子どもを育てやすい環境とは?家族みんなの変化に対応する家~子どもと過ごす家づくり<前編>

2017.12.08 地域ライターE
引用元:ブランコのある子ども部屋 | みゆう設計室

子どもがのびのびと育つ家をつくりたい。

子育てをこれからはじめる家族から、今まさに子育て真っ最中の家族まで、みんなが考える夢の一戸建ての姿。どうやって子育て中の我が家にぴったりな設計をしてくれる建築士さんを探したらいいの?そんなお悩みを抱えている方にお届けします。
2児の母として、ご自身も子育てをしながらみゆう設計室を立ち上げられた中川由紀子さんに、「子どもと過ごす家づくり」について伺いました!

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「お母さんだけが動きやすい家」が “子育てしやすい家” ではない

引用元:みゆう設計室の住まい~主婦・母目線の家づくりとは | みゆう設計室

Q. イクメンも増えてきていますが、子育ての中心になるのはやっぱりお母さん。お母さんが動きやすいお家が、子育てしやすいお家ですよね?

A. たしかに、家づくりで細かな仕様の打ち合わせの中心になってくることが多いのは女性です。でも、「お母さんがすべてをやってくれるおうち」は、本当に「子育てしやすい家」と呼べるでしょうか。

お父さんも、子ども一人ひとりも、家族みんなが「家事ができる家」の方が、ずっと子育てはしやすくなると思いませんか?
たとえばキッチン。「今まで夕食後の後片付けなんかちっともやってくれなかった主人が、自然と手伝ってくれるようになりました」。
これは、「どこに何をしまえばいいかわかるから」という単純な理由なのです。どこに何があるか、知っているのはお母さんだけ。そんな状況では家族の誰も手を出せません。子どもも同じことなんですね。小さなうちから、「家の一員として、自分が意識して動く」ことができるように、収納インテリアに工夫をする。
一人ひとりのお手伝いの量は大したことがなくても、子育てにぐっと余裕が出てきます。


子どもは、成長します。

引用元:みゆう設計室~主婦・母目線の家づくり【設計事務所(兵庫・神戸)/女性建築士・注文住宅・新築・リノベーション】

Q. 子育てにもいろいろな段階がありますが、「子育てしやすい家」を考える時に、どこに照準を合わせるのがおすすめですか?

A. 「子育て」と一口に言っても、ベビーベッドから動かない新生児期から、ハイハイで動きまわる頃、一日中お母さんと一緒の幼児期、とにかく元気な園児期、荷物もどんどん増える小学校、個室で勉強することも多くなる中学校以降と、「子育て」に必要な環境は変わっていくものですよね。
大学進学や就職で自立した後も、たまの帰省のときの居場所が必要で、結婚して子どもが生まれたら今度は「孫」がやってくるわけで。

やはり、ある程度その変化に柔軟に対応できるということが、「子育てがしやすい」ということだと思うんです。とは言え、まだ妊娠出産もこれから、という若いご夫婦が家を購入されるときは、なかなかそこまで想像できないものです。
柔軟に対応できる、ということは、「若い夫婦が二人」でも、暮らしやすい家ということでもあります。子どもにとって心地良い家は、大人にとっても暮らしやすい家です。
大切なのは、「少しの余白を残しておくこと」。隙が無く完璧に計画を立てるより心地良い家を作るために余裕をもって。ライフスタイルの変化に合わせて家も変わる前提で家づくりをすると、いろいろな変化に柔軟に対応できますよ。


安全に暮らせる家にしたい。

引用元:家の中心にあるキッチン | みゆう設計室

Q. 何よりも優先したいのは、“子どもの安全”。怪我などにつながる事故が起こらない家づくりについて教えてください。

A.お客様の中には、「今の家の中には危険がたくさんあって、落ち着かないんです」という方もいらっしゃいます。
以前、みゆう設計室で家づくりをされたお客さまから、「今の家に引っ越してから、子どもに『危ないからそれをしてはいけない』と叱ることがなくなりました。」という感想をいただきました。
どうしてだろう?って改めて考えてみたのですが、何も「子どもの安全に対して特別なことをした」ということはないんですね。でも、生活の中では確実に変化が生まれている。

たとえば、それまではキッチンへの入り口に、しっかりとしたベビーガードを取り付けていたそうです。炊飯器や電気ケトルなどの熱がでるもの、手の届くところにある缶や瓶などのストック。
ものの量は変わらないけれど、全部収納のなかに収められるようになったから、もうベビーガードはいらない。触れる場所に危ないものが無いので「そこ入っちゃダメ!! 」と言わないくていいんですね。あとは使いやすいキッチンなのでお母さんが穏やかな気持で料理ができるのも大きな理由のようです。
他にも、洗濯物を干す時に、一度洗濯室でハンガーにかけてから、バルコニーに一度で持っていくだけになった。目を離さないといけない時間がぐっと短くなるから、「ちょっとだけココでおとなしく待っててね!! 」って声をかけなくていい。
結局のところ、「親が、気持ちの余裕をもっていられるかどうか」だと思うんです。傷や汚れがつかない、とかすぐ拭き取れる、というのも子育てで便利なことではありますが、それより「無垢板で気持ちのよいです。傷は付きます。どんどんつけてください。それが家族の暮らしの軌跡ですから。」とお伝えします。
床も家具も傷はつくし汚れます。でも時が来たら補修すればよいと思います、と伝えるとおおらかな気持ちになります。
「家の中での危険」に不安になるより、家事がしやすく暮らしやすい家を設計すれば子どもを安心して見守れるようになるのだと思います。


前編では、「子どもを育てやすい環境づくり」に関する基本姿勢について詳しくお話を伺いました。特に目からウロコだったのは、「変化に対応する」ということ。つい、「今現在の大変さ」に対応しようとしてしまいがちですが、特に子育て世帯の家づくりは長期的な視点が必要不可欠だと実感しました。

後編では、具体的な「子育て中の家族に便利なアイデア」についてまとめています。後編もご参考ください!

中川由紀子 / 一級建築士・インテリアコーディネーター

一級建築士事務所「みゆう設計室」(神戸市東灘区)代表一級建築士、インテリアコーディネーター。2児の母としての視点を活かした住宅設計を数多く手がける。
HANSHIN女性応援プロジェクトWEB Cheer*full Cafe(チアフルカフェ)
「住まいとインテリア」コラム担当 : https://hanshin-woman.com/column/listtop.php?id=9
みゆう設計室HP:http://www.miyudesign.com/
家づくりレシピhttp://miyudesign.com/recipe/
Facebook:https://www.facebook.com/miyudesign.fpage/

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この記事を書いた人

地域ライターE

ライター
建築住宅不動産業界担当営業経験10年&旦那が宅建士&父が元造園業経営&義父が不動産業経営! インテリアも整理整頓も大好物のフリーライターがみなさんの家づくりのお手伝いのため取材に走ります