片付けが子どもの“習慣力”を育てる~整理収納アドバイザー 梶ヶ谷陽子 わが家の収納レシピ vol.3

2018.03.30 梶ヶ谷陽子
3カ月間担当させて頂いた連載最後の今回は、失敗を繰り返し試行錯誤しつつ作り上げている「子どもの収納」についてお話させていただきたいと思います。

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“片付け”は子どもと物との関わりを育んでくれる


我が家には9歳の娘と、4歳の息子がいます。年齢差がある上、性別も性格も全く違います。

娘が幼い頃、私はとても大きな失敗をしました。それは「自分で片付けた方が早い」と思い、何でもかんでも自分で片付けてしまっていたことです。
そうすることで、娘が「物と関わること」や「物を持つ意味」そして片付けを通じて得る事ができる沢山の「良いこと」を奪ってしまっていたように思います。
子どもとの「片付け」に関して考え方が変わったのは、私が整理収納アドバイザーという資格に出会い、片付けの基本を学んでからです。

その時娘は3歳でした。それまでは、全てが私基準で物の収納場所や収納方法を決めていました。しかし、本来、収納場所も収納方法も「使う本人」の気持ちに寄り添い作り上げて行くものだと気づきました。私は、心の何処かで「まだ子どもだし、自分で決めることは難しいよなあ」と決めつけていたのだと思います。
片付けの基本を学んでからは「本人と一緒に作り上げて行こう」という気持ちが強くなりました。
私が整理収納アドバイザーの資格を取得し、一番初めに取り組んだのは「娘のおもちゃ」の片付けです。


その時の事は今でも鮮明に覚えています。
3歳の娘の中で「このおもちゃはあまり使わない、このおもちゃは毎日使う」という事が明確で、「何がどこにどんな風に収納されていたら遊びやすいか」ということまで、はっきり自分の意思で決めたのです。
その時に、「まだ子どもだから決められないというのは大きな間違いだったな」と反省しました。それからは、娘の物に関しては、全て本人の意思で「どこにどんな風に収納したいか」を聞いて一緒に作り上げて行くようにしています。

一緒に片付けをする中で、娘は案外几帳面で、細かいものはバラバラしないように蓋つきのケースを選んだり、大切なものほどしっかりと引き出しの中やボックスに収納したりするのが好きなんだという事がその時わかりました。


物の場所を把握することは“楽しい”に繋がる!

息子が生まれたのは、娘が5歳のときでした。娘が幼い頃にしてしまった失敗を繰り返さないように、息子にはとにかく「物との関わり」を0歳の頃から多く持たせるようにしました。
まだ言葉がわからないであろう時期から、「これは〜だよ。〜するものなんだよ」と見せたり話しかけたり、そして息子が1歳になり「物の出し入れを面白く感じる時期」には、「これはいつもここにあって、使ったらここに戻すんだよ」ということを一緒にやってきました。
当然、いろんなものを出されてとても大変な時期もありました。


ですが、そんな時期を乗り越えた結果、息子は家中の物の場所を見事に把握するようになりました。

今でも忘れられない出来事があります。それは息子が1歳3カ月だったときのこと。私はその日、どうしても終わらせなければいけない仕事があったので、息子を横目で見つつ、仕事をしていました。
あまりにも息子が静かなので様子を見てみると、息子が自分でお気に入りの絵本を出し、見ていたのです。
この時私は「物の場所がわかるという事は、子ども達の“楽しい”に繋がるんだな」と感じました。


片付けは子どもと楽しめる一つの習慣


私は、「片付け」を「子どもたちとのコミュニュケーションツールの一つ」だと思っています。
なぜならば、片付けを通じて「今何を一番大切にしているのか」を知る事ができたり、その子の性格をよく知る事ができるからです。今、娘と息子はそれぞれ自分の部屋があります。

面白いくらい性格の違う2人は、収納方法も全く違います。


娘は、お気に入りのものを厳選し、部屋の一部分だけを飾る収納にし、それ以外は引き出しやボックスに「遊び事」に分類し収納しています。


ですが、息子に関しては、できるだけ多くのものを「飾る収納」にし、どのおもちゃに関しても「しっかり収納」というよりは「ポイポイ」入れる大雑把収納です。


子どもたちとの片付けを通じても「こうあるべき」という固定概念は持たず、「その子が維持できる方法を見付けだす」という作業がとても大切だなと感じています。

子どもたちも日々成長しているので、一度作り上げた収納がずっとその子にとって正解な訳ではありません。
「やっぱりこっちの方が良い!」と言われれば、その都度一緒に見直し考え、また作り上げるということの繰り返しです。
正直な所、毎回子どもの希望に応えて行くのがとても大変だと感じることも多々あります。ですが片付けは子ども達の「大切なものを選び取る力」や「やるべきことを続ける習慣力」を身につけさせてくれるものだと実感しているので、これからも私は子ども達との片付けを楽しんでいきたいと思っています。


片付けに“正解”はない


3回にわたり「我が家らしい片付け術」に関して書かせていただきました。
読んでくださった皆さんに私が一番伝えたかったことは、「片付けの正解は収納本やテキストには書かれていない」ということです。ものと向き合う作業は「自分自身と向き合う事」でもあります。そして我が家らしい片付け術を見つけるというのは「ご家族と向き合うこと」でもあります。

ぜひ「我が家らしい片付け術」を見付け出し、家族みんなで大好きな家での暮らしを楽しんでください。
3カ月間読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。


整理収納アドバイザー 梶ヶ谷陽子

Bloom Your Smile 代表。2013年10月より整理収納アドバイザーとしての活動を本格的に開始。Amebaブログ「整理収納レシピ」が話題を呼び、2015年6月よりトップブロガーとして活動。間取りプランナーなど暮らしに関わる資格を多く保有し、無印良品の企業研修講師を担当する等、講演、トークショー、商品PR、商品プロデュース、テレビ出演・書籍執筆など活動は多岐に渡る。2017年10月には自身初のプロデュース商品「Carry Storageシリーズ」もリリース。近著『やせる収納』(主婦の友社)。
公式ブログ:https://ameblo.jp/yoko-bys/
公式Instagram:@bloomyoursmile

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梶ヶ谷陽子

整理収納アドバイザー
Bloom Your Smile 代表。2013年10月より整理収納アドバイザーとしての活動を本格的に開始。Amebaブログ「整理収納レシピ」が話題を呼び、2015年6月よりトップブロガーとして活動。住空間収納プランナーなど暮らしに関わる資格を多く保有し、無印良品の企業研修講師を担当する等、講演、トークショー、商品PR、商品プロデュース、テレビ出演・書籍執筆など活動は多岐に渡る。2017年10月には自身初のプロデュース商品「Carry Storageシリーズ」もリリース。新刊「気がつけば、ずっと無印良品でした。」(GB出版)が10月26日発売。また、6月29日新刊「無印良品でつくる 性格 クセ 好みに合ったマイフィット収納」(CCCメディアハウス)を出版。