍らタレントとしても活動し、2018年のNHK「みんなで筋肉体操」出演は大きな話題に。2019年3月23日・24日2夜連続放送のテレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル「二つの祖国」にて、ドラマ初出演。初の単行本となる自伝的エッセイ『僕は庭師になった』(クラーケン)が、2019年3月5日より発売中。日本語、スウェーデン語、英語を話すトライリンガル。趣味は肉体改造と盆栽。

<参考>
華蔵寺 – 西尾観光
足立美術館|ADACHI MUSEUM OF ART 
浄土宗大本山 光明寺