親子にとっての「リビング学習」のメリット・デメリット&理想の間取りを考えてみた

2019.11.13
引越しや物件の購入は、お子さんが小学校に上がる前後のタイミングが多いといわれています。

なぜなら、学区が固定されてお友達や塾通いも安定しますし、なにかとモノが増える学校生活に向けて準備したいと考える方が多いから。


同時に親にとって気になるのは、本格的に始まる「お勉強」のこと。子ども部屋があった方がいいのか、早くから塾に通わせないといけないか……などなど、ママ友と話をしているといろいろな情報が入ってきますよね。

そんななか、勉強に関して最近ポピュラーになりつつあるトピックが、ずばり「リビング学習」!

「リビング学習」とはその名の通り、子どもにリビングルームで勉強させること。建売住宅でも注文住宅でも、リビングに勉強できるスペース「スタディスペース」を設ける間取りが実際にとても増えてきているんです。

そこで今回は、この「リビング学習」のメリットやデメリット、勉強スペースを設ける際のポイントなどをご紹介していきます。


小学生の大半はリビングで勉強している!

東京ガス都市生活研究所の2014年の調査「家で子どもが過ごす部屋~子どもの過ごし方と親子それぞれの意識」によれば、「最も勉強しやすい場所は?」という質問に対して、小学1〜3年生の55%以上、小学4〜6年生の46%以上が「リビング・ダイニング」と答えています。「自分の部屋」と答えたのがそれぞれ約24%、約25%に対して、それぞれ2倍近い数です。
(出典:https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20140318-01.html)


もちろん、まだ子ども部屋を持たせるには早い、といった親の考えや、そもそも部屋数が足りないといった事情から、リビングで勉強せざるをえないケースもあるでしょう。

そこで、親と子、それぞれにとってのリビング学習のメリット・デメリットや、デメリットの解決方法について考えていきます。


子どもにとっての「リビング学習」のメリット

まず、子どもにとってのリビング学習のメリットを考えてみましょう。


適度な雑音が集中力を高めてくれる


図書館のように静かな場所よりも、ファストフード店やカフェのように音楽や音が聞こえる場所の方が集中できる、という方は多いと思います。

リビング学習についても同じこと。家族がいるからこそ生まれる家事の音があるなかで、しっかり目の前の課題に取り組む練習をすることが、集中力を高めてくれるという意見があります。

わからないことをすぐに親に質問できる


小学校低学年の頃の勉強は、基本的にできないものが多くて当たり前。たとえば、国語なら漢字の書き取り、算数ならば足し算引き算などは、これまでの幼稚園、保育園ではまったく触れてこなかったものばかりなのです。それだけに、低学年の頃はどうしても、“すぐにできる子”と“なかなかできない子”の差が生まれてしまいがちです。

ただこれは、才能でも努力不足でもなく、コツをつかむのが遅いか早いかの差でしかありません。大事なのは、その最初のつまづき、「わからない」を放っておかないこと。リビング学習なら、子どもが迷ったときにすぐに質問ができる環境が作れます。



家族と一緒なので安心感がある


一度つまづいてしまうと、落ち込んだり、勉強することが嫌になったりしますよね。ひとりで勉強をしているとそれはなおさら。そのため、孤独を感じない環境の方が、勉強をする気持ちが高まるといわれています。

近くに誰かがいる環境というのは、学校や塾も同じです。小学校低学年の頃は、ひとりきりになる環境はトイレくらいのものです。誰かの目が行き届いている環境こそ、子どもが安心して勉強に打ち込める環境といえます。


親にとっての「リビング学習」のメリット

「リビング学習」は、親にとってもメリットが大きいといわれています。


子どもの学習進度が見えやすい


「リビング学習」が毎日のことになると、普段から子どもが勉強する姿を見ることができます。それによって、どんな勉強が得意・不得意なのか、子どもがどんな様子で勉強をしているのかを知ることができます。

小学校のテストは基本的に単元ごとにおこなわれます。そのため、普段のテストの点数だけでは、本当の実力を測ることが難しいのです。単元ごとのテストで良い点数をとっていたとしても、実際の理解度や学習態度が悪ければ、実際の成績にはつながりにくいですし、実力テストの結果にギャップを感じることもあるでしょう。また、テストの結果だけで「塾か家教師に……」と思いがちですが、それも子どもによって向き不向きがあります。

そういった判断をするためにも、どこでつまづいているのか、本当にわからないのか、やる気がないだけなのかなど、日常的にわかるのは「リビング学習」ならではのメリットといえます。



子どもとのコミュニケーションが取りやすい


「適度な雑音」としての親からの語りかけが、場合によっては効果的なこともあります。

洗濯物をたたみながら、自分の小学生時代の苦手な勉強の話などをすれば「なぁんだ、算数が苦手なのはお母さんも同じなんだ」と安心できたり、そのことが頑張るきっかけになることもあります。

「ちょっと話しかけないでくれる? 」と言われるくらい集中できるようになれば、子どもの自主性と集中力が育まれていることも実感できますよね。成長の度合いを確かめることができるのも、「リビング学習」だからこその醍醐味といえるでしょう。


子どもにとっての「リビング学習」のデメリット

いいことづくめに見える「リビング学習」ですが、もちろんデメリットも……。


勉強するための準備が必要


たとえば教科書、ノート、筆記用具などを勉強時に揃えておかなければなりません。勉強の途中で「三角定規がない」「辞書がない」など“足りないモノ”が出てしまうと、集中が途切れてしまいます。

家庭内の収納や環境によっては片付けることが難しかったり、“なあなあ”になることも……。そうならないように大人側の工夫が必要となります。

家族がいることで逆に気が散る


家族の気配を感じたり、雑音が聞こえることで、集中を途切れさせて逆効果になることもあります。インターホンや電話が鳴ることもありますし、家族がテレビを見ていれば当然勉強どころではありません。

ただしこのような雑音があることは、「リビング学習」のメリットの裏返し。子どもにとってどんな音や環境が過ごしやすくて勉強に集中しやすいのかを観察しながら考えてあげることが大切です。

片付けが雑になる


家族みんながいるリビングを勉強スペースにしようとすると、必然的に勉強道具や教科書類も置くことになります。その結果、片付けが乱雑になったり、リビングに置きっ放しになんてことも……。

この点については、子ども部屋など片付ける場所をお子さんとしっかりと決めて、根気強く片付けを習慣化させるという大人側の心構えが必要となります。


親にとっての「リビング学習」のデメリット

親にとっても、リビングを学習スペースにすることのデメリットはあります。


リビングが片付かない、散らかる


最も多い意見がこれではないでしょうか。子どもが勉強するたびに学習用品を広げることになりますし、消しゴムのカスなどの細かいゴミも散らかりがちです。

また、子ども部屋がない場合はリビングに学習用具を置くスペースも必要になりますが、習字、図工、音楽など、家庭学習では使わないような作品なども増えていく一方です。それらを整理・保管するスペースもリビングに……となると、なかなか片付きません。

デスクマットを用意してゴミをまとめやすくするなど、スペースを有効活用するためのアイデアも必要です。

親に頼り過ぎてしまう


親が勉強を見ることができることの裏返しとして、子どもが自主的に勉強を頑張るという姿勢がなくなることも。

つい口を出してしまいがちという方は、子どもの自主性が育たなくなってしまうかもしれません。基本的には自分の力で、親はあくまで手助けだけ、ということを心がけてくださいね。

勉強中の姿勢が崩れやすい


勉強机とイスは、勉強に集中できるように設計されており、高さを調整したり机の上のスペースの有効活用ができるようになっています。

一方、リビングはあくまで食事をしたりくつろいだりする場所。ダイニングテーブルやソファの近くのローテーブルなどでは、姿勢が悪くなったり、長時間集中するのも難しいといわれます。


「リビング学習」のための「スタディスペース」間取り例

このようなメリット・デメリットがある「リビング学習」ですが、冒頭でご紹介した通り、最近の住宅ではマンション・一戸建てを問わず「スタディスペース」があらかじめ設定された間取りが増えています!

一般的には作り付けのデスク部分だけが用意されていて、好きなイスを置くだけでちょっとした物書きやパソコンでの調べものなどができるという使い方が提案されています。親子でイスを並べて、子どもは勉強、お母さんは調べものや読書をするというご家庭も。

建築コストとしても、棚板を1枚セットするだけで済むので、作り付けの本棚などを設置するよりもリビングの圧迫感がありませんし、コストも安上がりです(もちろん、もっと凝った作りもできます)!

ここで、「リビング学習」に最適な間取りの例をいくつかご紹介しましょう。


間取り例1 キッチンの近くにレイアウトする


もっとも一般的なスタディスペースがこれ。リビングの脇にカウンターのようなかたちで、机の向きを壁に向かうようにする間取り例です。


採光のを上の方につけているのは、目の前にあると光が強すぎて気が散ってしまうことや、正面の壁を時間割や賞状などを掲示するスペースとしても使えるため。キッチンに近い場所にレイアウトすることも多く、食事を作りながら会話したりできる、ちょうどいい距離感もポイントです。

この間取りをご紹介している記事はこちら
埼玉県伊奈町のアイダ設計「ブラーボ・ゼネクト」の施工例

間取り例2:玄関から直接行ける廊下にレイアウトする


こちらは、リビングに間仕切りを置いてその奥をスタディスペースとした間取りの例。


例1のようにリビングのオープンスペースにスタディスペースを置くと、どうしてもテレビなどの誘惑が……。

一方こちらは、実質的にはリビングと仕切ったスペースとして作られているため、より長時間集中することができ、かつすぐに勉強を見ることもできるという、目的意識がはっきりした方向けの間取りと言えます。

小学生くらいの年齢のうちは、ここを子ども部屋がわりにするのもよいですね。

この間取りをご紹介している記事はこちら
茨城県水戸市のアイダ設計「ブラーボ・ゼネクト」の施工例

間取り例3:中2階や階段下などのデッドスペースにレイアウトする


最後の間取りは、1階と2階の間にあるスペース、いわゆる「中2階」を活用したものです。


リビングに設置すると片付かないし気が散るし……というご家庭には最もオススメ!

1階のリビングはもちろん、2階の寝室や兄弟の部屋などからも常に目が届きます。子どもにとっても適度に離れているので、自立した勉強も可能ですし、集中もしやすくなります。

最大の課題は、そもそも中2階を設置するような間取りにできるかどうか、というところでしょうか。中2階は、子どもが小さいうちは勉強スペースに、成長したら大人の書斎としてという使い方もあります。なによりおしゃれ!


「リビング学習」を定着させるための5つのコツ

最後にご紹介するのは、「リビング学習」をうまく実現するためのコツです。

子どもたちは、単に場所と環境を用意すれば勉強してくれるほど甘いものではありません!(笑)
やる気を持たせて、自主的に勉強や整理に取り組むようにするためには、大人の頑張りも必至! また、勉強に集中するための設備や環境を整えてあげることも必要です。

そこで、先輩パパママたちの経験から、「リビング学習」を定着させるために必要なコツをご紹介します。


その1 勉強道具を整理する専用棚を用意する


子どもが勉強道具を散らかしてリビングが片付かない最大の理由は、しっかり収納できるスペースを設けていないから。

ランドセルや教科書類をまとめて収納できるワゴンタイプの収納ボックスなら、スタディスペースの下にピッタリ収まり、整理整頓も習慣づけられます。

高さが低めでローラーが付いていて動かしやすいランドセルワゴンは、ニトリやベルメゾンなどの通販がお手頃価格で人気です。

また、家庭学習用の筆記用具は、100円ショップで売っているような透明の道具箱にまとめておくと、片付けの意識づけも促しやすくなります。


その2 イスは学習用のしっかりしたものを選ぶ


スタディスペースは天板部分のみ作り付けの長机タイプになっており、当然勉強用の椅子はありません。実は、このイス選びがポイント。

リビングだからと、簡易的なイスや折りたたみイスなどを選ぶと、せっかくのリビング学習の効果は落ちることに……。

勉強に集中するためには、いい姿勢を保てる&気が散ったりしないようなものが最適です! 回転するタイプのキャスター付きのイスはくるくると遊んでしまいがちなので、ずっしりした重さがある木製のイスや、姿勢を整えてくれる機能性イスなどがオススメ。

たとえば、ストッケのトリップ トラップは、お子さまの成長に合わせて調節ができる優れもの。オシャレでインテリアにも馴染んでくれます。


引用元:ストッケ | Stokke



その3 手元を照らすデスクライトを使う


スタディスペースの多くは壁に向かってレイアウトされており、このスペース専用のライトなどは用意されていません。そのため、勉強をするとなると手元を照らすデスクライトが必要となります。

勉強に集中できる環境を作るために、手元が影にならないようにしつつ、教科書などをしっかり読める単独のライトスタンドが欲しいところ。

オススメなのは、LEDで学習用にまぶしさを抑えて文字が見えやすくする機能をもつ商品。明るさや色温度を変えられるタイプもあります。電気代も節約できて、環境に応じて明るさを変えられるので便利ですよ♪

引用元:LEDデスクスタンド SQ-LD300|パナソニック



その4 家族みんなで勉強に集中できる環境づくりをする


リビングで子どもが勉強している時は、できるだけ勉強に集中できるように、家族がテレビを見たるなど、楽しそうなことをする時間も少し抑えてあげられるといいででしょう。

自然な雑音をわざと作る必要はありません。ご飯を作ったり洗濯物をたたんだりと、日常的な家事をこなすくらいでいいと思います。

その5 時間や目標などの区切りを設けてだらだらを回避する


リビング学習の難しいところは、適度な雑音、適度な周囲の動きというところ。子どもの性格によっては気が散ってしまってまったく勉強できない、ということもあると思います。

そのため、時間を区切ったり、プリントの枚数を限定するなどの勉強の区切りを設定することで、集中力を高めて勉強に取り組むことができます。


「リビング学習」がやりやすい家は生活もしやすい

幼い頃からの「リビング学習」は、将来的に自分の部屋を持ったときに効果が見えるといいます。自分の部屋を持って集中できる環境があったはずなのに落ち着きがない……という子もいますし、逆にうるさい環境の中だからこそ、しっかり勉強できたという子もいます。まさに、十人十色といったところ。

「リビング学習」も万能ではなく、いい面も悪い面もたくさんある、家庭学習のひとつの方法論でしかありません。しかし、子どもにとって、家族にとって、どんな学習環境がいいのかを、夢の新築一戸建てを建てる際に少しだけ気にしてみると、将来のお子さんにとって大きな財産になるかもしれません。

お子さんが勉強に触れる大事な大事な最初の時期を、ご家族みんなで見守りながら、一緒に成長していきませんか?


<参考URL>
家で子どもが過ごす部屋~子どもの過ごし方と親子それぞれの意識