家にいるだけでダイエット?! ネパールの縦長のお家~定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家 vol.9

ここ数年、訪日外国人が急増していますが、その中でも特に増えているのが、ネパール人と言われています。
かつて“コリアンタウン”であった新宿区新大久保は、“リトルカトマンズ”と呼ばれるようになるほど、多くのネパール人が暮らしており、その数は約7万人と現在も増え続けています。


ネパールは、同じアジア圏にあるせいか、日本人にとっては、ヨーロッパや欧米とは違う親しみを感じやすい国の一つではないでしょうか。
私は過去に定住旅行(現地の家庭に滞在をして、その国の文化や生き方を伝える活動)をネパールで2度行ったことがあります。

今回は、そのネパールの首都カトマンズで暮らす、リシ家をご紹介したいと思います。

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多くの民族が共存する街 カトマンズ

カトマンズは標高1,400mにある盆地で、約8000年前は湖底だったと言われています。
バイクや車、人が無秩序に行き交い、混沌とした印象を受けますが、お隣のインドで感じるような激しさはなく、どこか落ち着く雰囲気を感じました。ネパール国内には、多くの民族が暮らしており、多様な人種、言語、宗教や文化が混在しています。
街を歩くだけで、いろいろな顔つきや服装をした人びととすれ違い、日本では味わうことのない多様性を肌で感じます。


伝統的な結婚“アレンジメント・マリッジ”とは?

今回ご紹介をするブハンダリさんの家は、カトマンズの中でも最も外国人観光客が訪れる、タメル地区からすぐの場所にあります。
夫のリシさん、妻のマヤさん、長女のバーサちゃんと次女のリトゥちゃんの4人家族が暮らしています。


夫のリシさんにマヤさんとの馴れ初めを聞きました。

「ネパールでは、親が結婚を決めるのが一般的なので、海外であるような恋愛結婚というのはあまりないのです。ですので、ある時期になると、両家の親同士が相談をして決めるのです。結婚するまで妻のことは知りませんでしたが、現在もとても幸せで何も不満はありません」

リシさんは“アレンジメントマリッジ”と呼ばれる、両親の同意によって成立する婚姻で、ネパールにおける伝統的な風習で結婚された例でしょう。
私たちの感覚では理解しづらい価値観かもしれませんが、ネパール人の多くは、「恋愛と結婚は別物」と割り切って捉えている人がほとんどです。


オフィス兼自宅!4階建ての新築一戸建て

リシさんのお家は、オフィス兼自宅となっています。リシさんは、Satori Adventure(サトリ・アドベンチャー)という旅行会社を経営していて、ヒマラヤ登山遠征や国内旅行の手配をしています。


4階建ての立派な建物は2013年に建てられたばかりの新築です。
カトマンズ市内には、こうした縦長で幅が狭い構造の家が多く、各階ごとにキッチンやベッドルームなどが振り分けられているのが特徴です。また、家の素材はレンガや木造などが一般的。
家の中では、部屋から部屋へ移動する度に必然的に階段を使うことになるため、上がったり下りたりと自然と運動量が増えます。


エントランスには家族が信仰するヒンドゥー教の神様、ガネーシャなどの像が飾ってあります。また玄関では、日本同様靴を脱いで室内に入ります。
玄関に飾られているマリーゴールドは、神様にお供えする縁起良い花として知られています。

夏の時期のカトマンズは、気温が30度を超え、湿度も高くなります。家の中はが小さく作られており、日差しがあまり入らず、とてもひんやりとしています。
また、エアコンも各部屋に完備されていました。


1階はエントランスのみ、2階は賃貸で貸し出しているため、リシさんの友人家族が暮らしています。
3階がキッチン、リビング、ベッドルームと家族が暮らすスペースとなっています。4階は仕事場とゲストルームがあり、毎日たくさんの人たちが出入りしています。


最上階にはお祈りの部屋が設けてあり、毎朝曜日によってその日の神様にプージャと呼ばれる神への礼拝が行われます。鐘を鳴らし、お香を焚いてお祈りを捧げます。


ネパールでは家事は女性の仕事。キッチンにはいつも奥さんのマヤさんが常駐しています。
実はカトマンズには計画停電というものが存在しており、1日の内6時間以上は電気が通わない時間帯があります(2016年頃から計画停電は廃止されたそうです)。
ですので、日本の感覚でスーパーへ買い物に行って、野菜や牛乳、アイスクリームなどを購入して、しばらく保存しておくといういうことができません。
食材は毎日買い出しへ行き、その日のうちに全て消費するのが基本です。いつも新鮮な野菜や食料が食べられる反面、炭酸飲料などは、瞬く間に温くなって甘ったるくなってしまいます。
携帯の充電なども、電気が通っているうちに済ませなければ、丸1日困ってしまうことも。


キッチン立ち入り禁止!? ヒンドゥー教にあるきまりとは?

ブハンダリ家が信仰しているヒンドゥー教には少し変わった習慣があります。
それは月に1度、お母さんのマヤさんがキッチンには入れない日が数日あるというものですが、皆さん、それがどんな日なのか想像できるでしょうか?

実は、ヒンドゥー教を信仰する女性は月経中、キッチンや寺院へ立ち入ってはいけないという決まりがあるのです。
ですので、その間は近くに住む従姉妹が親戚の人が来て、代わりに料理や家事を代行します。


見晴らしと日当たりの良い屋上には、洗い場と干し場があります。洗濯物はここで手洗いし、干します。
日差しが強いので、どんな洗濯物も半日程度ですぐに乾いてしまいます。

縦長構造のお家は、建物が密接して立っている都会のカトマンズの土地を最大限に利用した作りになっています。
部屋がそれぞれの階で分かれているので、家族同士のコミュニケーションは、みんながリビングに集まったときや、ダイニングで食事をするときでした。
他の国ではあまり見かけない、とてもユニークな作りのお家ですね。


ERIKO

モデル・定住旅行家 モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。
WEB : http://chikyunokurashi.com
インスタグラム:erikok1116

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この記事を書いた人

定住旅行家 ERIKO

モデル・定住旅行家
モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。