栃ノ心の故郷“ジョージア”、首都トビリシのシンプルエレガントなお家〜定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家 vol.8

世界中で現地の家庭に滞在し、その国の文化や暮らしを体験して発信している、モデル・定住旅行家のERIKOがお届けする、“定住旅行家ERIKOが住んでみた、世界のお家”シリーズ。

今回ご紹介するのは、アジアの西端、旧ソ連の国、ジョージアです。
ジョージアと聞くと、アメリカのジョージ州やコーヒーを連想される方も多いと思います。ジョージアの旧名称は“グルジア”です。その昔、シルクロードの交差点として、多くの人や物が行き来していた場所です。ワインの発祥地としても有名なので、行ってみたい!というワイン好きの方も多い国かもしれませんね。

今年の1月にジョージア出身の力士、春日野部屋の栃ノ心関が優勝を果たし、それをきっかけに様々なメディアでジョージアのことが取り上げられるようになりました。ジョージアは格闘技大国でもあり、日本の相撲界では栃ノ心関と、臥牙丸関が力士として活躍しています。


“アジアのスイス”?独自の伝統文化が魅力的なジョージア

現在の人口は370万人。1991年に旧ソ連から独立しました。4世紀ごろに作られ、守られてきたと言われている、ジョージア語が公用語として話され、どの国にも似ていない独自の伝統文化が継承されています。
また最近、日本でも人気がじわじわ出てきているのがジョージアワイン。ジョージアはワイン発祥の地で、今でも各家庭で伝統のクヴェヴリと呼ばれる壺で発酵し醸造されています。
私も渡航するまでは未知の国の1つでしたが、実際に行ってみると、治安も良く、観光客がたくさん来ており、海外では人気の渡航地なのだと感じました。
ジョージアは“アジアのスイス”とも呼ばれており、地方へ足を運ぶと、絵に描いたような絶景に出会うことができます。


ジョージアの首都、トビリシで一人暮らしをしているリリさんのお宅をご紹介したいと思います。まず、リリさんが暮らしている首都トビリシのご紹介から。

トビリシは、紀元前3000~4000年ころから人々が暮らしていたと言われる都市で、人口は100万人。
トビリシという名前の由来は、ジョージア(グルジア)語でトビリ(温かいという意味)から来ており、その名前の通り、日本顔負けの質の良い硫黄泉が出ています。“ハマム”と呼ばれるその温泉に入るのは、ジョージア人にとって欠かせない癒しでもあります。

またジョージアは幾度となく敵からの侵略を受けてきた国でもあり、観光地となっているトビリシを見下ろすナリカラ要塞は、数え切れないほど、破壊と再建が繰り返されてきました。
トビリシ市内は、多くの車やバス、人が行き交い、とても賑やかな街です。人びとがのびのびと生活する様子からは、戦いばかりしていた国とは考えにくいほどです。

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ソ連の面影を残す住宅地も中はリノベ済み

トビリシ市内には、新しくモダンな建物が次々と建てられていますが、一般の人びとが暮らすマンションは、ソ連時代に建てられたものが多く残り、そのまま使われています。建て付けも古く、一見廃墟にさえ見えるときがありますが、中はほとんどがモダンにリノベーションされています。


こちらがリリさんさんが暮らす住宅地。
マンションの中にあるエレベーターもソ連時代のもので、箱の中に入るとこのまま止まってしまい閉じ込められてしまうのではという恐怖に襲われました。笑

リリさんのマンションはオートロックではないので、しょっちゅう知らない人が物を売りに来たり、お金の相談をしに来たりします。
日本のマンションではありえない、驚くべきことですが、ジョージアには経済的に困っている貧困層も多く、それをお互いに理解しているのか、門前払いする人はほとんどおらず、話を聞いてあげたり、少額のお金を渡したりします。

ジョージアは美女が多いことでも有名ですが、リリさんはエレガントで品がある、ジョージア人らしい女性です。


シンプルでエレガント!日差しがたっぷり差し込む室内


家全体は3LDKの間取りでリリさんは一人で暮らしていますが、しょっちゅうお孫さんが泊まりにきています。
ここのリビングで、リリさんは多くの時間を読書をして過ごしています。


こちらの広々としたベッドルームはリリさんの寝室。日差しが入って明るいです。


ベッドルームに置いてあるイコン。ジョージアはキリスト教を世界で2番目に国教に定めた国です。ジョージア人の伝統や文化は、ジョージア正教会に多くの影響を受けています。
どこの家庭にも祭壇があり、イコン(聖人)や聖書、先祖の写真などがろうそくと一緒に置いてあり、毎朝お祈りが捧げられます。


こちらはキッチンダイニング
キッチンコンロはガスで、マッチで火を起こして点火します。小ぶりなキッチンですが、ジョージア人にとって食卓はとても大切なもので、食事の時はテーブルいっぱいに料理を並べます。
また、お水は水道の蛇口からそのまま飲むことができます。ジョージアには、ミネラルウォーターの源泉が700カ所以上あり、美味しく健康的なお水が豊富にある国としても有名なのです。
リリさんをはじめ、一般的なジョージア人は、宗教的な事情から、水曜日と金曜日は、お肉や卵、乳製品を摂ることを控えています。

こちらはサモバと呼ばれる紅茶のポット。アンティーク家具のようで素敵な雰囲気を醸し出します。
リリさんは過去に戦争を幾度も体験してきました。ジョージアの一部ではまだ争いの火種が残る場所もありますが、ほとんどの地域の国民はとても穏やかに暮らしています。

「これまで色んな痛ましいことを見てきたけど、自分が生きている間にこんな静かで安心できる日が来るとは思っていなかったわ。外に出かけて、人が笑っている姿を見かけると本当に幸せを感じるの。昔は笑顔でいることなんてできないくらい生活が大変だったから」

独立してから26年、様々な政治体制を経て今ジョージアはEUへの加盟に向けて研さんを積んでいます。小国ながら、国民一人ひとりがしっかりとした自国のアイデンティティを持つジョージア。今後もこの国に魅了される人は増え続けていくことでしょう。


ERIKO

モデル・定住旅行家 モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。
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定住旅行家 ERIKO

モデル・定住旅行家
モデル活動と並行し、「定住旅行家」として、世界の様々な地域で現地の人びとの家庭に入り、生活を共にし、その暮らしや生き方を伝えている。 訪れた国では、民間外交を積極的に行い、現地と日本の架け橋になる活動も行う。これまで定住旅行した国は、ラテンアメリカ全般(25カ国)、ネパール、フィンランド、ロシア、サハ共和国、ジョージア、イタリア、北海道利尻島、三重県答志島などで、74家族との暮らしを体験。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。「日経トレンディネット」、「不二家 ERIKO&ペコちゃんの旅」で連載中。