家が働いて住宅ローンを返済する!? 夢の家を建てた建築家に聞く「アフターコロナの住まいのかたち」
住んでいる「家」自体が働いて稼いで、住宅ローンを返済してくれるとしたら……こんなにうれしいことはありませんよね。
建築家の高橋良弘さんは、そんな夢のような住まいを「住居+賃貸&シェアスペース」という新しい発想で実現しました。高橋さんの住まいは『MY NEST』としてモデル化され、『GOOD DESIGN AWARD 2020』ほか数々の賞を受賞。高橋さんのユニークな家づくりのアイデアをご紹介します。


「共同住宅」とひとくくりに言ってしまうと、よくある賃貸併用住宅のように聞こえますが、この家がユニークなのは、オーナー家族が暮らしている居住空間であるLDKやテラスをシェアスペースとして一般に開放しているということ。
新しい家づくりのアイデアは、どうやって生まれたのでしょうか?
高橋良弘さんと、同じく建築関係のお仕事をされている高橋礼(あや)さんにお話を伺いました。
――まず、この家のアイデアが生まれた経緯を教えてください。

高橋良弘さん(以下、良弘さん):子どもの教育の都合で引っ越すことにしまして、引っ越すのであれば「賃貸」と「持ち家」というのを、一般の方と同じように選択肢として考えたのですが、その間くらいの選択肢として事業的に収益を得る可能性がないかというのが最初の発想です。
事業収益を上げるという点では、まず家の立地に気をつけました。賃貸物件を探す方は、「駅徒歩何分で、何平米で」といった調べ方をすると思うので、駅からの距離と周辺の事例を見つつ賃料の目星をつけて計画を立てました。
私自身が建築士なので、自分で事業計画を立てて、設計は私と私の友人の設計事務所(333architects)との連名で行いました。一般の方の場合は、設計事務所とか不動産会社に相談されるとよいのではないでしょうか。
――家を建てるプロセスで、苦労された点はありましたか?
良弘さん:限られた土地の中で、床面積をいかにとるかというのが一番難しかったですね。
戸建て住宅と違って用途が「共同住宅」になるので、法規の基準が厳しくなります。内装材を不燃にしないといけないとか、消火設備が必要だとか。手間とお金もかかります。
またわが家は、賃貸部とは別に自宅部のLDKをシェアスペースとして平日の昼間の時間帯に貸し出していて、セキュリティ上、自宅部をどこで切るかというのは検討しました。

設計上は特に難しくなくて、扉をつけて鍵をつけてということで単純なんですが、どこで線引きをするかには気を使いました。
これは、家族やライフスタイルによると思います。うちの場合は、リビングまではとりあえずOKということで、一間続きのLDK全体をシェアしていますが、もしかしたらキッチンは嫌だ、そもそもリビングを人に貸すなんてありえないということであれば、こういうやり方にはなっていなかったですね。
――住居兼賃貸のお家、しかも居住空間をシェアするということで、家族としてはどのような印象だったのでしょうか?
高橋礼さん(以下、礼さん):最初から特に違和感はなかったです。もともと子どもができる前から家に人が来ることに抵抗がないというか、よく人を呼んでいたので、その延長のような感じで人に貸すというのもあり得るのかなというところです。
礼さん:私がやっています。シェアスペースのサービスに登録していて、そこから利用希望者さんから申し込みがきたら適宜対応するといったかたちです。
手持ちのモバイル端末で返信をするだけなので、特に大変でもありません。
シェアしていて、特に困ったこともありませんね。利用してくださった方、みなさん律儀な方が多いのかキレイに使っていただいています。
――キッチンの調理器具や調味料もシェアされているとか。
礼さん:そうですね。出ているものは自由に使っていただいて……という感じで。
良弘さん:シェアハウスに住むのとあまり変わらないかなという感じですね。共用部と個室があって。調味料は共用で、使ったらみんなの貯金箱に100円玉入れてみたいな。
そういう価値観も頭にあったので、そんなにぶっとんだ生活でもないかなっていう。
――この家のプランについて、まわりの方からはどういった反応がありましたか?
良弘さん:友人まわりは建築関係が多いので、「面白いね」「いいね」といったことですね。でも、思ったよりも「やろうと思っても、できないよね」という反応が多いですね。
僕らは普通にやってるんですけど、「普通できないよね」と言われることが多くて、意外とギャップがあるんだなというのは感じます。
――私も「すごくユニーク! 」と思ってお話を伺いにきましたが、お二人があまりに「普通のこと」といったテンションなので、普通なのかなと思い始めていたところです(笑) テラスは、「小商いの空間」としてシェアされているとのことですが、詳しく教えてください。
良弘さん:着想としては、戸建て住宅って、「ここからは自分の家ですよ」というのがはっきりした建物の種類だと思うんですね。そういうのが建ち並んでいるよりも、ちょっと開かれていたほうがいいなというのを、もともと思っていて。
自宅で収益を上げるというオーナー側のアイデアと、町にとっても開いたほうがいいだろうというので一階部分をテラスとしてシェアするかたちにしました。
使われ方は分からなかったけれど、とりあえずスペースには『コーヒースタンド』という名前をつけて、水回りをつけたというところまでが建築的な側面です。使い方は、ニーズによって変わってくるだろうと思っています。
礼さん:今は、日本茶のソムリエの方が気に入ってくださって、月に1回お店をやってくださっています。あとは、不定期ですが、私が子どもと一緒にカフェという体でコーヒーを販売したりしています。
良弘さん:返済してくれています。とんとんよりちょっと収益が出てるくらいですね。
地下一階にはオフィススペースがあって、この家を連名で設計した設計事務所が入居しているので会社の会議室のように入居者間で予約しあって利用しています。

――事業計画がしっかりされていて素晴らしいです。それでは最後に改めて、アフターコロナも見えてきた今、町に開かれた「住居+賃貸&シェアスペース」という新しい賃貸併用住宅に暮らしてみての感想をお聞かせいただけますでしょうか?
礼さん:最初にもお話したことと重なるのですが、家にお友達を呼ぶのと同じ感覚で、家をキレイにして気持ちのいい空間を使ってもらうということで、自分がいなくても感覚的なところは変わらないです。
わが家は、職住空間を兼ね備えた家になっていますが、まさに“会社に行かないで働く”働き方が見えてきた今、家の中のいろんな場所で働ける、いろんな場所があることが求められていると感じます。
家の中にも、さまざまな用途の場所、たとえば食事する場所とは別の場所があっていいのかなということに気づいていらっしゃる方は多いのかなと思いますね。
良弘さん:一般に開放したシェアスペースといっても、空間にはかなり特長があり、またアクセスの条件もそれほどいいわけでもありません。
この場所を選んで来てくださる方は、それなりのハードルを越えて来てくれている。価値観が近い人が集まってくるのかなというのはあって、そこから次のつながりが生まれたりというのは、逆に面白いかなと思います。
――ありがとうございました!
「家に働いてもらう」というアイデアで、賃貸併用住宅という昔からある住まいのかたちを、町にひらかれたシェアスペースとして軽やかにアップデートした家づくりがとてもおしゃれで印象的でした。みなさんの家づくりにもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
最後に、高橋家の全貌がわかる動画をご紹介いたします。
共同設計:333architects
写真撮影:NATSUKI MIZUTANI
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建築家の高橋良弘さんは、そんな夢のような住まいを「住居+賃貸&シェアスペース」という新しい発想で実現しました。高橋さんの住まいは『MY NEST』としてモデル化され、『GOOD DESIGN AWARD 2020』ほか数々の賞を受賞。高橋さんのユニークな家づくりのアイデアをご紹介します。

「働く家」とは、どんな家?
高橋良弘さんが、妻の礼(あや)さんと娘2人の家族4人で暮らす家は、広々とした公園に面した坂の途中のオシャレな一軒家。オーナー住戸と賃貸住宅2戸で構成された共同住宅です。
「共同住宅」とひとくくりに言ってしまうと、よくある賃貸併用住宅のように聞こえますが、この家がユニークなのは、オーナー家族が暮らしている居住空間であるLDKやテラスをシェアスペースとして一般に開放しているということ。
新しい家づくりのアイデアは、どうやって生まれたのでしょうか?
高橋良弘さんと、同じく建築関係のお仕事をされている高橋礼(あや)さんにお話を伺いました。
――まず、この家のアイデアが生まれた経緯を教えてください。

高橋良弘さん(左)、礼さん(右)
高橋良弘さん(以下、良弘さん):子どもの教育の都合で引っ越すことにしまして、引っ越すのであれば「賃貸」と「持ち家」というのを、一般の方と同じように選択肢として考えたのですが、その間くらいの選択肢として事業的に収益を得る可能性がないかというのが最初の発想です。
事業収益を上げるという点では、まず家の立地に気をつけました。賃貸物件を探す方は、「駅徒歩何分で、何平米で」といった調べ方をすると思うので、駅からの距離と周辺の事例を見つつ賃料の目星をつけて計画を立てました。
私自身が建築士なので、自分で事業計画を立てて、設計は私と私の友人の設計事務所(333architects)との連名で行いました。一般の方の場合は、設計事務所とか不動産会社に相談されるとよいのではないでしょうか。
――家を建てるプロセスで、苦労された点はありましたか?
良弘さん:限られた土地の中で、床面積をいかにとるかというのが一番難しかったですね。
戸建て住宅と違って用途が「共同住宅」になるので、法規の基準が厳しくなります。内装材を不燃にしないといけないとか、消火設備が必要だとか。手間とお金もかかります。
またわが家は、賃貸部とは別に自宅部のLDKをシェアスペースとして平日の昼間の時間帯に貸し出していて、セキュリティ上、自宅部をどこで切るかというのは検討しました。

設計上は特に難しくなくて、扉をつけて鍵をつけてということで単純なんですが、どこで線引きをするかには気を使いました。
これは、家族やライフスタイルによると思います。うちの場合は、リビングまではとりあえずOKということで、一間続きのLDK全体をシェアしていますが、もしかしたらキッチンは嫌だ、そもそもリビングを人に貸すなんてありえないということであれば、こういうやり方にはなっていなかったですね。
――住居兼賃貸のお家、しかも居住空間をシェアするということで、家族としてはどのような印象だったのでしょうか?
高橋礼さん(以下、礼さん):最初から特に違和感はなかったです。もともと子どもができる前から家に人が来ることに抵抗がないというか、よく人を呼んでいたので、その延長のような感じで人に貸すというのもあり得るのかなというところです。
調味料までシェアする「普通」の暮らし
――シェアスペースの運営は、どのようにされているのですか?礼さん:私がやっています。シェアスペースのサービスに登録していて、そこから利用希望者さんから申し込みがきたら適宜対応するといったかたちです。
手持ちのモバイル端末で返信をするだけなので、特に大変でもありません。
シェアしていて、特に困ったこともありませんね。利用してくださった方、みなさん律儀な方が多いのかキレイに使っていただいています。
――キッチンの調理器具や調味料もシェアされているとか。
礼さん:そうですね。出ているものは自由に使っていただいて……という感じで。
良弘さん:シェアハウスに住むのとあまり変わらないかなという感じですね。共用部と個室があって。調味料は共用で、使ったらみんなの貯金箱に100円玉入れてみたいな。
そういう価値観も頭にあったので、そんなにぶっとんだ生活でもないかなっていう。
――この家のプランについて、まわりの方からはどういった反応がありましたか?
良弘さん:友人まわりは建築関係が多いので、「面白いね」「いいね」といったことですね。でも、思ったよりも「やろうと思っても、できないよね」という反応が多いですね。
僕らは普通にやってるんですけど、「普通できないよね」と言われることが多くて、意外とギャップがあるんだなというのは感じます。
――私も「すごくユニーク! 」と思ってお話を伺いにきましたが、お二人があまりに「普通のこと」といったテンションなので、普通なのかなと思い始めていたところです(笑) テラスは、「小商いの空間」としてシェアされているとのことですが、詳しく教えてください。
良弘さん:着想としては、戸建て住宅って、「ここからは自分の家ですよ」というのがはっきりした建物の種類だと思うんですね。そういうのが建ち並んでいるよりも、ちょっと開かれていたほうがいいなというのを、もともと思っていて。
自宅で収益を上げるというオーナー側のアイデアと、町にとっても開いたほうがいいだろうというので一階部分をテラスとしてシェアするかたちにしました。
使われ方は分からなかったけれど、とりあえずスペースには『コーヒースタンド』という名前をつけて、水回りをつけたというところまでが建築的な側面です。使い方は、ニーズによって変わってくるだろうと思っています。
礼さん:今は、日本茶のソムリエの方が気に入ってくださって、月に1回お店をやってくださっています。あとは、不定期ですが、私が子どもと一緒にカフェという体でコーヒーを販売したりしています。
町に開かれたアフターコロナの住まい方
――賃貸部とシェアスペースで、家自体が働いて稼ぐというしくみになっているのですね。お家はちゃんと稼いで住宅ローンの返済をしてくれていますか?良弘さん:返済してくれています。とんとんよりちょっと収益が出てるくらいですね。
地下一階にはオフィススペースがあって、この家を連名で設計した設計事務所が入居しているので会社の会議室のように入居者間で予約しあって利用しています。

――事業計画がしっかりされていて素晴らしいです。それでは最後に改めて、アフターコロナも見えてきた今、町に開かれた「住居+賃貸&シェアスペース」という新しい賃貸併用住宅に暮らしてみての感想をお聞かせいただけますでしょうか?
礼さん:最初にもお話したことと重なるのですが、家にお友達を呼ぶのと同じ感覚で、家をキレイにして気持ちのいい空間を使ってもらうということで、自分がいなくても感覚的なところは変わらないです。
わが家は、職住空間を兼ね備えた家になっていますが、まさに“会社に行かないで働く”働き方が見えてきた今、家の中のいろんな場所で働ける、いろんな場所があることが求められていると感じます。
家の中にも、さまざまな用途の場所、たとえば食事する場所とは別の場所があっていいのかなということに気づいていらっしゃる方は多いのかなと思いますね。
良弘さん:一般に開放したシェアスペースといっても、空間にはかなり特長があり、またアクセスの条件もそれほどいいわけでもありません。
この場所を選んで来てくださる方は、それなりのハードルを越えて来てくれている。価値観が近い人が集まってくるのかなというのはあって、そこから次のつながりが生まれたりというのは、逆に面白いかなと思います。
――ありがとうございました!
「家に働いてもらう」というアイデアで、賃貸併用住宅という昔からある住まいのかたちを、町にひらかれたシェアスペースとして軽やかにアップデートした家づくりがとてもおしゃれで印象的でした。みなさんの家づくりにもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
最後に、高橋家の全貌がわかる動画をご紹介いたします。
共同設計:333architects
写真撮影:NATSUKI MIZUTANI
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