消費税増税のタイミングで住宅の減税措置が拡大!住宅ローン減税と贈与税の非課税枠について解説

2019.08.26 椎名前太
政府は以前から国民が住宅を取得しやすくなるように、さまざまな施策を打ち出していました。
住宅ローン減税や住宅取得資金贈与の特例もその中に入ります。

そしてこの2つは、2019年10月の消費税引き上げに対処するために、より私たちにメリットがある制度へと生まれ変わります。


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住宅ローン減税の控除期間が3年間延長に

住宅ローン減税は、住宅取得の資金を融資によって調達する場合に、毎年末のローン残高の1%を10年間に渡って所得税から控除する制度です。所得税から控除しきれない場合は、住民税からも一部控除されます。

その最大控除額は10年間で400万円でした(新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合は500万円)。それが消費税が10%に引き上げられる令和元年10月1日から令和2年12月31日までに入居した場合は、控除期間が3年間延長されることになりました。

ただし、11年目から13年目の3年間の控除額は、以下の1、2のうちいずれか少ない方の金額になります。

1. 住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円※)のうちいずれか少ない方の金額の1%

2. 建物の取得価格(上限4,000万円※)の2%÷3



なお、住宅ローン減税は、新築住宅だけでなく中古住宅や100万円以上の工事費のリフォームなども対象となります。


減税効果をシミュレーション

国土交通省のサイト「すまい給付金」(http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/)では、住宅ローン減税の3年間延長の効果を下記の条件でシミュレーションしています。

【設定条件】
家族:夫、妻(専業主婦)、子ども(2歳)
収入:675万円(課税所得:344万円)
住宅価格:5,000万円(借入4,250万円)
金利:2%(固定)
返済期間:35年(元利均等)

【総控除額】
10年間:375万円
13年間:456万円
差額:81万円
3年間の延長で数十万円も多く減税されるのです。

この減税を受けるには、たとえサラリーマンであっても入居した翌年に確定申告をする必要があります。
くわしくは住宅を販売した会社の営業担当者に聞いてみましょう。


贈与税の非課税枠が1,200万円から3,000万円に拡大

住宅を購入する際、その資金を両親や祖父母などから援助してもらう人もいるでしょう。しかし、援助してもらうお金には贈与税がかかってしまいます。

しかし、従来から直系尊属(両親や祖父母など)から住宅取得資金(増改築含む)の贈与を受けた場合に限って非課税とする住宅取得資金贈与の特例というものがありました。
一定の要件を満たせば省エネ住宅(断熱性能等級4など)の場合1200万円まで、それ以外の一般住宅でも700万円まで非課税になるのです。

そしてさらに消費税の引き上げにあたって、その非課税枠が下記のように拡大しました。

省エネ住宅:1,200万円→3,000万円

一般住宅:700万円→2,500万円

なお、この非課税枠は新築などの契約締結日によって次のように異なります。



非課税枠を利用する要件

この枠を利用するには以下のような要件があります。

「利用者の要件」

  • 贈与者の直系卑属であること。
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること。
  • 贈与を受けた年の所得税課税額が2000万円以下であること。
  • 2009年分から2014年分までの贈与税申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その全額を利用して住宅の新築等をすること。

「建物の要件」※新築または取得の場合

  • 新築または取得した住宅の登記簿上の面積(マンションの場合は専有部分の床面積)が50m2以上240m2以下で、かつ、その住宅の床面積の2分の1に相当する部分が利用者の住居となるものであること。

くわしくは住宅を販売した会社の営業担当者に確認しましょう。

椎名前太
住宅・不動産ライター。建築家などの専門家とは違う徹底した消費者目線で法律・税制関係でも分かりやすく書くのが得意。不動産関連書籍の執筆・編集協力の実績は35冊以上。その他雑誌やWebでも執筆。宅地建物取引士。
HP:https://www.zenta1.com/

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椎名前太

住宅・不動産ライター
住宅・不動産ライター。建築家などの専門家とは違う徹底した消費者目線で法律・税制関係でも分かりやすく書くのが得意。不動産関連書籍の執筆・編集協力の実績は35冊以上。その他雑誌やWebでも執筆。宅地建物取引士。