建売住宅の収納が足りない!どうする!? ~収納プランナーに実際の建売住宅で収納計画してもらった

2023.11.29 烏田千洋
入居前から間取り収納の位置が決まっている建売住宅。長く住むとモノが増えて収納に困ってきますが、末永く快適に暮らせる住まいにするためには、どのように収納計画を行うとよいのでしょうか? 今回は建売住宅の収納計画について、プロのテクニックをご紹介します。

教えてもらったのは、二級建築士で住空間収納プランナーの御園生 梓(みそのう・あずさ)さん。実在の建売住宅の間取りをもとに、とある家族の収納計画をシミュレーションしていただきました。

建売住宅への入居前にぜひチェックしておきたい、必見の収納計画テクニックです。


今回「収納計画」する建売住宅&家族構成

建売住宅


造り付けの収納スペースがない、ミニマルな間取りで住宅コストを抑えた規格住宅プラン。

2階建3LDK 延面積:105.98㎡(32坪)
1階面積:52.99㎡(16坪)、2階面積52.99㎡(16坪)



家族構成(仮想)


  • 家族構成:妻/夫/子ども1人(娘3歳)
  • 賃貸アパートからマイホーム(建売住宅)へ住み替え
  • 妻の趣味はピアノの演奏
  • 二人めの子どもを考え中


収納計画のポイント「生活をリアルに図面に反映して考える」

御園生さんは、これまで200棟以上の新築戸建て住宅の収納コンサルタント経験がある住空間収納プランナー。収納プランでは、帰宅して、手を洗って、荷物を置いて……と、家の中で繰り広げられる暮らしのあれこれを細かく思い描きながら考えて、生活をリアルに図面に反映して計画するのが鉄則です。

「コンサルティングを始めるにあたり、まずお客様に “今の暮らしで困っていること”“こういう暮らしがしたい”といった理想の在り方についてお話を伺います。そして、それをもとに改善すべきことを間取り図面に落とし込んでいく作業を行います。

収納のサイズを考えていく上で大切なのが、“持っているモノの量を把握する”ということ。細かい持ち物について全てヒアリングしています。」(御園生さん)

それでは、今回のモデル家族のための収納計画について、具体的にアドバイスしてもらいましょう。家に帰ってきたところから始まる生活動線に沿って、図面を見ながら収納計画を考えていきます。


ただいま! 帰宅~玄関

玄関収納に入れるものは意外に多いです。特に、アパートやマンションなどの賃貸から住み替える場合、一戸建て住宅ならではの持ち物が増えていきます。

<収納するモノ>
  • 傘や雨具
  • スリッパ
  • 鍵・印鑑
  • シューケア用品
  • 虫よけ・マスクなどお出かけ用品
  • 子どもの外遊びのおもちゃ
  • 自転車用ヘルメット
  • 玄関の掃除用品
  • 高枝切りバサミなどの園芸用品
  • 雪かきセット など
また、家のメンテナンス用として大きなモノが増えていくのは、一戸建て住宅への住み替えではよくあること。

このご家族の場合、お子さんが増えてマイカーの購入があるかもしれません。そいうったことを考えるとクルマ用品や自転車のお手入れアイテムなど、玄関に入りきらないモノを入れるために、屋外の物置を導入するのがオススメします。


生活動線上で大活躍~ストックエリア

玄関を上がったら手洗いのために洗面所へ。その前に持っていたバッグなどの荷物を置きたいですよね。そこで活用できるのが、洗面所とキッチンの間のエリア(下図の点線で囲んだエリア)です。


この場所は「ストックエリア」として、またお出かけ動線上の収納場所としても活用できる利便性の優れたスペースです。シンプルで使い勝手のよい無印良品の「ステンレスユニットシェルフ」などを置くといいですよ。

<収納するモノ>
  • 洗面所の近くにあるとよいモノ(パジャマ、下着類、タオルのストックなど)
  • 掃除用品(掃除機、フローリングワイパーなど)
  • 玄関に置ききれなかったアウトドア用品(レジャー用の折りたたみイス、グランドシート、クーラーボックスなど)
  • 日用品のストック(ティッシュ、トイレットペーパーなど)
  • キッチンに置ききれない資源ごみの一時置き(段ボール、ペットボトルなど)
  • キッチン収納に入らないアイテム(ホットプレート、かき氷機など)
雑多な収納状況が気になるようであれば、目隠しにカーテンを下げてもよさそうです。



ゴミ箱の居場所も忘れずに!~キッチン

食器、キッチン家電などが全て納まるサイズの収納家具(食器棚、ダイニングボード、レンジボードなど)を導入しましょう(下図の赤四角部分)。


子どもが増えると弁当箱や水筒の数が増え、成長に伴って食器類も大きくなっていきます。収納家具は、大きめの余裕があるサイズを選んでおくのがオススメです。

また、後から困りがちなのがゴミ箱の置き場所。ゴミ箱をどこに置くかを念頭に置いて、導入する家具を計画することがポイントです。さらに家電のサイズはきっちり測って、きちんと納まるようにしましょう。


引き出し収納で、すっきり片付く~ダイニング

子どもにダイニング学習をさせるなら、ダイニングテーブルの上がモノで山積みにならないよう、テーブルの後ろ側(下図の赤四角部分)に収納を計画すると“すぐ片付く部屋”になります。


収納家具はニトリの「天然木サイドボード」など、スタイリッシュで収納力があるものがオススメ。引き出しとサイドボードがセットになっている収納なら子どもでも探しやすく、片づけやすいのでオススメ。

子どもが小学生になれば教科書やノート、教材が増えてくるのでダイニング学習を続けるなら大きめの収納家具を選ぶと◎。


<収納するモノ>
  • 文房具
  • 一時保管の書類・DM
  • 絵本
  • 便箋、切手、封筒
  • 衛生用品(絆創膏、爪切りなど)
  • 電池・延長コード
  • 家電取り扱い説明書 など


変化に応じられる収納計画~リビング

最近は、テレビ周りに収納スペースを作らないご家庭も増えているようですが、テレビ周辺はぜひ収納家具を導入したいエリア(下図、右の半透明赤四角)です。

幼稚園や小学校の行事画像のDVDや、おもちゃ・ぬいぐるみ、カメラ類をはじめ、子どもが大きくなればゲーム機やその周辺機器など、使う場所の近くに収納スペースがあるほうが片づけやすいです。

リビングには奥さんのピアノを設置。趣味の道具類の収納場所も忘れずに計画すること

ソファの後ろには、無印良品の「スタッキングシェルフ」のような、形を組み替えられるオープンタイプの収納を。子どもが帰宅してすぐランドセルや手提げバッグが置けるので、ママがイライラしないで過ごせます(笑)。

子どもが小学校高学年以上にもなれば、帰ってすぐに自分の部屋に行くようになります。大きくなったら収納家具を子ども部屋に移動するとよいでしょう。


一部屋は使わずにキープする! 洋室7.5帖・8帖

今回のモデル家族は、もうひとり子どもを考え中。そこで、2階にある洋室7.5帖の部屋は、将来的に子どもが増えたとき用に備えておくといいでしょう。

ふたりめの子どもが使う可能性があるサイズアウトした子ども服や、おもちゃなどのモノ置き場とし、大人のモノは置かずにキープすることが大事です。


今、ジャマだからと雑多にモノを入れてしまい、その状態から子ども部屋にシフトしようとすると、それまで入れていたモノを移動させる場所がなくなり、2階の階段ホールに流れ出ることになります。

家族構成が変わらない予定であれば趣味の部屋などとして使えばいいですが、子どもを計画しているのであれば空けておいて、次の子ども部屋としてキープしておくほうが、将来に向けて住みやすい暮らしになります。

8帖の洋室は、3歳になる娘さんの部屋に。洋服を入れるクローゼットと、こまごましたおもちゃなどを入れることができ、将来的には本棚にもできる収納家具など最低限の収納家具を導入(上図の赤四角)すれば、モノが床に散らばることなく片付きます。


モノが増えても吸収できる収納計画を~主寝室


2階の主寝室には、将来的にモノが増えても対応できるように、IKEAの「PLATSA」など同じシリーズで買い足せる収納家具を選ぶとよいですね。現状の持ち物プラス2割の量が入る余裕をもった収納があると安心です。

  • 畳んで収納できる洋服やベルトなど、細々としたモノを入れられる収納を。引き出しと棚がついていると、細かいモノを入れやすく使いやすい
  • 季節外の布団がしまえる収納家具を。奥行45cmあれば掛け布団は入る(洋服は肩から肩で60cm必要)
  • 思い出のモノ、趣味のモノもここに収納
寝室に限らず言えることですが、収納家具・用品を選ぶ際は定番商品となっている “シリーズもの”を選ぶと、統一した家具で快適に生活できます。暮らしの変化に応じて足せるので柔軟に対応可能です。

先にあげた無印良品やIKEAのほか、天馬のFits‎(フィッツ)などもオススメのシリーズです。


家事ラクになる収納術~2階 階段ホール

部屋干しが中心なら、2階の階段ホールにホスクリーンをもう一本追加してもよいかもしれません。

腰高90cm程度の引き出し収納を設置して、干して畳んだ洗濯物を収納できるエリアにすると家事がラクになります。アイロンも置いておけば、アイロンがけまで一気にできます。




快適な収納計画は、どんな住まいでも叶う!

ここまで、御園生さんに導かれるまま図面上でモデル家族の生活動線や子どもの成長をイメージし、一軒家まるごとの収納計画を見てきました。

このシミュレーションを通して見えてきたのは、快適な収納計画のためには、守るべき5つの鉄則があるということ。

快適な収納計画のための5カ条
  1. 持っているモノの量を知る!
  2. 家族の暮らし方・生活動線をイメージする!
  3. 子どもの成長など将来への視点を持つ!
  4. 「使う場所」に収納する!
  5. 収納家具・用品はシリーズものを選択する!

 この5カ条を踏まえて「どこに」「何を置くか」を考えれば、必要な収納のボリュームが分かります。そして何よりも、収納場所がないモノが「そこら辺になんとなく置いてあった」という残念な事態を避けることができ、スッキリと片付いた住まいが実現できるというわけです。

今回、収納計画をシミュレーションした間取りは、造り付けの収納がまったくない建売住宅です。収納がないというのはハンデにも思えますが、「壁面がたくさんあるので、背の高い収納も置きやすいというメリットがあります」と御園生さん。

ハコ(収納スペース)から考えるのではなく、そこにしまうモノから紐解いて、わが家流の収納計画で快適生活を叶えましょう!

<今回、教えていただいた方>

御園生 梓(みそのう・あずさ)さん
二級建築士/住空間収納プランナー/整理収納アドバイザー 間取りと収納のセカンドオピニオンサービスを提供する「ABIYO」代表。オーダーメイド型収納設計を中心に、自身が自宅を建てた経験も踏まえて、建築士、収納プランナー、主婦の視点から、後悔のない間取りを提案。中学生息子と小学生娘のママ。
https://abiyo.jp/

今回間取りをご紹介したのはハウスメーカー アイダ設計のシンプルな企画住宅「ブラーボ・ミニマル」。シンプルなプランで価格を抑えつつ、快適な暮らしのための機能性は充実させています。
間取りは今回ご紹介したものの他にも多数用意されています。

こちらから詳細をご覧いただけます!





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この記事を書いた人

烏田千洋

編集・ライター
家の建て替えか、リフォームか迷いつつ情報収集の日々。憧れは、トリプルガラスの樹脂窓と、全自動おそうじ機能付きの換気扇、朝日の入る日当たりのよいお家! 趣味、園芸。日本のいいね!が、見つかるメディア『japonism』編集長