現金よりも不動産相続の方がお得?

2016.06.07 ieny編集部
2015年からの相続税の課税強化によって、基礎控除額が縮小され、相続税の課税対象となる人が増えました。相続税対策として資産を現金で持つよりも、不動産として相続した方が得とされています。


家など不動産の所有で相続税の算定額を下げられる


財産は現金で所有するよりも、不動産として所有する方が相続税の算定額を下げることが可能です。相続税は、現金や株式などの有価証券は時価で計算されます。これに対して、土地は路線価で算定され、市場価格の8割程度が目安です。家などの建物は、固定資産評価額での計算となり、建築費用の50~60%ほど。不動産を所有することで固定資産税や都市計画税は課税されますが、土地を買って家を建てることで、相続税の算定額を大幅に下げることができるのです。

アパート経営でさらに評価を下げられる


所有する土地は、アパートやマンションを建てて貸すことで所有者の自由には使えないため、貸家建付地としての評価となり、さらに相続税の算定額を下げることが可能です。土地の評価は、自らが使用する自用地としての評価から、借地権割合と借家権割合が差し引かれ、建物は借家権割合が控除されます。実際に賃貸契約が行われている割合のみが適用されますので、評価額の算定は、土地は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」、建物は「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」となります。

借地権割合は地域によって異なりますが住宅地は50~60%、借家権割合は30%です。借地権割合が60%で賃貸割合が100%の場合、評価額は土地は68%、建物は42%ほどになります。

賃貸経営を行うことは、資産の相続税の評価額を下げられるだけではなく、相続税の納税資金を確保できることもメリットです。


不動産は株式のように価値がゼロになることはほぼないものの、不動産価格の下落リスクがあります。また、不動産として所有することで、換金が容易ではないことがデメリットです。アパートやマンションなどの賃貸経営を行ううえでは、空室リスクもあります。リスクを抑えるためには、駅に近く利便性や流動性の高い土地を購入するとともに、エリアに住む人の属性に合った賃貸物件とすることが大切。賃貸物件の経営は単独所有が望ましいため、遺言書を残しておかないと相続をめぐってトラブルの要因になりやすいという点にもご注意ください。

相続税対策としてアパートやマンション経営を行ったら空室が目立つようになってしまった、ということでは資産の目減りを招いて何もしない方がよかったといったケースもみられます。不動産を使った相続税対策は専門的な知識が必要です。不動産のプロに相談したうえで、相続税対策とはいえ経営者の視点で、賃貸運営ができるかを含めて、慎重に判断していきましょう。

関連記事

この記事を書いた人

ieny編集部

皆さまの“楽しい家づくり”をサポートしたい! 『楽しく、後悔のない』家づくりをするために必要な情報を、日々こつこつと集めては吟味をしている。息抜きは100均パトロールで、お得に便利なものを探して報告しあう毎日です。