ストレスフリーな暮らしを手に入れる! 梶ヶ谷陽子さんの整理収納レシピ<インタビュー後編>
家づくり情報サイト『ieny』の人気連載「整理収納アドバイザー・梶ヶ谷陽子の整理収納レシピ」。今回は、梶ヶ谷さんのご自宅におじゃましての番外編です。

後編は、「やっぱり片付かない……」と悩んでいる人へのアドバイス、そして梶ヶ谷家の整理収納テクニック実践編。取材スタッフが思わずどよめいた、梶ヶ谷家の“あの場所”の収納とは……?
梶ヶ谷さん:よく私がお話しさせていただくのは、収納本をお手本に試してみるのは良いけれど、それを正解と思わないでいただきたいということ。正解と思って試してしまうと、落ち込むんですよ、絶対に。「うちは、こうならない」とか、「うちの子は、こうできない」というふうに。
収納本を試してみて、それができなかったら、「この収納はうちには合わない!」という発見にすればいいんです。それで、どんどん違った方法を試しているうちに、絶対ヒットするのが来るので! 私も、もう本っっ当に! いろいろ試しましたから(笑)
あとは、家族と話すっていうのが大事ですね。私は、片付けって、素敵なコミュニケーションツールだと思っているんです。
子どもたちと一緒に片付けをして初めて、子どもがその時一番大事にしているものが分かったり、この子はこういうことにこだわりがあるんだなと発見できたり。私にとっては、それがすごく大きなことでした。

そうして、みんなのクセや好みを知って、みんなが維持できる収納を研究する。そして、どんどん更新する。家のなかで、何かが出しっぱなしになっていたら、それは“しまいづらい”ことのサイン。
そこで、収納方法をちょっと変えてみると……「あ、戻してる!(喜)」。これの繰り返しです。
うちだって、すごい散らかりますよ。子どもが帰ってきた瞬間。ただ、戻すのがラクなので、すぐに片付くんです。
取材していただいたり、雑誌に載るときは、さすがに片付けるじゃないですか。なので、私って「いつも片付いた完璧な家に住んでる、すごい几帳面なヒト」というイメージがあるみたいなんですけど。ぜんぜん違うので(笑)。すごい大雑把な、面倒くさがりです。
梶ヶ谷さん:キッチンは、最初のころは、すっきりした収納にしてたんです。でも、「美しくてすっきりした収納」って、「面倒くささ」が必ずプラスされるんですよ。フタを開けるとか、引くとか。すっきりしてるってことは、隠してあるということでもあるので。
その美しい収納が、「なんて面倒なんだ! 」と気付いたときに、“私に合ってない”と思ったんです。私にとっての心地よい収納って、「いかにラクできるか」なんだと発見したんです。キッチンは、私が毎日立つ場所。家族だけでなく、自分自身と向き合うことも大事ですね。
最近、改良したのはコンロ下です。フライパンの収納なんですが、以前は、取っ手が下に向いていて、屈まないと手に取れなかったんです。それにもう、イラっときちゃって。なんて面倒なんだ!と。
取っ手をつかむのに、いちいち屈まなくちゃならないなんて、と。それで、フックと棒を設置して、その上に取っ手を掛けられるようにしたんです。
こんな感じで、キッチンには「ストレスをなくしていったらこうなった」が、色々あります。

▲フライパンを取り出しやすくした収納の工夫。これは便利!

▲賞味期限などをメモするペンは、ドアフックを使って立て掛けられるように。以前は、引き出しの中に埋もれてしまって、取り出しにくかった。

▲おそうじアイテムの収納。水まわりなのでフタのあるものを選択。でも、そのフタがカチッと締まるのが、使いづらく……

▲片手で軽く開けられるように、フタのフック部分を切り取ってしまってパカパカと開けられるようにカスタマイズ。

▲食品や調味料の収納。賞味期限の表示を上にして入れている。息子さんにも分かりやすいように番号のラベルを付けてある。

▲開けた瞬間、スタッフがどよめいた冷蔵庫。ここも最近、面倒くさがりが発動して更新したところ。下段のボックスを引き出さなくても中身が取れるように、中段の棚の手前半分を取っ払ってしまった。
梶ヶ谷さん:テレビやソファーがあるリビングダイニングは、家族共有の場所なので、それぞれが使いやすいように常に工夫しています。

▲子どもたちと一緒に、考えながらつくったテレビ下の収納。スペースをうまく組み合わせて作られており「テトリス収納」と呼んでいる。収納用品は、必要がなくても常に店頭をパトロールしてチェックしているので、いざというときアイデアがでてくる。

▲娘の髪留め収納。フタを開けるのが面倒ということで、プッシュ式で開く形のものに変更した。

▲ソファーの下の収納。引き出しやすいようにフックをかけてある。手前のかごは、ビニール袋をかけてゴミ箱に。

▲ダイニングの収納。以前は、梶ヶ谷さんの仕事道具を入れていたが、子どもたちがダイニングでやりたいことが増えてきたので、子どもたちにスペースを明け渡した。「私の仕事道具」は、二階へ移動。何も置いていない棚は娘さんのランドセル置き場。「私の仕事道具はほとんど二階へ移動。」と梶ヶ谷さん。

▲充電ステーションと呼んでいるコーナー。この場所ですぐ充電できるようになっている。透明の棚の上は息子さんの幼稚園バッグ置き場。
梶ヶ谷さん:一軒目のときは、今思えば本当に見た目重視でした(笑)。二軒目では、子どもたちとの暮らしを考えて、生活のしやすさを優先した家づくりをしました。
キッチンの勝手口や、小さくても庭をつくったことはとても良かったです。あと、階段の位置にもこだわって玄関ではなく、リビングから二階にいくように付けてもらいました。どんな年齢になっても、反抗期がきても、必ず顔を合わせてから自分たちの部屋がある二階に行ってほしかったので。

自分が年老いたときのことも考えて、階段には手すりもつけました(笑)。結果的に、子どもが小さい時も使っていて、良かったですね。
収納は、実は一軒目の方が多かったんです。でも、一軒目は収納が多いのに、全然片付いてなかった。収納が大きければ片付くなんて、嘘なんで(笑)。
収納にあわせて人が動き回るしくみだと生活しづらいし、片付かない。自分の動きにあわせた場所に収納をつくったほうが、確実に片付きます。
梶ヶ谷さん:整理収納は、「使う人に合わせることが大事」という思いが、年々強くなっています。使う人自身に寄り添うことが大切です。
また、ものといかに上手くつきあうかが重要だと思っています。我が家では、スペースに合わせてものを選ぶということを取り入れています。

時々、「収納」の意味を間違えている方がいらっしゃいます。収納は、不要なものを隠す場所でも押し込む場所でもありません。収納は、「必要なもの出し入れしやすくするため」にあります。ですから、収納を作り上げるときは「必要なものをまず選び取り何を収納するか」を明確にしなければ作り上げることはできません。
必要なものを選び取り何を収納するのかを明確にするといっても、それはものを「減らす」という意識ではなく、本当に必要なものや大好きなものを「選ぶ」ということです。大好きなものだけを選んで家に取り込めば、きちんと管理して大事に使うようになるはずです。

我が家では、不要になったものは、捨てずに全部リサイクルかチャリティに子供たちと一緒に持っていきます。「片付け」イコール「捨てる」には、ならないんです。世の中では、それがイコールになっているのが不思議です。
―梶ヶ谷さんのお話を伺っていると、ものへの愛が伝わってきます。
梶ヶ谷さん:もの、愛してます!(笑)私、むかしDJやってたんです。だから、1,000枚単位でレコードを持ってました。家族ができて手放しましたが、そのうちまた再開したいですし、今は釣りが趣味で、ルアーを集めてるんです。大好きなものに囲まれてるのは、幸せですよね。
ぜひ皆さんにも、大好きなものと上手に付き合って、ご自分にあった整理収納法を見つけていただきたいです。そのお手伝いを、これからも続けていきたいと思っています。
―DJとは、意外! 今日は、たくさんの素敵なお話を、ありがとうございました。

太陽のように明るくて、よく笑うチャーミングな梶ヶ谷陽子さん。
自称「ものすごい面倒くさがり」という梶ヶ谷さんが、日々の暮らしの中のちょっとした“面倒”を回避するべく編み出した整理収納のアイデアは、とてもシンプルだけれど、驚くほど毎日を快適にしてくれるものばかり。しなやかで、クレバーな「梶ヶ谷流・整理収納レシピ」、ぜひお試しを!

後編は、「やっぱり片付かない……」と悩んでいる人へのアドバイス、そして梶ヶ谷家の整理収納テクニック実践編。取材スタッフが思わずどよめいた、梶ヶ谷家の“あの場所”の収納とは……?
片付けはコミュニケーション!
―前編では、家族一人ひとりが片付け上手になる、「我が家らしい収納」のつくりかたのポイントについて伺いました。日々の暮らしの中で、我が家に合った整理収納方法を見つけていくのは、楽しくもあり、なかなかむずかしそうでもあります。梶ヶ谷さん:よく私がお話しさせていただくのは、収納本をお手本に試してみるのは良いけれど、それを正解と思わないでいただきたいということ。正解と思って試してしまうと、落ち込むんですよ、絶対に。「うちは、こうならない」とか、「うちの子は、こうできない」というふうに。
収納本を試してみて、それができなかったら、「この収納はうちには合わない!」という発見にすればいいんです。それで、どんどん違った方法を試しているうちに、絶対ヒットするのが来るので! 私も、もう本っっ当に! いろいろ試しましたから(笑)
あとは、家族と話すっていうのが大事ですね。私は、片付けって、素敵なコミュニケーションツールだと思っているんです。
子どもたちと一緒に片付けをして初めて、子どもがその時一番大事にしているものが分かったり、この子はこういうことにこだわりがあるんだなと発見できたり。私にとっては、それがすごく大きなことでした。

そうして、みんなのクセや好みを知って、みんなが維持できる収納を研究する。そして、どんどん更新する。家のなかで、何かが出しっぱなしになっていたら、それは“しまいづらい”ことのサイン。
そこで、収納方法をちょっと変えてみると……「あ、戻してる!(喜)」。これの繰り返しです。
うちだって、すごい散らかりますよ。子どもが帰ってきた瞬間。ただ、戻すのがラクなので、すぐに片付くんです。
取材していただいたり、雑誌に載るときは、さすがに片付けるじゃないですか。なので、私って「いつも片付いた完璧な家に住んでる、すごい几帳面なヒト」というイメージがあるみたいなんですけど。ぜんぜん違うので(笑)。すごい大雑把な、面倒くさがりです。
梶ヶ谷家の整理収納テクニック実践編
―それでは、その日々の研究成果をぜひ拝見させてください! まずは、さっきから気になっているのが、この美しいキッチン。まったく何もないですが……。梶ヶ谷さん:キッチンは、最初のころは、すっきりした収納にしてたんです。でも、「美しくてすっきりした収納」って、「面倒くささ」が必ずプラスされるんですよ。フタを開けるとか、引くとか。すっきりしてるってことは、隠してあるということでもあるので。
その美しい収納が、「なんて面倒なんだ! 」と気付いたときに、“私に合ってない”と思ったんです。私にとっての心地よい収納って、「いかにラクできるか」なんだと発見したんです。キッチンは、私が毎日立つ場所。家族だけでなく、自分自身と向き合うことも大事ですね。
最近、改良したのはコンロ下です。フライパンの収納なんですが、以前は、取っ手が下に向いていて、屈まないと手に取れなかったんです。それにもう、イラっときちゃって。なんて面倒なんだ!と。
取っ手をつかむのに、いちいち屈まなくちゃならないなんて、と。それで、フックと棒を設置して、その上に取っ手を掛けられるようにしたんです。
こんな感じで、キッチンには「ストレスをなくしていったらこうなった」が、色々あります。

▲フライパンを取り出しやすくした収納の工夫。これは便利!

▲賞味期限などをメモするペンは、ドアフックを使って立て掛けられるように。以前は、引き出しの中に埋もれてしまって、取り出しにくかった。

▲おそうじアイテムの収納。水まわりなのでフタのあるものを選択。でも、そのフタがカチッと締まるのが、使いづらく……

▲片手で軽く開けられるように、フタのフック部分を切り取ってしまってパカパカと開けられるようにカスタマイズ。

▲食品や調味料の収納。賞味期限の表示を上にして入れている。息子さんにも分かりやすいように番号のラベルを付けてある。

▲開けた瞬間、スタッフがどよめいた冷蔵庫。ここも最近、面倒くさがりが発動して更新したところ。下段のボックスを引き出さなくても中身が取れるように、中段の棚の手前半分を取っ払ってしまった。
梶ヶ谷さん:テレビやソファーがあるリビングダイニングは、家族共有の場所なので、それぞれが使いやすいように常に工夫しています。

▲子どもたちと一緒に、考えながらつくったテレビ下の収納。スペースをうまく組み合わせて作られており「テトリス収納」と呼んでいる。収納用品は、必要がなくても常に店頭をパトロールしてチェックしているので、いざというときアイデアがでてくる。

▲娘の髪留め収納。フタを開けるのが面倒ということで、プッシュ式で開く形のものに変更した。

▲ソファーの下の収納。引き出しやすいようにフックをかけてある。手前のかごは、ビニール袋をかけてゴミ箱に。

▲ダイニングの収納。以前は、梶ヶ谷さんの仕事道具を入れていたが、子どもたちがダイニングでやりたいことが増えてきたので、子どもたちにスペースを明け渡した。「私の仕事道具」は、二階へ移動。何も置いていない棚は娘さんのランドセル置き場。「私の仕事道具はほとんど二階へ移動。」と梶ヶ谷さん。

▲充電ステーションと呼んでいるコーナー。この場所ですぐ充電できるようになっている。透明の棚の上は息子さんの幼稚園バッグ置き場。
生活の動きにあわせた場所に、収納をつくる
―いろいろと拝見させていただき、ありがとうございました! 住み心地が、とてもよさそうでした。こちらは、二軒目の注文住宅ということですが、一軒目と比べて特に工夫したところはありますか?梶ヶ谷さん:一軒目のときは、今思えば本当に見た目重視でした(笑)。二軒目では、子どもたちとの暮らしを考えて、生活のしやすさを優先した家づくりをしました。
キッチンの勝手口や、小さくても庭をつくったことはとても良かったです。あと、階段の位置にもこだわって玄関ではなく、リビングから二階にいくように付けてもらいました。どんな年齢になっても、反抗期がきても、必ず顔を合わせてから自分たちの部屋がある二階に行ってほしかったので。

自分が年老いたときのことも考えて、階段には手すりもつけました(笑)。結果的に、子どもが小さい時も使っていて、良かったですね。
収納は、実は一軒目の方が多かったんです。でも、一軒目は収納が多いのに、全然片付いてなかった。収納が大きければ片付くなんて、嘘なんで(笑)。
収納にあわせて人が動き回るしくみだと生活しづらいし、片付かない。自分の動きにあわせた場所に収納をつくったほうが、確実に片付きます。
“減らす”のではなく、“選ぶ”という意識
―収納が小さくなったというのが意外です。収納に対する考え方に、変化はありましたか?梶ヶ谷さん:整理収納は、「使う人に合わせることが大事」という思いが、年々強くなっています。使う人自身に寄り添うことが大切です。
また、ものといかに上手くつきあうかが重要だと思っています。我が家では、スペースに合わせてものを選ぶということを取り入れています。

時々、「収納」の意味を間違えている方がいらっしゃいます。収納は、不要なものを隠す場所でも押し込む場所でもありません。収納は、「必要なもの出し入れしやすくするため」にあります。ですから、収納を作り上げるときは「必要なものをまず選び取り何を収納するか」を明確にしなければ作り上げることはできません。
必要なものを選び取り何を収納するのかを明確にするといっても、それはものを「減らす」という意識ではなく、本当に必要なものや大好きなものを「選ぶ」ということです。大好きなものだけを選んで家に取り込めば、きちんと管理して大事に使うようになるはずです。

我が家では、不要になったものは、捨てずに全部リサイクルかチャリティに子供たちと一緒に持っていきます。「片付け」イコール「捨てる」には、ならないんです。世の中では、それがイコールになっているのが不思議です。
―梶ヶ谷さんのお話を伺っていると、ものへの愛が伝わってきます。
梶ヶ谷さん:もの、愛してます!(笑)私、むかしDJやってたんです。だから、1,000枚単位でレコードを持ってました。家族ができて手放しましたが、そのうちまた再開したいですし、今は釣りが趣味で、ルアーを集めてるんです。大好きなものに囲まれてるのは、幸せですよね。
ぜひ皆さんにも、大好きなものと上手に付き合って、ご自分にあった整理収納法を見つけていただきたいです。そのお手伝いを、これからも続けていきたいと思っています。
―DJとは、意外! 今日は、たくさんの素敵なお話を、ありがとうございました。

太陽のように明るくて、よく笑うチャーミングな梶ヶ谷陽子さん。
自称「ものすごい面倒くさがり」という梶ヶ谷さんが、日々の暮らしの中のちょっとした“面倒”を回避するべく編み出した整理収納のアイデアは、とてもシンプルだけれど、驚くほど毎日を快適にしてくれるものばかり。しなやかで、クレバーな「梶ヶ谷流・整理収納レシピ」、ぜひお試しを!
整理収納アドバイザー 梶ヶ谷陽子
Bloom Your Smile 代表。2013年10月より整理収納アドバイザーとしての活動を本格的に開始。Amebaブログ「整理収納レシピ」が話題を呼び、2015年6月よりトップブロガーとして活動。住空間収納プランナーなど暮らしに関わる資格を多く保有し、無印良品の企業研修講師を担当する等、講演、トークショー、商品PR、商品プロデュース、テレビ出演・書籍執筆など活動は多岐に渡る。2017年10月には自身初のプロデュース商品「Carry Storageシリーズ」もリリース。新刊「気がつけば、ずっと無印良品でした。」(GB出版)が10月26日発売。また、6月29日新刊「無印良品でつくる 性格 クセ 好みに合ったマイフィット収納」(CCCメディアハウス)を出版。
公式ブログ:https://ameblo.jp/yoko-bys/
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