まじか…とても先進国とは思えない樹脂窓の普及率!YKK APレポ(後編)

2018.02.04

住宅ライターの箕岡智子(ともこ@住宅ライター)です。
早速ですが、こんなデータをご紹介します。


これは、世界の材質別でみた窓の普及率をあらわしたものです。前回、樹脂窓の普及について少し触れていましたが、かなり残念なデータですね。

高性能住宅の先進国はドイツといわれています。そのドイツや、イギリス、フランス、アメリカなどの国は、樹脂の普及率が60%を超えています。木製も熱を伝えにくい材質なので、20%前後のシェアがありますね。
国をあげて高断熱住宅を普及させているのが見てとれます。

話を戻しまして、日本の樹脂の普及率を見てみると、わずか17%…。
これでも増えてきたそうなのですが、ドイツといった住宅先進国と比べると、まだまだ格段の違いがあります。

中国を見てみると、樹脂の普及率は30%ですが、寒冷地域はほぼ樹脂が採用されているそうです。国土の広い中国では、南の温暖な地域に人口が集中しているので30%にとどまっているそうですが、それでも日本と比べて約2倍の普及率。
お隣の韓国に至っては、なんと80%!完敗です。

アルミにも注目してみましょう。
ドイツの普及率が7%に対して、日本は41%。なんと、5倍以上もの差が!あまりの違いに驚きを隠せません。

自動車や家電などで世界をリードしている日本が、窓に関しては、完全に世界から遅れをとっているのが分かります。日本はG7の先進国なので、窓の性能だってドイツやアメリカと肩を並べているべきですよね!アルミと樹脂の比率を逆転させておくべきですよね!!
一体、なぜこんなことに…。

「その前に、樹脂の何がいいの?アルミの何がいけないの?」という人もいると思うので、
ザクっとおさらいすると、

  • 窓フレームの材質が熱を伝えやすいアルミだと、外気に触れているアルミが寒さをダイレクトに家の中へ伝える。
  • 窓は家の中で熱の出入りが1番多い場所だから、熱を伝えにくい樹脂フレームがいい。
  • 窓ガラスの枚数は、1枚(シングル)より2枚(複層)、3枚(トリプル)がいい。
  • さらに、ダブルLow-Eで、中空層にアルゴンガスが入っているといい。
  • そんなトリプルガラスの樹脂窓は結露しにくく、健康的で、省エネ。

ということでしたね!

専門用語多発につき、詳しくは、
知られざる事実!? 家の中で熱の出入りが1番多い所は、アソコだった!YKK APレポ(前編)
と、
実録!トリプルガラスの樹脂窓パワーがスゴすぎた!YKK APレポ(中編)
をご覧ください。くれぐれも、これを知る前に家は建てないでください!

さて、後編も引き続き、窓メーカーのYKK APで開発・製造している樹脂窓と、玄関ドアをレポートします。教えていただくのは、前編・中編でも丁寧に解説いただいている、あの、窓のスペシャリストでございます。


@TOTO DAIKEN YKK AP高松コラボレーションルーム


香川県高松市林町2547-3
開館時間 / 10:00~17:00
休館日 / 毎週水曜(祝日の場合は開館)、夏期休暇、年末年始


TOTO DAIKEN YKK AP高松コラボレーションルームは、実際に最新の設備を見て触れて体感できるところです。
YKK APだけではなく、TOTOの水まわり、DAIKENのフローリングや内装ドアなど、住まいづくりのための商品が総合的に展示されています。


大人の魅力漂う窓のスペシャリスト


樹脂窓について教えてくださるのは、YKK AP株式会社 四国支社長(取材当時) 日高亮(ひだか りょう)さん。この道30年以上の、窓のスペシャリストです。
国民の健康でローエネな暮らしを実現するため、高性能な樹脂窓の普及に力を入れています。

箕岡智子(以下智子)「日高支社長、後編もよろしくお願いします。」

日高支社長(以下敬称略)「こちらこそ、よろしくお願いします。」


重厚なトリプルガラスの樹脂窓がスーっと!

日高「前回ご紹介したトリプルガラスの樹脂窓を実際に展示しているのが、こちらのモデルルームです。」

DAIKENとYKK APコーナーにまたがる空間展示。リビングを再現。

智子「あの、ものすごい断面だったトリプルガラスの樹脂窓ですね。奥にある大きな掃き出し窓ですか?」

右の小窓は、ドレーキップ窓(ツーアクション窓)といって、内側に倒すことも、手前に開くこともできる2WAYタイプ。

日高「そうです。こちらの掃き出し窓のガラス1枚の高さは約240cm、幅は約120cmくらいあります。」

智子「大きいですね。高さ240cmということは、一般的な家の天井までの高さ!色んなお宅に取材に行きますが、これはビッグな方です。こんなに大きな窓がリビングにあると、気持ちがよさそうですね。」

高性能樹脂窓「APW」シリーズの窓。ダブルLow-E、アルゴンガス入り。世界トップクラスの断熱性能を誇る。

智子「ただ想像どおり、とても分厚いですね。今まで勉強してきたので断熱に関しての安心感はありますが、なんだか重そうです…。」

日高「確かに重いです。でも大丈夫!女性も楽に開閉できますよ。試しに開けてみてください。」

「スーっと開きますよ」と日高支社長。

智子「おぉ、ほんとですね。スーっと動きました。」

日高「この掃き出し窓、実は約80kgあるんですよ。」

智子「80kgも!? そんな重さは感じなかったです…。」

日高「80kgもあると、摩擦も加わり実際の重さよりも重たく感じるのですが、独自の部品技術でスーっと開閉できるように工夫してあります。」

智子「それなら重さに対する心配はいらないですね。金庫みたいに、ガチャっとぴったり閉まる感じもまたいい。隙間風も全くなさそうです。」

日高「断熱のみならず、YKK APの樹脂窓は気密性も世界トップクラスです。断熱性能を高めるためには、高気密であるということは必要不可欠な要素です。
そして、これまで繰り返しお伝えしてきましたが、窓は熱の出入りが家の中で1番多い場所です。だから、窓はなるべく小さい方がいいのは分かりますね?」

智子「はい。」

日高「大きい窓にするためには、ここまで重厚にしておかないと断熱できないということを覚えておいてください。」

智子「分かりました!覚えておきます。」


紫外線カットしてくれる?夏の窓もチェック!

日高「続いて、こちらのコーナーをご覧ください。」

今ある窓枠に新しい枠をかぶせて窓を取替えたり、今ある窓を生かして二重窓にするなど、窓リフォームの参考にも。

智子「夏の窓の体感コーナーですね!中編は、冬の窓でした。」

日高「そうです。冬の窓の実験機と同様に、色々な材質の窓を触ったりできます。窓の向こうは温室になっていて、42.3℃の室外環境を再現しています。冬の窓は断熱タイプでしたが、夏の窓は遮熱タイプです。」

智子「遮熱ということは、家の西面や東面、場所によっては南面に用いたら良いタイプですね。それにしても、42℃って熱帯地域みたいになっていますね。」

日高「今の日本で40℃を超えることはありませんが、温暖化が進むと他人事ではなくなってきますよね。」

智子「たしかに…。」

1番左のアルミフレームの単板(1枚)ガラスで構成している外窓/フレミングJのフレーム温度42.7℃、ガラス温度43.2℃。1番右の樹脂フレームのトリプルガラスで構成している窓(ダブルLow-E、アルゴンガス、樹脂スペーサー採用)/APW 430のフレーム温度30.5℃、ガラス温度27.8℃

智子「それに、夏の窓の室内側温度もまた、1番左の外窓と、1番右の窓とでは、10℃以上の差がありますね。」


樹脂スペーサーとは
複層ガラスやトリプルガラスの中間層に使われている部品のこと。断熱に貢献している。
参考ページ:http://www.ykkap.co.jp/company/japanese/news/2014/20140918.html

 Low-E、アルゴンガスについては中編をご覧ください。

サーモグラフィのモニタリング。1番左の窓は二重窓にリフォームした例。
熱を伝えやすいアルミフレームは赤く高温になっているのが分かる。


日高「窓から伝わる熱が、右側の窓にいくにつれて遮断されているのが分かりますね。トリプルガラスの樹脂窓は、夏も力を発揮してくれるというわけです。
夏の窓も、窓ガラスやフレームを触って温度を体感してもらえたらと思うのですが、とくに注目してもらいたいのは、紫外線です!」

智子「紫外線といえば、シミの原因!! 」

日高「そうですね。それでは実際に、侵入してくる紫外線の量を測定器で測ってみましょう。」

フレミングJ(一般複層ガラス):アルミフレーム。フレーム温度/38.2℃。ガラス温度/33.8℃。

日高「左から2番目のこの窓は、一般複層ガラスといって、ガラスが2枚で構成されたタイプです。紫外線量が101nm(ナノメートル)と表示されていますね。ガラスが1枚の場合だと、150nmくらいになります。」

智子「つまり、普通のガラスは1枚でも2枚でも、3ケタ代の紫外線量になるということですね!」

マドリモAPW 310(Low-E複層ガラス):室外側アルミフレーム、室内側樹脂フレーム。フレーム温度/34.5℃。ガラス温度/30.7℃。

日高「続いて、中央の窓です。こちらは、Low-E複層ガラス(遮熱タイプ/ブルー)といったタイプの窓です。」

智子「Low-E複層ガラスは、2枚のガラスのうち1枚に、薄い金属膜をコーティングしているんですよね!」

日高「正解です!よく覚えていましたね。数値を見てみると、24nmですね。」

智子「さきほどの窓の1/4!ここまで紫外線カットできるんですね。」

マドリモAPW 430(ダブルLow-E、トリプルガラス、アルゴンガス入り):室外・室内共に樹脂フレーム。フレーム温度/30.5℃。ガラス温度/27.8℃。

日高「最後は、1番右のトリプルガラス(日射遮蔽型/ブルー)の窓です。ダブルLow-Eのタイプですから…」

智子「はい!3枚のガラスのうち2枚に、薄い金属膜をコーティングしている窓です。」

日高「よくできました!」

智子「(いつの間にかクイズ形式になってますが)3nm?測定器、壊れてないですよね?あまりに違いすぎます。」

日高「壊れていませんよ。このタイプだと、ここまで紫外線がカットできるんです。紫外線は、シミやシワの原因と言われていますし、フローリングや畳、家具やクロスの色焼けの原因でもあります。
家の建材や建具をきれいに長持ちさせるためには、こういったことも気を使いたいところですよね。」

智子「はい。お肌のためにも!」

今回の実験も表にしてみました。


日射遮蔽型ダブルLow-Eの紫外線カット力を見せつけられました。
断熱のことも考えると、Low-Eガラスはぜひ採用したいですね。


窓だけじゃない?高断熱の玄関ドアもあるんです!

日高「続いては、玄関ドアコーナーへ参りましょう。」

断熱性能とデザインで選べる2つのInnoBest。手前D50、奥D70。

智子「窓だけではなく、玄関ドアもあるんですね。木目の風合いがいい感じです。」

日高「家の開口部は、窓に次いで、玄関も大きな場所です。ですから、玄関ドアも断熱性能の高いものを用意しています。」

D50には木目調の化粧板を、D70には天然木を使用した玄関ドア。

日高「左側にあるD50は70mm厚の断熱パネルを使用しています。右側のD70は、D50と同厚の断熱パネルを使っていて、その断熱パネルの両側を高耐候天然木で挟んでいるので、合わせて82mmの厚さなっています。どちらの玄関にも、アルミと樹脂の複合枠を用いており、高い断熱性能を発揮するんですよ。」

智子「ここまでくると、専門用語もスッと入ってきます。D50の方は、スリットの窓があるんですね。」

日高「その窓には、トリプルガラスのダブルLow-Eが入っています。」

智子「断熱、遮熱も心配いらないですね。」

日高「D70にいたっては、熱貫流率(U値)0.9W/(㎡・K)という値が出されています。」

※上記の熱貫流率についての注意事項があるのでこちらのページを参照ください。

熱貫流率(U値)とは
内外空気の温度差が1℃ある時、窓(ドア)表面1㎡あたり1時間につき、どれくらい(何W)の熱が移動するかをいい、単位は、W/(㎡・K)で表します。熱貫流率(U値)が小さいほど熱の移動が少ないので、断熱性能は良いということになります。
引用ページ:http://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=107


智子「熱貫流率(U値)は小さいほど優秀なので、1W/(㎡・K)を切るというのはかなり高断熱の玄関ドアですね。」

日高「この熱貫流率(U値)というのは、玄関のみならず、窓も表記しているので、ひとつの指標にしてみてくださいね。屋根や壁も同様ですから、ぜひ家づくりに役立ててください。」

智子「わかりました!ありがとうございます。」

まとめ
トリプルガラスの樹脂窓は重厚に造られているが、女性でも簡単に開閉できるように工夫していることが分かりました。そして、トリプルガラスは、断熱のみならず遮熱にも優れています。熱貫流率(U値)は、玄関ドアや窓、屋根、壁など家全体で算出できるので、ひとつの指標となりそうですね。

次回は、本企画の続編として、リフォーム編をお送りします。今まで勉強してきた樹脂窓のリフォーム(マドリモ)実例を紹介します。こんなに短時間でできるのかと驚くことでしょう!乞うご期待!