窓リフォームでヒートショック予防を!YKK AP(リフォーム事例編)
住宅ライターの箕岡智子(ともこ@住宅ライター)です。
あなたは「ヒートショック」をご存知ですか?
ヒートショックは、急な寒暖差で血圧が大きく変動して健康を害してしまうことです。寒暖差の大きい場所、例えば、浴室などで多く発生していて、失神や不整脈を起こしたり、急死に至るケースもあるんです。
ヒートショックという死因はありませんが、入浴中の心肺停止の主な原因は、ヒートショックだと言われています。
厚生労働省の研究班による調査では、入浴中の事故死の数は年間約19,000人とされていて、これは増加傾向にあります。なので、寒い家に住んでいる人は要注意です!
そして、よく比較されているのが「交通死亡事故」なのですが、全国の交通事故死者数は3,904人(平成28年中)で、これは減少傾向にあります。
飲酒運転に対する規制が厳しくなったり、自動車の性能が上がったのも要因のひとつと言われています。
道路で亡くなる人より、お風呂で亡くなる人の方が圧倒的に多いのが分かりますね。まさか、家の外より、家の中の方が危険だったとは驚きです!
単純に考えたら交通事故死の対策と同じように、住宅に対する規制を厳しくしたり、住宅性能を上げたらヒートショックが減りそうな気もします。
続きまして、「入浴中の事故死」県別ランキングを見てみましょう。
引用元:平成26年3月26日 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター プレス発表資料より
こちらのデータによると、1位は意外にも、香川です。2位は兵庫、3位は滋賀。
ワースト3は、すべて温暖なイメージがある西日本です。
寒い代表の北海道はというと、下から2番目。青森も下から4番目です。
これはどういうことかというと、北海道や青森の人は、寒いのが分かっているから、断熱に対する意識が高い。断熱がきちんとできていると、浴室とリビングの温度差が少ない。温度差が少ないということは、ヒートショックが起きにくい。
ヒートショックは外気が寒くても予防できるということが分かります。
逆に、温暖な地域ほど油断してしまっているのが見て取れますね。
ではこのヒートショック、どのようにしたら予防できるのか。
予防策の一つに、お風呂の窓リフォームがあります。
ヒートショックが発生する場所は浴室が多いですから、お風呂の窓を断熱性の高い窓に変えて温度差を軽減し、ヒートショックを防ごう!というわけです。
ということで、今回も、窓メーカーYKK APにご協力いただき、お風呂の窓リフォーム(マドリモ)を紹介します。なんと、ワースト1位だった香川の実例なのできっと参考になると思いますよ!
<参考・参照元>
冬場に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! - 消費者庁
平成28年中における交通死亡事故について - 一般財団法人 全日本交通安全協会
その理由は、お風呂だけ新しいシステムバスに変えて断熱性能と見た目が良くなっても、窓を新しくしないと、断熱効果が得られないし、見た目も悪いからなのだとか。
以上のことを考えたら一緒にリフォームするは自然な流れですよね。
そんな同時リフォームを行なったS様邸とN様邸、2件の実例を紹介しましょう。
抱えていた悩みはこちらです。
<共通する悩み>
Sさんも、Nさんも共通する悩みを抱えていて、どちらも築年数が35年を経過しているお宅です。
35年以上前の家だと、無断熱の家があった時代ですから、お風呂もきっと寒かったでしょうね…。
S様邸の外観です。一昔前のお風呂の窓は、大きめに取るのが一般的だったそうです。
こちらの窓も、高さ90cm、幅約170cmと大きめですね。
<ビフォア写真02>
S様邸の内観です。
これだけ窓が大きいと、視線が気になりますし、冷気もたくさん入ってきていたでしょうね。窓枠はアルミですから、なおのこと。アルミは外気温が伝わりやすい材質でしたね。窓も1枚ガラスです。
(窓フレームの材質や、ガラスの枚数について、詳しくはこちらをご覧ください。)
そして、お風呂の床材はタイルで、冬場はとても冷んやりしていたそうです。
<施工中写真01>
お風呂のリフォーム工事と、窓のリフォーム工事を同時に進行しています。
一度に両方リフォームできるのは、助かりますね。
<施工中写真02>
古い窓を取り外し、新しい枠を取り付けます。既存の窓枠はそのまま残しておくので、簡単にできるそうです。
この窓枠は、両サイドに断熱パネル(左右の茶色の部分)が入っているタイプです。開口部を小さくしたい場合は、こういった窓枠が採用されます。
<アフター写真01>
お風呂と窓の同時リフォームが終了しました。浴室は、まるで新築です!
以前に比べると、窓の大きさが2/3ほどの大きさになりましたね。
システムバスはTOTO(ほっカラリ床、魔法びん浴槽)にチェンジ。床も冷たくありません!
<アフター写真02>
窓の両サイドに断熱パネルが入っている窓枠は、このように納まりました。
ガラスは、金属の膜が施されているLow-Eの日射取得タイプなので、中の様子は分かりませんね!
<アフター写真03>
窓は、APW310(アルミ樹脂複合)を採用されました。
この窓は、アルミと樹脂のフレームに、Low-E複層ガラス(2枚ガラス)が入ったものです。
(窓の性能について詳しくはこちらをご覧ください。)
これで、窓からの熱の出入りが軽減されます。最後に、元あった格子を再度取り付けて完了です。
N様邸の内観です。
S様邸同様、窓はアルミフレームの1枚ガラスでした。窓の割合もかなり大きいですね!視線と冷気の対策としてブラインドを設置していたようです。
<ビフォア写真02>
N様邸の外観です。
日よけシートでさらに窓を覆っていたんですね。外からの視線がかなり気になっていたのが分かります。
<施工中写真01>
少し見えにくいですが、引き違い窓(引き戸)と、断熱パネル入りFIX窓(はめ殺しの窓)の、連窓になっています。
このようなタイプにすることで、新設した窓を最適な配置にすることができるそうです。
お風呂リフォームも同時進行中です!
<アフター写真01>
Sさん宅と同様の窓とシステムバスを採用しました。
将来、窓の下に手すりを取り付けることを考慮した配置です。開閉しやすく掃除も楽になったそうです。浴槽のギリギリのところまで窓がありましたから、以前と比べるとかなり窓が小さくなりましたね。
<アフター写真02>
リフォーム後の外観です。
サイズダウンを図ったところに、断熱パネルが入っています。中からだと分かりませんでしたが、外から見るとこれだけ窓が小さくなったのが分かりますね。こちらも既存の格子を再度取り付けて、工事が完了となりました。
ちなみに、SさんとNさんのお宅どちらにも施されていた断熱パネルは、このような構造になっています。
窓の一部を壁のようにする断熱パネルで、窓の大きさや、高さを調整することができるのですね!
おおよそのスケジュールは、相談:8月上旬、調査:8月末、解体:9月中旬、施行:9月中旬で進行したようです。
窓だけのリフォーム(図のかんたんマドリモ)の場合は、約2時間で施行ができてしまいます。
どちらのお宅も、要望どおり窓が小さくはなり、断熱性能が向上しました。
外からの見た目が少し気になっている人もいると思いますが、健康には変えられませんよね。
今まで抱いていた、寒い・汚い・視線が気になるという悩みも解消されたようです。
そして、何よりヒートショックの予防にもなりました!
ヒートショックは浴室に限ったことではなく、リビングとの寒暖差のあるトイレや廊下といった場所でも発生しかねません。そのような所の窓リフォームも可能なので、「家がとにかく寒い」という人は、業者に一度相談してみてもいいかもしれませんね。
小学生向けの学習教材なので、とっても分かりやすく描かれています!私もお世話になりました。
一般販売はないそうですが、全国の図書館や小学校に実物があるようです。学研キッズネット「まんがひみつ文庫」というサイトで見ることができるのでご参考までに!
そしてそして、YKK APはさらにスゴイ窓を大学と共同で研究しているというニュースもあり、近い未来には実用化も?ということで、住まいの温熱環境を整えてくれる窓業界、今後の動きに注目です!
まとめ
いかがでしたか?窓の世界!たかが窓、されど窓でしたよね。新築、リフォームを検討している人は、自邸で使用されている窓はどんなものなのか、ちょっと探ってみてはいかがでしょう。
(注:私は決してYKK APの回し者ではありませんが、住宅ライターとして色々勉強するとたどり着いたというだけのことです、はい。今後もマニアックなネタをご紹介したいと思います笑)
あなたは「ヒートショック」をご存知ですか?
ヒートショックは、急な寒暖差で血圧が大きく変動して健康を害してしまうことです。寒暖差の大きい場所、例えば、浴室などで多く発生していて、失神や不整脈を起こしたり、急死に至るケースもあるんです。
ヒートショックという死因はありませんが、入浴中の心肺停止の主な原因は、ヒートショックだと言われています。
厚生労働省の研究班による調査では、入浴中の事故死の数は年間約19,000人とされていて、これは増加傾向にあります。なので、寒い家に住んでいる人は要注意です!
そして、よく比較されているのが「交通死亡事故」なのですが、全国の交通事故死者数は3,904人(平成28年中)で、これは減少傾向にあります。
飲酒運転に対する規制が厳しくなったり、自動車の性能が上がったのも要因のひとつと言われています。
- 入浴中の事故死約19,000人
- 交通事故死者数3,904人
道路で亡くなる人より、お風呂で亡くなる人の方が圧倒的に多いのが分かりますね。まさか、家の外より、家の中の方が危険だったとは驚きです!
単純に考えたら交通事故死の対策と同じように、住宅に対する規制を厳しくしたり、住宅性能を上げたらヒートショックが減りそうな気もします。
続きまして、「入浴中の事故死」県別ランキングを見てみましょう。
引用元:平成26年3月26日 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター プレス発表資料より
こちらのデータによると、1位は意外にも、香川です。2位は兵庫、3位は滋賀。
ワースト3は、すべて温暖なイメージがある西日本です。
寒い代表の北海道はというと、下から2番目。青森も下から4番目です。
これはどういうことかというと、北海道や青森の人は、寒いのが分かっているから、断熱に対する意識が高い。断熱がきちんとできていると、浴室とリビングの温度差が少ない。温度差が少ないということは、ヒートショックが起きにくい。
ヒートショックは外気が寒くても予防できるということが分かります。
逆に、温暖な地域ほど油断してしまっているのが見て取れますね。
ではこのヒートショック、どのようにしたら予防できるのか。
予防策の一つに、お風呂の窓リフォームがあります。
ヒートショックが発生する場所は浴室が多いですから、お風呂の窓を断熱性の高い窓に変えて温度差を軽減し、ヒートショックを防ごう!というわけです。
ということで、今回も、窓メーカーYKK APにご協力いただき、お風呂の窓リフォーム(マドリモ)を紹介します。なんと、ワースト1位だった香川の実例なのできっと参考になると思いますよ!
<参考・参照元>
冬場に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! - 消費者庁
平成28年中における交通死亡事故について - 一般財団法人 全日本交通安全協会
寒い・汚い・視線が気になる…を解決!
YKK APによると、お風呂と窓を同時にリフォームする例が多いそうです。その理由は、お風呂だけ新しいシステムバスに変えて断熱性能と見た目が良くなっても、窓を新しくしないと、断熱効果が得られないし、見た目も悪いからなのだとか。
以上のことを考えたら一緒にリフォームするは自然な流れですよね。
そんな同時リフォームを行なったS様邸とN様邸、2件の実例を紹介しましょう。
抱えていた悩みはこちらです。
<共通する悩み>
- お風呂が寒い
- お風呂が汚い
- 外からの視線を感じないよう窓を小さくしたい
Sさんも、Nさんも共通する悩みを抱えていて、どちらも築年数が35年を経過しているお宅です。
35年以上前の家だと、無断熱の家があった時代ですから、お風呂もきっと寒かったでしょうね…。
ケース1|香川県観音市S様邸・築約35年(60代)
<ビフォア写真01>S様邸の外観です。一昔前のお風呂の窓は、大きめに取るのが一般的だったそうです。
こちらの窓も、高さ90cm、幅約170cmと大きめですね。
<ビフォア写真02>
S様邸の内観です。
これだけ窓が大きいと、視線が気になりますし、冷気もたくさん入ってきていたでしょうね。窓枠はアルミですから、なおのこと。アルミは外気温が伝わりやすい材質でしたね。窓も1枚ガラスです。
(窓フレームの材質や、ガラスの枚数について、詳しくはこちらをご覧ください。)
そして、お風呂の床材はタイルで、冬場はとても冷んやりしていたそうです。
<施工中写真01>
お風呂のリフォーム工事と、窓のリフォーム工事を同時に進行しています。
一度に両方リフォームできるのは、助かりますね。
<施工中写真02>
古い窓を取り外し、新しい枠を取り付けます。既存の窓枠はそのまま残しておくので、簡単にできるそうです。
この窓枠は、両サイドに断熱パネル(左右の茶色の部分)が入っているタイプです。開口部を小さくしたい場合は、こういった窓枠が採用されます。
<アフター写真01>
お風呂と窓の同時リフォームが終了しました。浴室は、まるで新築です!
以前に比べると、窓の大きさが2/3ほどの大きさになりましたね。
システムバスはTOTO(ほっカラリ床、魔法びん浴槽)にチェンジ。床も冷たくありません!
<アフター写真02>
窓の両サイドに断熱パネルが入っている窓枠は、このように納まりました。
ガラスは、金属の膜が施されているLow-Eの日射取得タイプなので、中の様子は分かりませんね!
<アフター写真03>
窓は、APW310(アルミ樹脂複合)を採用されました。
この窓は、アルミと樹脂のフレームに、Low-E複層ガラス(2枚ガラス)が入ったものです。
(窓の性能について詳しくはこちらをご覧ください。)
これで、窓からの熱の出入りが軽減されます。最後に、元あった格子を再度取り付けて完了です。
ケース2|香川県丸亀市N様邸・築約35年(60代)
<ビフォア写真01>N様邸の内観です。
S様邸同様、窓はアルミフレームの1枚ガラスでした。窓の割合もかなり大きいですね!視線と冷気の対策としてブラインドを設置していたようです。
<ビフォア写真02>
N様邸の外観です。
日よけシートでさらに窓を覆っていたんですね。外からの視線がかなり気になっていたのが分かります。
<施工中写真01>
少し見えにくいですが、引き違い窓(引き戸)と、断熱パネル入りFIX窓(はめ殺しの窓)の、連窓になっています。
このようなタイプにすることで、新設した窓を最適な配置にすることができるそうです。
お風呂リフォームも同時進行中です!
<アフター写真01>
Sさん宅と同様の窓とシステムバスを採用しました。
将来、窓の下に手すりを取り付けることを考慮した配置です。開閉しやすく掃除も楽になったそうです。浴槽のギリギリのところまで窓がありましたから、以前と比べるとかなり窓が小さくなりましたね。
<アフター写真02>
リフォーム後の外観です。
サイズダウンを図ったところに、断熱パネルが入っています。中からだと分かりませんでしたが、外から見るとこれだけ窓が小さくなったのが分かりますね。こちらも既存の格子を再度取り付けて、工事が完了となりました。
ちなみに、SさんとNさんのお宅どちらにも施されていた断熱パネルは、このような構造になっています。
窓の一部を壁のようにする断熱パネルで、窓の大きさや、高さを調整することができるのですね!
お風呂と窓の同時リフォームの流れ
Sさんも、Nさんも、リフォーム業者へ相談をされました。おおよそのスケジュールは、相談:8月上旬、調査:8月末、解体:9月中旬、施行:9月中旬で進行したようです。
窓だけのリフォーム(図のかんたんマドリモ)の場合は、約2時間で施行ができてしまいます。
どちらのお宅も、要望どおり窓が小さくはなり、断熱性能が向上しました。
外からの見た目が少し気になっている人もいると思いますが、健康には変えられませんよね。
リフォーム後のご感想は?
<Sさん・Nさん共通>- お風呂がきれいになって快適
- 窓も新しいので内観は新築同様
- 冬場の寒さがなくなった
- 床が冷たくない
- 窓からの冷気が伝わらない
- 道路からの視線が気にならない
今まで抱いていた、寒い・汚い・視線が気になるという悩みも解消されたようです。
そして、何よりヒートショックの予防にもなりました!
ヒートショックは浴室に限ったことではなく、リビングとの寒暖差のあるトイレや廊下といった場所でも発生しかねません。そのような所の窓リフォームも可能なので、「家がとにかく寒い」という人は、業者に一度相談してみてもいいかもしれませんね。
窓のひみつ
これまでYKK APレポ前編・中編・後編では、トリプル樹脂窓や窓の性能についてたくさん教えていただいてきました。そして、今回は続編となるリフォーム編をお送りいたしましたが、実は、それらすべての内容がギュッと詰まったマンガがあるんです!小学生向けの学習教材なので、とっても分かりやすく描かれています!私もお世話になりました。
一般販売はないそうですが、全国の図書館や小学校に実物があるようです。学研キッズネット「まんがひみつ文庫」というサイトで見ることができるのでご参考までに!
そしてそして、YKK APはさらにスゴイ窓を大学と共同で研究しているというニュースもあり、近い未来には実用化も?ということで、住まいの温熱環境を整えてくれる窓業界、今後の動きに注目です!
まとめ
いかがでしたか?窓の世界!たかが窓、されど窓でしたよね。新築、リフォームを検討している人は、自邸で使用されている窓はどんなものなのか、ちょっと探ってみてはいかがでしょう。
(注:私は決してYKK APの回し者ではありませんが、住宅ライターとして色々勉強するとたどり着いたというだけのことです、はい。今後もマニアックなネタをご紹介したいと思います笑)