寒い家は病気になる?建築家 松尾和也氏に聞く「健やかな暮らしができる家」第1話

住宅ライターの箕岡智子(ともこ@住宅ライター)です。
家づくりをするにあたって、私たちが第一に考えないといけないことは一体なんでしょうか?

それは、家族の健やかな暮らしです。

もっと言うと、心と体の健康。
これ以外ないですよね。だって、どんなにフォトジェニックな空間が作れたとしても、病気になってしまっては、元も子もありませんから。

「でも健康って食生活とか運動とかの問題じゃないの?」と思う人もいるでしょう。もちろん、それもあります。
しかし!実は冷えも、あらゆる病気を引き起こす原因なんですって!

ことわざにもあります。

冷えは万病のもと
意味:体が冷えることは、すべての病気の原因になる、ということ。
引用元:ことわざ・冷えは万病のもと

(やっぱり昔の人って、すごいなぁ。すでに知っていたんですね。)

だから、冷え冷えしない暖かい家にして、病気をせずに元気に暮らそうってオチなんですけど、どのようにしたら暖かい家をつくることができるのか。

「そんなの住宅メーカーに任せておけばいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そうとも限らないのが現状なんです。

ということで、本連載では「ホントは安いエコハウス」の著者である建築家 松尾和也さんに、健やかな暮らしができる家について、徹底解説していただきます!


(注)この記事は、住宅について勉強している人なら、知っていることばかりかもしれません。
でも、そうではないのなら、ご一読いただいてから住宅ローンを組むことをおすすめします。


建築家 松尾和也さんってこんな人


松尾和也(Kazuya Matsuo)さんプロフィール

有限会社松尾設計室 代表取締役(平成18年4月1日~)。1975年 兵庫県出身。1998年九州大学工学部建築学科卒業(熱環境工学専攻)。JIA(日本建築家協会)登録建築家。一級建築士。APECアーキテクト。2005年サスティナブルTOKYO世界大会で「サスティナブル住宅賞」受賞。「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」がモットー。設計活動の他、「日経アーキテクチュア」「日経ホームビルダー」「建築知識」「新建ハウジング」等の専門誌への執筆活動や「断熱」「省エネ」に関する講演も行なっており、受講した設計事務所、工務店等は延べ5000社を超える。2009年パッシブハウスジャパンを立ち上げ、理事としてドイツの最先端省エネ建築の考え方を、日本の気候条件に合わせる形で普及促進活動を行う。日本エコハウス大賞の審査員も務める。著書には「ホントは安いエコハウス」「あたらしい家づくりの教科書」がある。


日本に高性能住宅を広めている

箕岡智子(以下智子)「松尾さん、今回はよろしくお願いします。」

松尾和也さん(以下敬称略)「よろしくお願いします。」

智子「それにしても、設計以外に執筆や講演、ドイツの最先端省エネ建築の普及と、活動的ですね。ちなみに、講演会は年間でどのくらいされてるんですか?」

松尾「数えてみたら、今年は12月末までで50回。昨年は70回、一昨年は100回でしたね。」

智子 「そ、そんなに?! 」

松尾「呼ばれるから行ってるだけですけど。自分で企画したことなくて笑」


智子「すごい人気ですね。全国の工務店に呼ばれるんですか?」

松尾「工務店もありますけど、ハウスメーカーや住宅設備機器メーカー、建築士会といった50~60人くらいの団体が多いかな、感覚的に。20人の時もあれば、800人の時もありますから。」

智子「プロ向けにたくさん講演されてるんですね(てことは業界の兄貴的存在…)。講演はどんな内容ですか?」

松尾「 本に書いてあるような高性能住宅の正しい知識です。人って、腹まで落ちてないと実行しないじゃないですか。だからあの手この手を使って、お話してる感じです。」

智子「 確かに、納得していないと行動できない。」

松尾「僕の講演を聞きにきてくれた人たちの10%が変わってくれるんですよ、統計的に。その10%のプロの人たちは、その先ずーっとめっちゃいい高性能住宅を建ててくれるわけです。たかが10%ですけど、かなりの数の人にお話してるので。」

智子「少しずつ、でも確実に、日本中に高い性能の家が増えているということですね。一般の人向けの講演もされているんですか?」

松尾「20回に1回くらいのペースで講演してるかな。家が暖かくないと健康を害しますよってテーマで。たとえば、脳梗塞になったらいくらお金がかかるかって説明すると、年配の方は、めちゃめちゃメモしてます。」

智子「医療費もバカになりませんし。家族に迷惑かけないよう、元気に余生を過ごしたいですもんね。」


「暖かい家が健康を守る」は、証明されている

智子「今回の記事のテーマでもありますが、ずばり、寒い家は病気になる可能性が高いということですか?」

松尾「そうです。実際に慶応大学の伊香賀教授や、近畿大学の岩前教授が、住宅環境と健康との関わりについて研究されています。そういった裏付けされたデータを元に講演しています。」

参考ページ
伊香賀俊治研究室
近畿大学 岩前 篤教授 コラム 第1回 冬の寒さと健康 | 断熱住宅.com

智子「なるほど。事実として証明されていることなんですね。」

松尾「はい。何回も言いますけど、暖かい家が健康を守ってくれるんです。ただ、プロでも重要視していない人がいるので、注意が必要です。」

智子「そういうことなんですね。よく分かりました。」

<まとめ>
健やかな暮らしをするめには、絶対に暖かい家にするべし。まずはこれを大前提として理解しておきましょう。

次回は、松尾設計室が実際に手がけたこちらの↓お宅を見ながら具体的な設計について迫ります!健やかな暮らしを実現させたい人は、お見逃しなく!

神戸市M様邸。家族構成は、ご夫婦とお子さま1人。敷地面積63坪、延面積40坪。2014年10月完成。
なんと!今回ご紹介していただく家を2017年11月26日(日)限定で、実際に見学することができるみたいです。関西圏に住んでいて興味のある人はHPを。

松尾設計室WEBサイト:http://www.matsuosekkei.com
松尾設計室の実例がいっぱいのインスタグラム:mao_matsuosekkei

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この記事を書いた人

ともこ@住宅ライター

フリーランス住宅ライター・編集者
フリーランス住宅ライター編集者・省エネ建築診断士・ママと暮らしのデザイン社所属・広島出身・愛媛在住・一児の母・元スノーボードインストラクター・住宅誌営業からフリーに・主に住宅誌&住宅サイトで執筆中・有料note 工務店向け!これは真似できる「一条工務店の集客術」発売中・ブックライティング、セールスレター、チラシご相談ください。