「宅建」なんとなく聞いたことある資格だけれど、我が家の一戸建て購入にどんな関わりがあるんだろう?

2017.07.25 地域ライターE

「家を買おう」と思った時に、「プロにサポートしてもらえたらいいな」と思いますよね。実は、「家を建てる・家を買う」に関連する資格にはさまざまなものがあるのです。
今回ご紹介するのは、「宅地建物取引士」。「宅建」と略して呼ばれるコチラの資格、「就職・転職に有利!」「不動産関連企業に務めるなら必須の資格!」などのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
名前は聞いたことがあるけれど、我が家の住宅購入の場面でどんなふうに関わりがあるのか実際のところはよくわからない…。そんな方に「宅地建物取引士があなたの住宅購入にどう関わるか?」をわかりやすくお伝えします!


宅地建物取引士の仕事ってなんですか?

資格名がずばり、「宅地と建物を取引する士業」である宅地建物取引士。従来の「宅地建物取引主任者」という名称が、平成27年4月から「宅地建物取引士」に変更されました。その資格を取るために受験生が勉強する範囲は幅広く、民法、都市計画法、建築基準法、宅建業法、住宅瑕疵担保履行法、景品表示法などの法律関係から不動産取得税、固定資産税、地価公示などの税金関係、その他統計などについても学んでいます。
なぜこんなに出題範囲が広いかというと、宅地建物取引士が行なう業務は、土地・建物の貸借、売買、それらの代理、仲介とさまざまだからです。また、取り扱う不動産は個人の住宅だけでなく、商業施設や倉庫、工場など幅広い種類のものとなっています。そのため、試験範囲がとても広いのです。
「取引の入り口」で、広範囲に対応し、取引の中で深い知識が必要になったらさらに専門家につなげて、法令遵守して取引をスムーズに成立させるのが宅地建物取引士の仕事と言えるでしょう。


家を買うときは必ず宅地建物取引士を通すんですよね?


多くの方が誤解しているのがこちら。「家の売買は必ず宅地建物取引士を通さなくてはならない」ということ。そう思われている方が多数いらっしゃいます。
実は、「家そのものの購入」については、宅地建物取引士は必ずしも必要なものではありません。
よくあるのが、「ハウスメーカーの営業担当が宅建の資格がないらしい。宅建の無資格者を営業にしているなんて、この会社は大丈夫なのか?」という心配をされるケース。「ハウスメーカーに依頼して家を作る」場合の契約書は「建築請負契約書(工事請負契約書)」になります。その会社に所属している設計士、建築士が担当して作成・重要事項説明をすることになります。自分の土地に注文住宅を建てる、という場合は、宅地建物取引士の出番ではないのです。
そのため、「ハウスメーカーの営業」にとって、必ずしも必須の資格というわけではありません。もちろん一戸建てを購入するに当たり、土地関連法規や各種規制などについて知識がある営業のほうが、信頼感が増すことは事実です。また、ハウスメーカーを通して土地を購入したり、建売住宅を購入する場合には宅地建物取引士の出番となります。そのため、当然各社とも資格手当などで、社員に宅地建物取引士の資格取得を積極的にすすめています。


宅地建物取引士にしかできない仕事は何ですか?


宅地建物取引業法という法律で、資格を持っていなければできない業務が3つ決められています。

その1・重要事項説明書面への記名と押印
不動産(土地・建物)を宅建業者(一般的に言うと「不動産会社」のこと)が売買したり、持ち主から依頼を受けて取引の媒介や代理をする場合は、宅地建物取引士が、不動産の情報が記入された「重要事項説明書面」に記名・押印しなければなりません。

その2・重要事項説明書面についての内容説明
記名・押印した重要事項説明書面の内容について、特に重要な部分について、宅建業者は契約者に対してきちんと説明をすることが義務付けられています。その際に契約者に説明ができるのは、宅地建物取引士だけです。ハウスメーカーの営業担当が自社の建売を売る時に、有資格者でない場合は社内にいる別の有資格者がこの部分については担当することになります。

その3・契約書(37条書面)への記名と押印
重要事項説明が終わり、売り主と買い主がその内容に納得すれば、売買契約や賃貸借契約に進むことになります。宅地建物取引士は契約書を作成して、売り主と買い主両方に交付しなければなりません。この契約書面は、宅地建物取引業法37条にその内容などが決められていることから、不動産業界では「37条書面」と呼ばれています。この「37条書面」にも、重要事項説明書と同じように、宅地建物取引士が記名・押印をすることが決まっています。

<参考・参照元>
宅地建物取引業法


大切なのは「契約の場面できちんと法律に則ってすすめられているかどうか」

高額な金額が動く「土地・建物」。買い主を保護するための様々な法律があり、宅地建物取引士はその法律に則って契約手続きをすすめていかなければなりません。
不動産売買では、「買い主が気づきにくい落とし穴」がたくさん潜んでいるケースもあります。それを回避するための仕組みづくりを担っているともいえる宅地建物取引士。
その宅地建物取引士資格を管理する「一般財団法人 不動産適正取引推進機構」が毎年公開している「不動産売買の手引」には、これから土地や家を購入したい方へのヒントがたくさん掲載されています。みなさんもぜひチェックしてみてくださいね!

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この記事を書いた人

地域ライターE

ライター
建築住宅不動産業界担当営業経験10年&旦那が宅建士&父が元造園業経営&義父が不動産業経営! インテリアも整理整頓も大好物のフリーライターがみなさんの家づくりのお手伝いのため取材に走ります