木の家は燃えにくい? 構造の専門家に聞く木造住宅のメリット(後編)

みなさんこんにちは。ともこ@住宅ライターです。

前編では、構造の専門家に、住宅に木を使うメリットや、気を付けなくてはいけない点を教えていただきましたね。

木の家は燃えにくい?構造の専門家に聞く木造住宅のメリット(前編)

後編でも、木の家のメリットをたくさん教えていただきたいと思います。

(右:佐藤先生 左:堤先生)

構造の専門家 佐藤実先生はこんな方



こちら(「地震に強い家を建てるなら「耐震等級3」が必須? 構造のプロに聞きました」 前編 / 後編)でも対談していただいた佐藤実先生は、「株式会社M’s構造設計(https://www.ms-structure.co.jp/)」の代表であり、実務者向けの「構造塾」を主宰されています。住宅をはじめとした建物の構造計算をしつつ、最近ではYouTubeなどでセミナー動画も公開されています。

すべては「日本中の木造住宅が地震で倒壊しないことを目指す! 」という熱い思いを持たれているから。なかなか真似できることではありません。


地震力を受けにくい細マッチョな木造

ともこ「佐藤先生、後編もよろしくお願いします! 」

佐藤先生(以下敬称略)「こちらこそ、よろしくお願いします」

ともこ「前回、木は軽くて強い面があると教わったのですが、もう少し具体的に教えてください」

佐藤「分かりました。地震によって建物に働く力のことを地震力と呼ぶんですね。この地震力を受けやすいかどうかは、体重で変わります」

ともこ「地震力の受けやすさは、体重、つまり家の重量で変わるんですね」

佐藤「人間でも体重が2倍違ったら、体重の重い人のほうが、2倍の地震力を受けて揺れる。これが地震力の特徴です。
構造を例えてみるなら、鉄骨造やRC造はゴリマッチョ、木造は細マッチョですね」

ともこ「まさかのゴリマッチョと細マッチョ! おもしろいです」

佐藤「ゴリマッチョの構造は、強くできますが体重が重い。体重が重いと、地震力を受けやすいのはお伝えしたとおりですね。
これに対して、細マッチョの木造は軽いので、地震力を受けにくい」

ともこ「なるほど! 」

佐藤「地震力を受けにくいので、スリムな筋肉で耐えられる。そんなイメージですね。住宅のような大きさでしたら、細マッチョが理想です」

ともこ「とても分かりやすいです。個人的にも細マッチョが理想です(どうでもいい)」


ストライクゾーンだと安価な木造

ともこ「続きまして。前編でも少し触れましたが、木造の価格は高いのか安いのか、教えていただきたいです」

佐藤「木造は、ストライクゾーンだと安いです。このストライクゾーンというのは、小さな部屋の連続で、3階までの建物を指します」

ともこ「一般的な住宅だと、ストライクゾーンに入るということですね。なぜ安くできるのでしょうか」

佐藤「まず、流通している多くの木材は、3~6mのものが基本です。単純に、その木材を柱や梁に使うと、安価になるのは分かりますよね?」

ともこ「はい! 」

佐藤「柱に梁がきちんと架かるレベルで構成されると、耐力壁を造ることができるので安全性が確認できます」

ともこ「なるほどー!」

佐藤「さらに、木材は軽いので基礎が小さく済みますし、地盤補強をしなくても建つ可能性が高い。
このような面から、鉄骨造やRC造と比べると、木造は安いと言えますね」

ともこ「またまた、よく分かりました! 住宅のような大きさだと、木造はぴったりですね」

佐藤「おまけの話ですが、木造は横に広げていくのは、強度的に問題ないんですね。
たとえば、福祉施設のように、小さな部屋が連続する建物がそれに当たります」

ともこ「言われてみると、思い浮かぶ建物があります。ストライクゾーンですね。木の癒し効果も得られると思うので、そういった施設は向いてそうですね」


植林の木は使った方がいい事実

ともこ「ここで疑問が生まれました。ストライクゾーンではないのに、大規模の建築物に木を使ったりしていますよね。なぜでしょうか」

佐藤「そうですね。たしかに、大規模の建築物は、鉄骨造やRC造のストライクゾーンです。コストパフォーマンスも高いですしね。
そこにあえて木を使うというのは、木の質感が好まれるといった要因があると思います。これに加えて、国産の木を使うことにも意味があります」

ともこ「国産の木ですか。なかには、自然を壊すといったイメージを持っている人もいると思いますが」

佐藤「まず、日本には、天然林と人工林があるんですね」

ともこ「はい」

佐藤「天然林を伐採するのは、自然破壊になります。でも、人工林の場合は、残す方が良くないんです。日本は植林をして使うという文化がありますしね」

ともこ「そうなんですね! 小学校で習ったような……」

佐藤「木は育つときに光合成をして、二酸化炭素を貯めています。いつまで貯めることができるのかというと、燃やすときまでです。燃やすまで、木は炭素の貯蔵庫になっているんですね」

ともこ「ありがとう、木さん。という気分です」

佐藤「では、ずっと貯め続けることができるのかといえば、そうではなくて、ある程度ため込むと、お腹いっぱいになります」

ともこ「二酸化炭素でお腹いっぱいになるんですね。木が愛おしくなってきました」

佐藤「(笑)だから、お腹いっぱいの木は、建材や家具などの木材として使った方がいんですね。何らかの形にして、木を燃やさないというのは大事です。そしてまた、新たな木を植えて二酸化炭素を減らすというサイクルが理想です」

ともこ「材木にして燃やさない時間を稼いで植林! 木で家を建てることも、地球のためになるんですね~」


日本の林業を守る

このパートは、取材に同席いただいた省エネと構造の両立で「人も家も倒れない社会」の実現を目指す、堤太郎先生にもご参加いただきます。

ともこ「今、日本の人工林はどのような状況なのでしょう」

佐藤「戦後、たくさんの家が建ちました。そのときに植えた木が、お腹いっぱいになっているという時期ですね」

ともこ「ということは、その木を使うタイミングですね! 」

佐藤「そうですね。国産材は使いどきだと思います」

堤先生(以下敬称略)「適切な時期に伐採して、また植えてというのは、手をかけてはじめて成り立つんですね。手付かずの荒れ放題にしてしまうと、健全な木が育成しないので、木材自身も適したものにならないんです」

ともこ「なるほど! 人工林の維持管理は、林業にとっても大切ですね」

堤「そうですね。そういうサイクルが狂ってしまうと、林業も衰退します。林業が衰退すると、山が荒れてしまいます。そうなると、今ある資産(国産材)が使えないということになりかねない。
さらに加えると、国産材を使わずに輸入材に頼り続ける、という構図は、日本の資産(お金)がどんどん国外に出て行ってしまう、という流れが続くことになります」

ともこ「それは日本にとって大変よろしくないです」

堤「これは、日本のエネルギー自給率が低いままで輸入に大きく頼っている構図と似ています。
話を戻すと、そういった流れを少しでも変えていくためにも住宅の構造体などで、そういう材木を使うというのは意味があると思います」

ともこ「スケールが大きなお話しに発展して驚いています。輸入に依存するのも考えものですね」


【おまけ】木造の大規模建築物について

佐藤「2つ補足をします。日本に、大規模の木造建築物が増えてきたというのは、実は、『林業の活性化』と『二酸化炭素』の削減というところから始まっているんですね」

ともこ「そうなんですね! 」

佐藤「住宅だけではなく、まずは、公共建築物に使いましょう、という中大規模の『公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(公共建築物等の木材利用促進法)』ができたので、それから活発になっています」

ともこ「そんな背景があったとは!」

佐藤「その目的はお伝えしたとおりなんですが、大規模建築でもコストが抑えられるかといえばそうでもないというのは、きちんと理解していただきたい部分ですね」

ともこ「前編でも教わりました」

佐藤「もう一つは、運搬による二酸化炭素の削減です」

ともこ「先ほどもお話しにありました!材木の輸入ですね! 」

佐藤「そうです。材木自体は安いというのはあるのですが、運搬のときに船が二酸化炭素を出してしまいます。だから、できるだけ地元の木を使えば使うだけ、運搬による二酸化炭素の発生を抑えることができます」

ともこ「そこまで考えていなかったです」

佐藤「そういう視点では、地元の木を使う地産地消は意義があると思います。ですが、なかには『地域の気候風土に合った材木』などと、確証がないのに宣伝しているところもあるので、注意が必要ですね」

ともこ「最後のお話しは、衝撃です。ありがとうございました」


木の家は林業を守ることにも繋がる!

いかがでしたか?「木の家は燃えにくい? 構造の専門家に聞く木造住宅のメリット(後編)」

とにかく、個人の住宅で木を使うことが、日本の林業やお金、地球環境を守ることにつながるとは思っても見ませんでした。木って深い~ですね。

実のところ、まだまだ続きがあるのですが、かなりマニアックなお話しになるので機会があればお伝えしたいと思います。

ともこ@住宅ライターでした!


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この記事を書いた人

ともこ@住宅ライター

フリーランス住宅ライター・編集者
フリーランス住宅ライター編集者・省エネ建築診断士・ママと暮らしのデザイン社所属・広島出身・愛媛在住・一児の母・元スノーボードインストラクター・住宅誌営業からフリーに・主に住宅誌&住宅サイトで執筆中・有料note 工務店向け!これは真似できる「一条工務店の集客術」発売中・ブックライティング、セールスレター、チラシご相談ください。