欧州と比較すると分かる日本の基準値の低さ

2016.08.26 ieny編集部
工業製品の技術で最先端を走っている日本。しかし、住宅の分野、とりわけ「」については欧州に遅れをとっているのです。
欧州のなかでも、「気密性の高い窓の先進国」と言われているのが北欧のフィンランド。
今回はフィンランドをはじめとした世界各国と日本との、窓の性能面を比較していきましょう。


フィンランドの窓の気密性


「窓の先進国」フィンランドでは、三重窓が住宅の基準であり、二重扉もごく当たり前です。冬の寒さが厳しいフィンランドならではの対策ですね。
三重扉では、3枚のガラスのうち2枚は間に空気が密閉されています。ガラスの間の空気層が断熱効果を発揮し、室内との温度差で生じる不快な結露もありません。一方、日本でのペアガラスなど複層ガラスの普及率は、先進国の間でも最低レベル。特殊な金属膜をコーティングした高断熱複層ガラスに至っては、日本は0.3パーセントと、アメリカの48パーセントと比較しても非常に低い普及率となっているのが現状です。

結露を防ぐ窓について


フィンランドは北欧の極寒の地にあり、オーロラとサンタクロースの国として有名です。屋外は猛烈な寒さなのに窓に結露の発生がない理由は、ガラス面とサッシ面の断熱性能を高め、室外の熱を中に伝えにくくし、室内の熱を室外に伝えにくくしているからに他なりません。

フィンランドの窓の熱還流率(U値)は1.0。この数値は、小さければ小さいほど高性能となりますが、日本国内で多く出回っているアルミ製のサッシとペアガラスを組み合わせた場合のU値は4.6であり、アジア圏の中国や韓国にも劣っています。日本も窓先進国の仲間入りを目指して、断熱性能を強化した窓の開発と普及を図ることが急務だと言えるでしょう。

快適に過ごせる窓


日本の住宅の高断熱化がヨーロッパ諸国に比べて遅れている原因は、これらの「窓の断熱性能」の低さにあると言われています。日本では窓の断熱性能の義務基準を設けていないことも、窓後進国となっている一因です。超一流の工業国としての名誉を回復すべく、日本の窓メーカー各社では、断熱性を高めるためにしのぎを削っています。日本の窓をけん引してきた歴史を持つLIXILでは、Low-Eガラスの多層化と高性能ガスの封入で熱還流率0.55を実現した製品を完成させました。また、LIXILと肩を並べるYKK-APでも、次世代の窓シリーズとして高性能トリプルガラスを採用した世界トップクラスの樹脂窓を発売しています。


メイドインジャパンは健在であることを示し、フィンランドなど窓先進国に追いつき追い越す意気込みで、日本国内の各窓メーカーでは断熱性に優れた窓の開発に努力を重ねています。結露のない快適な家作りをしたいと考えている方は、妥協をせずに窓にもこだわってみてください。ハウスメーカーや工務店などで相談すれば、きっと要望に合った窓が見つかるはずです。

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この記事を書いた人

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