モデルケースで考えてみよう・前編~家を建てたくなる?!ゼロから教えて!住宅ローン~初心者必見!ベテランFPに聞く住宅ローンの基礎知識~ Vol.4

2017.07.04 高坂類

四国・愛媛から全世界に家づくり情報をお届け!
ieny地域ライター・高坂類です。

本連載は、住宅ローンって何?という私が、人に教えられるくらいになるまでプロに教わる「住宅ローン」入門企画です。

複雑なイメージがある住宅ローンについて、家を建てておらず、建てる予定もなく、知識ゼロのインタビュアーがお聞きすることで誰にでもわかりやすい基礎知識のまとめとして全4回でお送りします。

ご教授くださるのは、愛媛県新居浜市のダンディなファイナンシャルプランナー・河野康廣さんです!


<河野康廣さんプロフィール>
河野 康廣 YASUHIRO KOUNO

CFP(上級ファイナンシャルプランナー)・一級ファイナンシャル・プランニング技能士・不動産コンサルティングマスター・相続プランナーズ協議会認定会員・宅地建物取引士。

大学卒業後、地元の金融機関や外資系生命保険会社での勤務を経て2004年「ファイナンシャルプランナーズ オフィス河野」を設立。
住宅ローンの相談、相続コーディネート、不動産運用コンサルティング、各種セミナー講師など幅広く活躍中。特に住宅ローンの資金計画、ライフプラン表の作成、住宅ローンの見直しが得意分野。


実際にモデルケースで考えてみよう!!


高坂(以下、T)「河野さん、本日もよろしくお願い申し上げます!」

河野康廣さん(以下、K)「よろしくお願いします。」

T:「第1回では人生の予定表・ライフプラン表を作り、第2回では長期スパンで家計を把握するキャッシュフロー表について学び、第3回(前編/後編)では住宅ローンの種別をご説明いただきました。
さて、今回はついに最終回となりますが、実際によくありそうな家族のモデルケースでもう一度1から住宅ローンを想定してみるのですね!」

K:「はい。これまでの総復習という形です。住宅を購入したいある家族を想定し、ライフプラン表、キャッシュフロー表を作成し、実際に住宅ローンや資金計画を考えてみましょう。」

T:「すでに第1回を忘れている気がするので、おさらいしながらよろしくお願いします!」

K:「がんばりましょう!」


まずは人生の予定表・ライフプラン表を作りましょう

K:「では、住宅を購入する想定のモデル家族でライフプラン表を作ってみましょう。第1回ではキャッシュフロー表に落とし込んだ状態で説明しましたが、ライフプランの書き出しではライフプラン表のみで見た方がわかりやすいので、こちらを使いましょう。」

引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会

T:「日本FP協会のサイトからダウンロードできるんですよね。エクセル版だと年齢などが自動で入るので便利ですね!」

K:「さあ、それでは書き込んでみましょう。住宅購入を検討されるご家族では、上のお子さんが小学校に入学するまでに住宅を建てたいと思われるケースが多いので、それをモデルとして記入してみます。」

T:「完全に妄想でやってみます!ちょっと楽しいですね。
まずは現在の年を2017年にして...」

K:「家族の年齢を入れましょう。夫30歳、妻28歳、第1子長女が3歳、第2子長男が0歳としましょうか。そして30年分に表を延ばしましょう。」


引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会

T:「だいぶ縦に長くなりましたね。人生は長いなあ。」

K:「それではライフイベントを記入していきましょう。記入例にもありますが、七五三や進学時期など任意にずらせないイベントから記入していきます。そして、それにかかる大体のお金も書き出してみましょう。学校は子どもたち両方とも高校までは公立、大学だけ私立で考えてみます。こんな感じでしょうか。」

引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会

T:「七五三と進学時期を入れただけで、結構埋まるものですね。このモデル家族だと子どもの年齢が3歳差なので、それぞれ中学と高校への進学時期が重なっちゃうんですね。この時期に大きな出費が重なるのは避けたいですね...。」

K:「意外と、このような表に落とし込んでみないと実感がわかないものなんですよ。その時に両親が何歳かも一目瞭然でわかりやすいでしょう。」

T:「これにさらにライフイベントが入ってくるわけですね...。」

K:「次に、具体的に考えやすそうなライフイベントは車の購入でしょうか。今乗っている車があれば、だいたいいつ頃買い換えないといけないかわかりますよね。購入してから車検を2~3回受けて買い替えるとすると...平均7~9年くらいでしょうか。ここでは現在の車を5年目くらいに考えておきますね。子どもたちの入学・進学時期と重ならないように入れてみましょう。」

T:「はい!」

K:「住宅ローンは30年以上なので、その間に数回は車の買い替えがあります。これもかなり大きな出費です。かかるお金は当然ながら車種によって大幅に変わりますが...ファミリー世帯でもありますし、300万くらいにしておきましょうか。日本での新車の購入平均価格がそれくらいです。おっと、表が30年分しかなかったので35年に延ばしましょう。」

T:「 人生は大変ですね……(泣)」

引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会

T:「見やすいように色分けしてみましたが、すでにだいぶ埋まりましたね...!ああ...お金...お金...お金ばっかりですね人生は...。」

K:「あと大きい出費としては子どもの結婚です。これは、まあ時期は予想がつきませんが(笑)、このあたりにするだろうということだけは入れておきましょう。というのも、結婚式などの費用を親が援助することが多いですからね。ここは平均200万くらいですからそのくらいにしておきましょう。」

T:「 ……(泣)」

K:「それから定年になる年がひとつの節目になりますから、夫の定年を65歳として記入しましょう。退職金があるところに勤めていれば大きな収入の年になります。ただ、退職金は老後の資金にあてるのがおすすめです。」

引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会

K:「それから忘れてはいけないのが家の修繕です。来年、住宅購入したとして15年おきくらいに修繕が必要です。屋根の葺き替え、外壁のコーティング、水周りなど...100~200万はみておきましょう。」

T:「やっぱり私にマイホームは無理です...(泣)」

K:「これでだいたい完成です。」

引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会

K:「ただ、子どもたちの大学の費用は残り3年分の授業料が私立なら300万~、これは理系だったり医科歯科系だったりすると大幅に上がります。それから自宅外通学だと引越しや仕送りなどが必要になりますから、さらに年間150万くらいかかります。私立文系だったら4年間全部合わせて1,500万くらいでしょうか。私立医大なら6年で3,000万...」

T:「無理です無理です無理です...(泣)。子どもを大学に行かせるのって何千万もかかるんですね。私は家の方を諦めます...。」

K:「とりあえずモデルケースですから、落ち着いて。では、次回はモデルキャッシュフロー表を作っていきましょう!」

T:「家を建てる予定もなくまだ何も支払っていないのにこんなに精神を消耗すると思っていませんでした...(笑)。よろしくお願いいたします!」


後編に続きます!


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この記事を書いた人

高坂類

ライター
1983年新潟県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。 四国・愛媛県 新居浜市(にいはまし)に拠点を置くデザイン事務所 hink DESIGN(ヒンクデザイン)代表。 広告デザインとWeb制作を中心に、ライター、ラジオパーソナリティ、モデル、司会等、四国の生活をより楽しくしようと 幅広く活動しています。 四国の魅力発信プロジェクト「しこくらいふ」主宰。 激辛グルメサークル「にいはまスパイスガールズ」主宰。