室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた 第2回〜知ってる?天窓の役割と正しい付け方〜

2017.05.07 高坂類

四国・愛媛から全世界に家づくり情報をお届け! ieny地域ライター高坂類です。

”医・食・住”から見る室内環境改善アドバイザー仙波正志さんに、室内空気の改善方法冷暖房節約など家づくりの参考になる基礎知識を解説いただく連載「室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた」

本日、第2回は
ロマンチックでスタイリッシュな"天"
本来の役割お役立ち情報を教えていただきます!


<仙波正志さんプロフィール>
"医・食・住"に関連する商品開発と販売業務のほか多岐にわたる事業を行う、株式会社養命(本社:愛媛県新居浜市)の代表取締役社長。室内環境改善アドバイザー。
●株式会社養命
〒792-0836 愛媛県新居浜市篠場町6-25
TEL:0897-47-1400 FAX:0897-43-9738 (9:00~19:00)
休日:日曜
http://youmei.p-kit.com/

天窓は、そもそも何のため?


高坂「仙波先生、今日もよろしくお願いします! 今回のテーマは"天窓"なんですね。」

仙波前回シーリングファンに続き、"かっこいいから"だけで付けがちな天窓ですが、本来の役割活用法を知らないがために失敗してしまうケースも多いんです。今日はそれを解説しましょう。」

髙坂天窓ってロマンチックですよね。空が見えるとどうしてこう、気持ちいいんですかね...。」

仙波「そういう気持ちで安易に好きなところに付けると、失敗しちゃうんだよ(笑)。そもそも天窓の目的は何か、知ってるかな?」

髙坂採光...それから眺め?でしょうか。あまり機能的なイメージはなかったです。」

仙波「ヨーロッパでは元々、たいていは屋根裏部屋に設けていました。主目的は換気です。採光はオプションみたいなもの。
それから万が一火事があった時に、そこから逃げられるように非常口としての役割もあった。」

髙坂「そうなんですか!」

仙波「日本では採光を主目的に考えがちですが、壁面の窓と比べると天窓の通気量は4倍にもなります。
年間を通して通気性を高められること、夏は温かい空気を逃がすことがメリットです。」

髙坂「ほほう...」

仙波天窓について強くお伝えしたいのは、メリットとデメリットが必ずあるということ。見た目だけで付けると痛い目にあいます。天窓のデメリットって何だと思う?」




髙坂「うーん...掃除がしにくい?」

仙波「それもあります。意外と知られていないデメリットは、暑さ。それから雨漏り
西や南向きに付けてしまった天窓は、夏、何度になると思う?」

髙坂「え...40度くらいですか?」

仙波85度。」

髙坂「!!」

仙波「西向き東向きに付けると、天窓は相当な熱さになります。つまり部屋も暑くなります。
せっかく天窓を付けて通気性を良くしても、夏はとても冷暖房節約にはなりません(笑)。
これが意外と知られていない。」

髙坂「そうなんですね...それにしてもめちゃくちゃ暑そうです。」

仙波「付けて、夏を迎えてからわかるんですよね....。
それから意外かもしれませんが、雨音も想像以上にうるさい場合があります。それから高い位置にあるために掃除がしにくいので、メンテナンスもしにくい。」

髙坂「! 意外なデメリットいっぱいですね。」

仙波「デメリットを先に言いましたが、もちろんメリットもたくさんありますよ!(笑)
ただしそのメリットを享受できるかどうかは、適切な場所に、適切な天窓を付けるかどうかにかかっています。これは後でお話ししますね。」



仙波天窓のメリットをおさらいします。まず、言うまでもなく採光は素晴らしいです。壁面の窓の3倍の採光効果が期待できます。昼間は照明がほとんどいらないほどです。
また、朝に自然光をたっぷり浴びることができると、狂った体内時計がリセットされて睡眠障害や認知症が改善されると言われています。この話は聞いたことがあるんじゃないかな?
壁面の窓よりもずっと多く光を取り込めますから、そういう意味では身体にとって、とても心地よいと言えますね。」

髙坂「自然光で体内時計の狂いをリセット、聞いたことあります! 確かに壁の窓では、取り込める光に限界がありますよね。
壁面にすごく大きな窓を設けるのも難しい場合が多そうですし、視線も気になりますよね。
そうか、天窓だと視線のことも気にしなくていいんですね!」

仙波「それから、自然光がたっぷり降り注ぐ環境で勉強する子どもは、電気の照明で照らされる部屋での場合と比べて、読解力や計算力が高まるとも言われています。これも感覚的に分かることかと思いますが、自然の光のほうが単純に心地よいですよね。
ただ、先ほど言ったように、付ける方角を間違えると暑いし、眩しすぎます。」

髙坂「付ける位置、本当に重要なんですね...。」

仙波「そして次のメリットは、通気性。これも壁面の窓に比べて約4倍の通気量になると言われています。通気性が良くなれば、省エネにもなります。」

髙坂
「上手に使えば、とても省エネになるんですね!」

仙波「まだまだメリットはあります。これが人々をひきつけてやまない部分かもしれませんが、"視覚的な開放感"ですね。
空が見えることで、心地よい広がりを感じられることができます。その上、プライバシーも気にしなくていい。密集した住宅でもOK。防犯的にもOK。狭い部屋も明るくできるので、室内の有効活用にもなります。」

髙坂「うーん、いいこといっぱいですね!!付けたい...正しい位置に...。」


現代の天窓の種類

髙坂「メリット・デメリットは大体わかりました!
天窓には、どんな種類があるんですか?」

仙波「開閉を電動で行える電動タイプ手動タイプ、そして開閉のできないフィックスタイプがあります。」

髙坂「どれがおすすめなんでしょう?」

仙波「なんといっても、電動タイプです。」

髙坂「おお...一択....。では最もおすすめの付け方・活用法を教えてください!」


どこに、どんな天窓を付けるのがおすすめ?

仙波「もちろん主目的が何なのかによるところはありますが、基本を言います。
方角は、西と南を避けること。つまり北か東に付けましょう
そして、電動タイプを選ぶこと。さらに可能であれば、ロールシェードも付いていて電動で覆ってくれるもの。高いけどね(笑)。北か東に付けても、想像以上に暑い、眩しい場合が多々あります。」

髙坂「電動タイプの天窓を北か東に付ければ、採光も、通気も、省エネもかなうんですね!」

仙波「それから窓ガラスの素材を、遮熱・断熱性が優れたものを選ぶとより省エネになります。本当に、熱くなりますから!
また、後々のメンテナンスのことをよく考えて付けましょうね。」

髙坂「ちなみに、リフォームで付けることは可能なのでしょうか?」

仙波可能です。天窓のタイプによって電気工事が発生します。
取り付け費用は、取り付ける箇所によって足場が発生するので10〜15万円ぐらいかな。」

髙坂「後からもできるんですね。リフォームで付けるのもアリですね!」


ありがとうございました!



髙坂シーリングファンに続き、天窓まで付けたくなった団地暮らしの私です!
天窓、いいですね。デザイン性の高さにはなんだかんだ憧れてしまいます。」

仙波「せっかく素敵なデザインの家にするのなら、当然ですがちゃんと心地よい家にもしたいですよね。
ここに天窓があったらかっこいいな〜、で決めるのではなく、方角やその後のメンテナンスについて気をつけてみてくださいね。正しく付ければ、心地よい注文住宅をかなえる要になりますよ。」

髙坂「ありがとうございました!!」

「室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた」は、"医・食・住"から見る室内環境改善アドバイザー株式会社養命(愛媛県新居浜市) の代表取締役社長・仙波正志さんに、心地よい家づくりの参考となる基礎知識を改めて詳しく解説いただく連載記事です。

次回もお楽しみに!


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この記事を書いた人

高坂類

ライター
1983年新潟県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。 四国・愛媛県 新居浜市(にいはまし)に拠点を置くデザイン事務所 hink DESIGN(ヒンクデザイン)代表。 広告デザインとWeb制作を中心に、ライター、ラジオパーソナリティ、モデル、司会等、四国の生活をより楽しくしようと 幅広く活動しています。 四国の魅力発信プロジェクト「しこくらいふ」主宰。 激辛グルメサークル「にいはまスパイスガールズ」主宰。