人体に無害!安全なシロアリ対策とは?〜 室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた 第7回
四国・愛媛から全世界に家づくり情報をお届け! ieny地域ライター高坂類です。
“医・食・住”から見る室内環境改善アドバイザー・仙波正志さんに、室内空気の改善方法や冷暖房節約など、家づくりの参考になる基礎知識を解説いただく連載「室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた」。
本日第7回は、「安全なシロアリ対策」について教えていただきます!
<仙波正志さんプロフィール>
“医・食・住”に関連する商品開発と販売業務のほか多岐にわたる事業を行う、株式会社養命(本社:愛媛県新居浜市)の代表取締役社長。室内環境改善アドバイザー。
●株式会社養命
〒792-0836 愛媛県新居浜市篠場町6-25
TEL:0897-47-1400 FAX:0897-43-9738 (9:00~19:00)
休日:日曜
公式Webサイト http://youmei.p-kit.com/
安全なシロアリ対策とは?
高坂「仙波先生、今日もよろしくお願いします! 今回は、安全なシロアリ対策について教えていただくとのことですが...」仙波「よろしくお願いします。まず、シロアリ対策ってどんなものがあると思いますか?」
高坂「うーん? やっぱり殺虫効果のある薬液...などでしょうか。」
仙波「そうですよね。日本のシロアリ対策...防蟻(ぼうぎ)防腐剤は、基本、農薬系のものが使用されてきました。殺虫成分が揮発してシロアリや腐朽菌を攻撃するものです。でも、揮発するということは...いずれ効果はなくなりますよね。そして、揮発した殺虫成分は家の中に入り込みます。これはシックハウスにつながる。」
高坂「危険ですね。」
仙波「昔はなぜそれでも問題なかったか? 以前、50年前の家について話した回でも言いましたが、昔の家は隙間だらけだったからです。多少の有害な物質が居住空間に入っても、隙間だらけの家で空気がよく循環していたから、そこまで人体に顕著な影響が出ることはなかった。でも今は...。」
高坂「高気密、高断熱の家だから、危ないですね。」
仙波「そうです。揮発した殺虫成分が、締め切られた部屋の中に入ったら....。農薬には発がん性物質を含みます。昔は、農薬系の防蟻防腐剤を施工する職人さんは、長く仕事ができなかったんですよ。肝機能がやられてしまうから。」
高坂「なんと...。」
仙波「そこで開発されたのが、今日紹介する次世代のホウ素系木材保存剤『エコボロン(R)PRO』です。これは人体に一切害がない。」
高坂「人体に害がないのにシロアリ対策ができるんですか ?!」
人体に無害なシロアリ対策がある!
仙波「エコボロンは、アメリカでは100年以上防蟻防腐剤としての歴史がある“ホウ酸塩”を使用したシロアリ対策の薬剤です。ホウ酸塩をカリフォルニア州のボロン市から採掘しているので、エコボロンというんだね。」
高坂「ホウ酸塩って何ですか? なぜ防蟻防腐剤として効果があるのでしょう。」
仙波「エコボロンの主原料はホウ酸塩鉱物です。ホウ酸塩は安定した無機物なので分解されることがなく、揮発も蒸発もしないものです。ホウ酸塩は、腎臓を持たない下等生物...つまりシロアリや昆虫“だけに”有害なんです。」
高坂「!」
仙波「腎臓を持つヒトなどの哺乳類は、もし経口摂取して体内にホウ酸塩が入っても、腎臓の働きにより過剰に摂取したホウ酸塩を体外に排出できる。だから急性の経口毒性はとても低く、影響は食塩くらいです。でも、シロアリなど腎臓のない昆虫類がホウ酸塩を摂取すると、エネルギー代謝が停止して餓死します。」
高坂「すごい !!」
仙波「アメリカではホウ素系の防蟻防腐剤が主流で、ヨーロッパでも昔から広く普及しています。農薬系だったのは日本くらいなんですよ。
でも日本も高気密高断熱の家を建てるようになって、無害なシロアリ対策が求められるようになったんですね。その先駆けがエコボロンを作った会社です。アメリカからホウ酸塩を輸入し、京都大学に依頼して鹿児島に試験地を作って実験を重ね、開発したんです。今ではエコボロンはかなり普及しているんですよ。熊本城の本丸御殿などにも使われています。」
高坂「そうなんですね...。それにしても人間には一切害がないなんて、素晴らしい !!」
施工はどうやって?
高坂「エコボロンはどんなふうに施工するんですか?」仙波「家に使う木材に染み込ませます。エコボロンはホウ素系木材保存剤とも言えますね。高濃度のホウ酸塩を木材の内部に浸透させて、シロアリや木材腐朽菌から守るんです。しかも燃えにくくなるので、木造の文化財保護にも最適なんですよ。」
高坂「だいたい、コスト的にはどのくらいですか?」
仙波「1坪4,000〜6,000円くらいかな。構造によって塗布面積が増えますので。でも効果はとても長く、施工条件によって10年の保証もあります。リフォームでも、建増しなどであれば施工できます。」
農薬系とエコボロンの違い
仙波「農薬系の防蟻防腐剤と、エコボロンの違いをまとめておきましょう。」高坂「はい!」
<主成分>
エコボロン(R)PRO:ホウ酸塩
農薬系:合成ピレスロイド系・ネオニコチノイド系など
<作用>
エコボロン(R)PRO:食毒性(木材に浸透して保護、シロアリが口にすると死ぬ)
農薬系:神経毒性(薬剤成分がシロアリの神経を破壊、忌避効果の代償として危険性あり)
<特徴>
エコボロン(R)PRO:揮発・蒸発しないので部屋の空気を汚さない、持続効果が長い。ホウ酸塩の流出が起こらない環境であれば半永久的に効果が持続。予防に適していて駆除には向かない。カンザイシロアリの予防にも効果的。
農薬系:揮発成分がシックハウス症候群を引き起こす一因とされている。揮発・分解により効果が失われる(最長5年)。
<欧米では>
エコボロン(R)PRO:アメリカではホウ素系が主流、ヨーロッパでも古くから普及。
農薬系:農薬系は土壌処理・駆除用として認められているが、木部処理には認められていない
高坂「欧米では農薬系は認められていないんですね!」
仙波「そうなんです。アメリカでは、農薬系はシロアリ防蟻には認可はおりません。でも、先ほども言ったように、昔の日本の家は隙間だらけだったから、そこまで深刻な影響がなかったのも本当なんですよ。ただ、現代ではそうはいかないからね。」
高坂「家に薬剤を使うことの怖さを、この連載で毎回感じています...。」
まとめ 〜より良い家づくりのために〜
高坂「シロアリ対策するなら、もう、無害なものしか考えられないです。」
仙波「でしょう。あのね、ホームセンターで農産物用の農薬コーナーってあるでしょう。あそこに近づくと頭が痛くなりませんか? 人間にはとても有害なものなんですよ。」
高坂「それにしても、シロアリなどの昆虫類にだけ効くなんて、そんなことが可能だとは思いもよりませんでした。殺虫系のものは、基本的に人間にも何かしらの害があるのが当然だと思っていたので...。まさか腎臓の有無で、そんな都合の良いことが可能だとは。」
仙波「素晴らしいよね。だからエコボロンの薬液は飲んでも大丈夫なんです。実際、薬液が無味無臭なので、誤ってゴクゴク飲まないようにわざと渋い味をつけているくらい(笑)。」
高坂「そして、シロアリ対策ってそこまで考えたこともなかったですが、やっぱり大切なんですね。」
仙波「温暖化の影響か、昔はシロアリがいなかった北海道にも今はいるからね(苦笑)。エコボロンを開発実験しているのが鹿児島なのは、シロアリが繁殖しやすい高気温の環境だからなんです。そこで試験をしている商品だから、効果のほどは確実です。熊本城だけでなく、京都の寺社仏閣などの木造文化財保護にも使われているんですよ。」
高坂「シロアリ対策ならホウ素系。ホウ酸塩のエコボロンですね。今回も、ありがとうございました !!」
「室内環境改善のプロに聞く! 心地よい注文住宅のつくりかた」は、“医・食・住”から見る室内環境改善アドバイザー、株式会社養命(愛媛県新居浜市) の代表取締役社長・仙波正志さんに、心地よい家づくりの参考となる基礎知識を改めて詳しく解説いただく連載記事です。
次回もお楽しみに!
<参考・参照元>
エコボロンPRO|シロアリ・腐朽予防|商品紹介|株式会社エコパウダー|シロアリ・腐朽からお客様の家を守りたい
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