室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた 第1回 〜シーリングファンを活用しよう〜

2017.03.08 高坂類
スタイリッシュなカフェで......
いつもオシャレな友人のマイホームで......
特別な日に行った、天井の高いレストランで......

ふと目線を上に向けるとある、「シーリングファン」。
シーリングファンはその名の通り、天井に取り付けるファン(扇風機)のこと。 デザインもアンティーク調からモダンなものまでさまざまです。

このファン、ただのインテリアアイテムだと思っていませんか?



シーリングファン......ただのインテリアじゃない!

新潟県を飛び出して早15年。約10年の東京暮らしを経て、現在は四国・愛媛に住んでいるieny地域ライター高坂類です。

本日は、「医・食・住」から見る室内環境改善アドバイザー、株式会社 養命(愛媛県新居浜市) の代表取締役社長・仙波正志さんに、シーリングファンの活用方法についてインタビューさせていただきます!




高坂「今日は株式会社 養命の事務所兼ショールームにお邪魔していますが、シーリングファンが3つありますね! 私はお恥ずかしながらシーリングファンのことをほぼ単なる装飾だと思っていたのですが、実は心地よい家づくりに重要な役目を果たしているというお話を聞きつけて本日ご教授頂きたくまいりました。シーリングファンの活用方法について教えてください!よろしくお願いします。」

仙波正志さん(以下敬称略)「よろしくお願いします。シーリングファンは飾りじゃないよ! 空気を循環させるための家の設備、大事な道具です。室内環境を良くするには、空気の循環がとても大事なんですよ。」

高坂「すっすみません。ただただ小洒落たアイテムだと思ってました......。空気の循環?」


シーリングファンの役割とは?



仙波「シーリングファンはそもそも、室内の空気を循環させるためのものです。でも日本では十分に活用されていないように思いますね。シーリングファンは扇風機と同じで、羽が斜めに向いているでしょう? これを右に回転させれば上に向かって風が吹き、左に回転させれば下に向かって風が吹く。さあ、どう活用すればいいと思う?」

高坂「えーと......温かい空気を下に送る?!」

仙波「そうです。温かい空気は部屋の上に上がっていきますよね。冬、足元が冷えるのはそのせいです。だから冬は上に向けて風を送る。すると温かい空気が壁を伝って下に行って、部屋全体が暖かくなる。夏は逆で、下に向けて風を送る。すると下に溜まった冷たい空気が壁伝いに上に行って、部屋全体が涼しくなるんです。」

高坂「とても省エネになりそうです!」

仙波「その通り。室温が均一になって、暖房なら設定温度を3〜5°C程度下げられます。冷房もしかり。エアコンのかけすぎを防げるので、部屋の乾燥も防げます。」

高坂「そうか、乾燥対策にもなるんですね!」


空気がめぐる空間は心地よい



仙波「外にいて、空気の流れが完全に止まっていることはありえると思う?」

高坂「ありえないですね。」

仙波「高気密に造られた現代の室内で、戸を閉めきって空気が動かないと、人間にとって自然な状態でないのは感覚的にわかりますよね。部屋の中の空気を常に動かして循環させることは、心地よい家づくりにとても重要なんです。」




仙波「もうひとつ。外にいて、全く同じ強さで風が吹き続けることはあるかな?」

高坂「......ありえないです。」

仙波「シーリングファンにはいろいろな種類があるけど、できればこういう『ゆらぎ』モードの ような不規則な送風モードがあるといいですよ。より自然な空気循環になります。ただのソフトモードじゃないよ。」




仙波「それからね、シーリングファンと扇風機との違いは何だと思う? 使い方にもよるんだけれど。」

高坂「うーん......? 優しい風?」

仙波「風が直接人に当たらないことだよ。シーリングファンだと、壁や伝いにゆっくりゆっくり風が回るからね。扇風機でも、一度壁に風を当てて反射させて人に当たるようにした方が、体が冷えにくいんですよ。これは風が壁にぶつかると周波数が変わるからなんだけど、それはまあ難しい話だからやめとこう(笑)。でもなんとなくわかるでしょ? 間接照明と同じ感じ。直接よりも間接の方が優しいよね。」

高坂「なるほど......。」


じゃあ、どこに付けたらいいの?



高坂「家を建てる予定が全くない私ですが、すごくシーリングファンを付けたくなってきました。どういう場所に付けたらいいんですか?」

仙波「そう難しくないんだけど、設計士さんでも設置場所のことをよく知っている人は少ないですね。どこでも習わないからだろうね。天井が高くて、人が集まるところに付けましょう。人が集まるところっていうのは、広くて、冷暖房を強くかけることが多い場所です。広い部屋は空気が動かないと、床付近と天井付近で大きな温度差があるから、室内の空気をかき混ぜて早く室温を均一にしたほうがいい。シーリングファンはデザイン重視になりがちですが、さっき言ったような『ゆらぎ』の機能や、設置場所を考慮したものを選ぶことをおすすめします。ただのインテリアではなくて、とても機能的な送風機なんですから。」

高坂「ありがとうございます!(天井が高い家、住みたいな......)」


ありがとうございました!



高坂「シーリングファンって何だっけ......というレベルだった私ですが、今は空気を循環させたい気持ちでいっぱいです!」

仙波「もちろんインテリアとしての要素も楽しみながら、心地よい家づくりに役立ててくださいね!」


今回お話を伺ったのは......
●株式会社 養命
〒792-0836 愛媛県新居浜市篠場町6-25
TEL:0897-47-1400 FAX:0897-43-9738(9:00~19:00)
休日:日曜
http://youmei.p-kit.com/

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この記事を書いた人

高坂類

ライター
1983年新潟県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。 四国・愛媛県 新居浜市(にいはまし)に拠点を置くデザイン事務所 hink DESIGN(ヒンクデザイン)代表。 広告デザインとWeb制作を中心に、ライター、ラジオパーソナリティ、モデル、司会等、四国の生活をより楽しくしようと 幅広く活動しています。 四国の魅力発信プロジェクト「しこくらいふ」主宰。 激辛グルメサークル「にいはまスパイスガールズ」主宰。