サウナは一家に1つ?! 北欧 フィンランドの光のある家~定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家 vol.3

2017.12.04

現地の家庭に滞在しながら、文化や生活を体験する新しい旅のスタイル”定住旅行”をライフワークにしている、モデル・定住旅行家のERIKOです。

今回ご紹介するお家は、北欧の国フィンランド。
フィンランドと言えば、日本でも人気のあるムーミンや、サンタクロースが住んでいる場所としても有名です。“カモメ食堂”という日本映画でこの国のことを知った方も多いのでは?また、建物やインテリア、家具も素敵なものが多いイメージがありますね。

初めてフィンランド上空を飛行機から見たとき、湖と森の多さに驚いたのですが、フィンランドの国土の75%は森で、国内には101万の湖がある自然豊かな国です。

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首都ヘルシンキに暮らす、ヤリさんとアンネさん

ヘルシンキは、60万人が暮らすフィンランドの首都にして一番大きな都市です。バルト海東部とフィンランド湾に面しており、ロシアのサンクトペテルブルグまでわずか300kmしか離れていません。


フィンランドの首都、ヘルシンキに住む、ヤリさんとアンネさん夫婦のお家をご紹介したいと思います。

ヤリさんとアンネさんは、ヘルシンキの中心部から車で20分ほど離れた、閑静な住宅街にあるマンションに暮らしています。
ヤリさんは建物や家の修理をする会社を営み、アンネさんは看護婦として働いています。フィンランドでは、10年勤務をすると、1年間お休みをもらえる制度があります。私が訪問したとき、アンネさんはちょうどそのバケーション中でした。


明るさを最重視した室内


家の間取りは、2LDKで、ベランダの窓は全てガラス張りになっています。これは、春から夏の間、たくさんの日光を取り入れやすくするためです。私が滞在した時期は5月で、ちょうど白夜の時期でした。壁も白を基調としていて、家の中はとても明るい印象です。

さて、一年の多くを屋内で過ごすフィンランド人にとって、お家は私たちが思う以上に大切なものです。
フィンランドでは、太陽の昇る時間が圧倒的に少ない極夜の時期が、年間の約半分を占め、1年の3分の1は冬に当ります。また、寒さに加え、太陽光を浴びる時間が少なくとなると、人体や精神に様々な影響が出てきます。そういった気象条件から、太陽光がある時期には出来るだけ光を体に取り入れようとするのです。

また冬の時期は、必然的に屋内で過ごす時間が長くなります。そのため、インテリアや家具、家の内装に気を遣い、快適に明るく過ごせるように工夫することは、心の安定を図るためにもとても重要な要素となります。



こちらはキッチン。フィンランドは“イクメン”が多い国としても知られていますが、その理由は、男女平等の精神にあります。家事は夫婦で分担するのが当たり前で、お互いが得意なことを担当するのが一般的です。
こちらのお家では、ヤリさんの方が料理が好きということで、キッチンに立つ時間は奥さんのアンネさんより圧倒的に多いです。


フィンランドの離婚原因は家づくり?!

フィンランド人にとっての家の大切さは、フィンランドの離婚原因からも見て取れます。
フィンランドでは結婚したカップルが初めて行う共同作業は、家を一緒に建てる(素材を選んだり、内装を決めたりする)ことなのですが、それぞれにこだわりや意見があり、それが食い違って離婚するカップルが大勢います。
この作業をそれを乗り越えられれば、ほとんどの人生の問題は解決できると言われるほど、家の内装やインテリア選びは人生をかけて行われるのです。


これがないと生きていけない?! サウナ

マンションの共用サウナ

そして、世界で最も知られているフィンランド語とも言える、“サウナ”。
フィンランドに国内には、人口540万人が同時に入るに足りるサウナが存在すると言われており、その数なんと200万個以上。どんな小さな都会のアパートにもサウナな必ずと言っていいほど付いています。さらには、バスや船の中、国会議事堂にまであるのです。彼らの家には、マンションの人たちが共同で使えるサウナがあります。

フィンランド人の暮らしになくてはならないサウナは、日本のお風呂のようにリフレッシュの目的で利用されることもありますが、フィンランド人にとっては神聖な場所でもあるのです。
その昔、サウナはこの世への出入り口を表すもので、お産が行われたり、人が亡くなったときの遺体を洗う場所として使われていました。その名残から、サウナではペチャクチャとおしゃべりをしたりせず、まるで修行僧のように黙って熱さを感じながら入るのです。ヤリさんのご両親もサウナで産まれたそう。
また、結婚前夜、クリスマスイブ、大切な行事があるときも必ずサウナに入って、精神を清めます。


マンションで暮らすヤリさんとアンネさんの夢は、“一軒家に住むこと”。
最近、彼らがその家を探していたところ、自分たちのまさに理想の家に出会ったのだそうですが、引っ越しは実現しませんでした。

「売りに出していた家の家主が、可能な限りその家を手放したくないと言ってきたんです。ちょっと残念でしたが、私たちにとってはその家が本当に理想的だったので、他を探すのをやめました。きっと神様がこのマンションにもう少し住みなさいと言ってくれているのだと思います。ですから今の生活を楽しんで、気長に待つことにしました」

欲張りすぎず、せかせかしない、まさにフィンランド人らしい考え方だなと思いました。


フィンランド人が夏を過ごす、サマーコテージ


フィンランドには1カ月という、日本人からすると長い夏休みがあります。このバケーション中は、ほとんどの人が何もない自然の中でゆったりとした時間を過ごすのが一般的です。
ヤリさん夫婦も長期の休みになると、決まって訪れる場所があります。それが、”サマーコテージ”です。彼らのコテージは、ヘルシンキから北へ車で4時間ほどのラウタランピという場所にあります。周囲は湖と森しかなく、その中にポツンとコテージ、サウナ小屋、小さな菜園がある、まさにおとぎ話のような世界観です。

このコテージは、夏は避暑地として、秋はベリーなどを収穫する場所として利用されています。

アンネさんはフィンランド人の中でも特にサウナが好きで、サマーコテージに滞在している間や休みの日などは、5~6時間サウナで過ごします。もちろん入りっぱなしではなく、体を温めては、冷たい湖へダイブし、またサウナに戻るというのを繰り返します。
サウナの温度は大体80℃~100℃。私は初めの頃は、立ち籠める蒸気が肺に入って咽せ、咳が止らなったのですが、慣れてくると、呼吸器が随分楽になって、ずっと患っていた喉の痛みも和らぎました。


こちらは、サウナに住む妖精“トゥントゥ”。フィンランドでは妖精の存在が信じられていますが、サウナにも妖精がいると言われています。
トゥントゥは、長靴くらいの大きさの白いひげを生やしているそうです。サウナを炊く時、トゥントゥが現れてから人間が入るのだそうです。目に見えないものを大切にするという、フィンランド人の精神が現されていると感じます。


コテージの中にある暖炉。電気とは違う暖かさと安らぎを与えてくれます。私が一番快眠できる家の一つに暖炉がある家というのは偶然ではないでしょう。ここでソーセージを焼いたりして食べのも至福の時です。
コテージで過ごす時間は、サウナにゆっくり入ったり、畑仕事をしたり、ベリーを摘んだり、心の中を浄化できる時間。自然と近い距離を保っているフィンランド人にとっては欠かすことのできない時間なのです。


ERIKO

モデル・定住旅行家 モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。
WEB : http://chikyunokurashi.com
インスタグラム:erikok1116