シニアのための「家の建て替え」こんな工夫ができるんです!

2017.06.21 地域ライターE

「子どもたちも成長し、家庭を持って巣立っていった我が家。家を建ててから30年、あちこちガタついてきているし、なによりこれからの維持管理を考えると広すぎる。土地を売ってマンションでも買おうか、それとも住み慣れた我が家をリフォームするか…。」そんな風にお悩みの方、多いのではないでしょうか。「リフォーム」ももちろんひとつの手段ですが、実は最近「思い切って家を建て替え」という選択をする人たちも増えています。
今回は、「注文住宅新築一戸建てで後悔したこと」シリーズを担当する地域ライターEが取材を通して学んだ「シニアのための家の建て替え事情と工夫」をお届けします。


リフォームするより建て替えのほうが安い!?


夫の父母が建てて、私たち夫婦が引き継いだ築50年の我が家。その間、お風呂トイレのリフォームはしたけれど、屋根や外壁は一度も手を入れたことがありませんでした。1年くらい前に、2階の天井に雨漏りの染みを見つけちゃって。

最初は、家に愛着もあるし、そのほうが安いだろうからってリフォームを考えていたんです。そうしたら、工務店に勤めている息子が下にもぐって、「母さん、シロアリが食っていたようなところもあるし、基礎もなくて土からの立ち上がりだから、リフォームのほうがよっぽど金かかると思うよ」って言うんですよね。そこで、実際にリフォーム会社と新築のハウスメーカーに来てもらって見積を比べました。そうしたら、本当に新築の方が安かったんです。とは言っても、新築の方はもともと建坪35坪から大幅に減らした建坪20坪。前の家は古い日本家屋で、広かったけれどとにかくあちこち隙間があって、冬は特に寒かったです。今は20坪。空調の効きも早いし、冬の暖房費が半分以下になりました!そして、掃除が圧倒的に楽です。広ければいい、ってものではないですね。
(家を建て直して3年・Aさん60代)


あえてちょっと不便な造り


終の住み処を手に入れよう。そう決めてから有料老人ホームや高齢者向けの住宅を作っているハウスメーカー、高齢者向けマンションなど、あちこち見学しました。床に段差が一切なかったり、すべての廊下に手すりがついていたり。お風呂も腰掛けが用意されていたりするもの、車椅子でも使える足元が開いている洗面台に開け閉めがしやすい軽い引き戸。細かい工夫ですよね。マンションなら階段を使わなくてもいいなあ、とも思いました。でも、最終的には家の建て替えを選んだんです。きっかけは、最終的に建て替えをお願いした工務店さんからのこの説明。

「お客様はまだ60代です。まだまだ体に不自由は感じられていないですよね。階段があると将来が不安だからとすべての生活を1階でしようとしたり、階段の段差をなくそうとする方も多いのですが、毎日の昇り降りが筋肉を鍛えるんです。スポーツジムに週1回通うよりも、家の中で自然に体を動かす機会があったほうがよほどいいんです。これから20年経って、本当に車椅子が必要になったときのために、廊下を広めに取っておけば後から手すりも付けられます。むしろ、今つけるよりも介護保険適用になってからつけた方が費用だってぐっと安くなります。あえて寝室は2階にして、そのかわり階段は広め・緩めにつけかえましょう。それに、ご近所さんとのつながりは、これから新しく作り直すよりも地域に溶け込んでいる今の状態をキープするほうが精神的にぐっと楽ですよ。」

…あえて不便なところを残す。目からうろこでした。確かに今は何の不自由も感じていません。そういえば私の祖母も、今よりずっと急な階段を毎日ゆっくりですが登っていました。今から楽をして10年後の筋肉を衰えさせる必要はありませんね。それよりも、建て直しでご近所の仲良しさんに気軽に遊びに来てもらえる大きめのダイニングテーブルが置けたっていうことのほうが、これからの生活を充実させるんじゃないかなと思っています。今から完成が楽しみです。
(一戸建て・建て直し中のBさん60代)


人が集まるときは


40年前、結婚と同時に夫の両親が建ててくれた木造一戸建ての我が家。娘2人はそれぞれ結婚して独立し、家を建てて住んでいます。4LDKの我が家をどうするか、夫としばらく前から話し合ってきました。両親が建ててくれた家、可愛い二人の娘が育った実家、思い出はいっぱい詰まっていますが、荷物もいっぱい詰まっていて…体が動くうちに、家の片付けとこれからの暮らしのために備えなければ、と敷地を半分売って、それを資金に家を建て直すことに決めたんです。

最初、夫は「娘達が一度に帰ってきたら、どうやって泊まるんだ」なんて文句言っていましたけど、それぞれ近所になんですからそんな機会ありゃしません。年に何回か集まるときはだいたい外食に行きますし、最近は温泉旅館に泊まるのもいいかしら、なんて。めったにない「◯◯だったらどうしよう」を考えて、お客様用布団に大量の食器、応接セット、娘達の洋服とずっと残してきましたけど、全部綺麗さっぱり処分しました。

年に一度あるかないかの「もし」に備えて、普段の生活が不便になるんじゃ意味がないですね。特に年をとると生活が固定化しがちですから、元気なうちに処分できてよかったと思います。でも、建て直すっていう機会がなければ、夫はきっと荷物の処分はさせてくれなかったでしょうねえ…。
(一戸建て建て直し後2年・Cさん70代)


シニアのための建て直しについてピックアップした今回の企画、もちろん資金計画や将来家や土地をどのようにしていきたいのかなどでそれぞれ事情は異なります。しかし、「今さら家なんてこのままでも…」と考えておられるなら、「このまま、あと20年同じ環境で本当に良いのか?」と視点を変えて、もう一度家族で話し合ってみてくださいね!

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この記事を書いた人

地域ライターE

ライター
建築住宅不動産業界担当営業経験10年&旦那が宅建士&父が元造園業経営&義父が不動産業経営! インテリアも整理整頓も大好物のフリーライターがみなさんの家づくりのお手伝いのため取材に走ります