住宅ローンの基礎知識・前編~家を建てたくなる?!ゼロから教えて!住宅ローン ~初心者必見!ベテランFPに聞く住宅ローンの基礎知識~ Vol.3

2017.06.23 高坂類
四国・愛媛から全世界に家づくり情報をお届け!
ieny地域ライター・高坂類です。

本連載は、住宅ローンって何?という私が、人に教えられるくらいになるまでプロに教わる「住宅ローン」入門企画です。

複雑なイメージの住宅ローンについて、家を建てておらず、建てる予定もなく、知識ゼロのインタビュアーがお聞きすることで誰にでもわかりやすい基礎知識をまとめて全4回でお送りします。

ご教授くださるのは、
愛媛県新居浜市のダンディなファイナンシャルプランナー・河野康廣さんです!


<河野康廣さんプロフィール>
河野 康廣 YASUHIRO KOUNO

CFP(上級ファイナンシャルプランナー)・一級ファイナンシャル・プランニング技能士・不動産コンサルティングマスター・相続プランナーズ協議会認定会員・宅地建物取引士。

大学卒業後、地元の金融機関や外資系生命保険会社での勤務を経て2004年「ファイナンシャルプランナーズ オフィス河野」を設立。
住宅ローンの相談、相続コーディネート、不動産運用コンサルティング、各種セミナー講師など幅広く活躍中。特に住宅ローンの資金計画、ライフプラン表の作成、住宅ローンの見直しが得意分野。


住宅ローンってそもそもどんなもの?どんな種類があるの?

高坂(以下、T):「河野さん、本日もよろしくお願い申し上げます!」

河野康廣さん(以下、K):「よろしくお願いします。」

T:「前回まではライフプラン表、キャッシュフロー表についてご説明いただきました。それが住宅購入のスタート地点ということはよくわかりました!
さて今回は、そもそも住宅ローンって何? どんな種類があるの?というところをゼロから教えていただけますでしょうか...。何十年ものローンだっていうことしか知らないのですが...」

K:「はい。住宅を購入する際に、その時支払える自己資金で足りない部分をまかなうための長期ローンが『住宅ローン』です。借り方にはいろいろありますので、順に説明していきましょう。」

T:「ここが一番複雑そうなので今からドキドキします。小学生に教えるような感じでよろしくお願いします!」


住宅ローンの負担を決める3つの要素


K:「住宅ローンの負担、つまり利息の額の大きさに影響する要素は3つあります。借入額、金利、返済期間です。」

T:「(メモとります!)」

K:「まず、借入額です。借入額が少ないほど、支払う利息が少なく済むのはわかりますね。そして同じ借入額なら、金利が低いほど、借入期間が短いほど、支払う利息が少なくなります。」

T:「3つの要素すべて、できるだけ少なく・短くした方が良いということですね。」

K:「そうです。長年のしかかる住宅ローンの負担を軽減するには、頭金と呼ばれる最初に支払う金額をできるだけ多くして借入額を減らし、できるだけ金利が低い住宅ローンを探すのが肝要です。」

T:「返済期間もできるだけ短くするんですよね?」

K:「はい、ただ返済期間を短くすると総支払利息は少なくなるものの、月々の負担は大きくなりますから、バランスをとりながら決めるのが大切です。」

T:「住宅ローンの負担は『借入額』『金利』『返済期間』で決まる。...ここまで大丈夫です!(笑)」


住宅ローンの返済方法は「元利均等」と「元金均等」の2種類!

K:「では、住宅ローンの返済方法から説明します。返済方法には2種類あります。『元利均等(がんりきんとう)返済』と『元金均等(がんきんきんとう)返済』です。」

T:「いきなりどっちがどっちかすぐ分からなくなりそうな単語が出てきました...。元金って何ですか?」

K:「元金とは、利息を含まない、その時に直接借りている額のことです。まず、現在の主流である元利均等返済(以下、元利均等)から説明しましょう。図を見るとわかりやすいので、これを見てみてください。」


K:「元利均等は、文字通り"元"金と"利"息を合わせた毎月の返済額が"均等"になるのが特徴です。例えば月の返済額が5万円なら、ローンの数十年間ずっと同じ5万円を毎月返済するので、返済計画が立てやすいのがメリットですね。」

T:「最初は利息の占める割合が多くて、最後の方は利息が少なくなるんですね ?? 」

K:「そうです。月々の額を一定にするためにそうなっているんですよ。元利均等のメリットは、借入れの当初の負担額をもう1つの返済方法『元金均等返済』と比べて少なくできることです。」

T:「なるほど。ちなみにデメリットもありますか?」

K:「返済期間が同じ場合、元金均等返済よりも総返済額は多くなります。また、元金の減り方は遅くなります。」

T:「総返済額は多くなっても、月々一定の返済は魅力的ですね...。そしてもう一つが、えーと..元"金"均等ですね! すでに忘れそうになっていました。」

K:「元金均等返済は、こちらもその名の通り"元金"が均等になる返済方法です。元金部分が均等で、その時点のローン残高に応じた利息が、毎月の返済額に上乗せになります。」

T:「こっちは、返済額がだんだん減っていくんですね!」

K:「利息がだんだん減っていくので、最初の支払いは多いですが、毎月支払額は減っていきます。総支払額が元利均等よりも少なくなるのもメリットです。ただ、こちらの返済方法は取り扱う金融機関が限られています。」

T:「この元金均等の方がおトクな気がしてしまいますが、主流ではないんですね?」

K:「元金均等はメリットもありますが、当初の支払額が元利金等と比べてかなり高額になりますから負担が大きいです。購入時点の必要月収が高く、払えない方が多いので、主流ではないですね。」

T:「なるほど...。お金に余裕があるなら元金均等の方がいいけれど、多くの人にとって現実的な返済方法ではないということですね。」

K:「そうなんですよ。さてそれでは、次は金利タイプの種類を見ていきましょう!」


住宅ローンの金利は「固定金利型」「固定金利選択型」「変動金利型」の3つ!


K:「住宅ローンには3種類の金利があります。固定金利型、固定金利選択型、変動金利型です。」

K:「固定金利型は、金利がずっと変わりません。固定金利選択型は一定の期間の金利が固定になる仕組みで、最初に固定金利の期間を選択します。固定期間終了後、その時点の金利で次の期間を選びます。変動金利型は、市場の金利に合わせて半年ごとに金利の見直しが行われる仕組みです。適用金利が変わっても、返済額は5年間は一定になるように元金返済分が調整されます。」

T:「どう選んだらいいのでしょうか?」

K:「金利が一定になる固定金利型のメリットは、当然ながら返済額が一定になることです。変動タイプ、固定期間が短いタイプのメリットは、適用金利が低くなる場合が多いことです。」

T:「ここでも返済計画が立てやすいかどうかが選ぶ決め手になってきそうですね。金利がおトクでも、返済額のアップダウンに振り回されそうな人は固定金利タイプが賢明ですね。」

K:「そうですね。2つの金利タイプを組み合わせて返済計画を立てることもできますから、これも慎重に決めるべき部分です。」

次回は住宅ローンの種類や、借りるときのチェックポイントを教えていただきます!



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この記事を書いた人

高坂類

ライター
1983年新潟県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。 四国・愛媛県 新居浜市(にいはまし)に拠点を置くデザイン事務所 hink DESIGN(ヒンクデザイン)代表。 広告デザインとWeb制作を中心に、ライター、ラジオパーソナリティ、モデル、司会等、四国の生活をより楽しくしようと 幅広く活動しています。 四国の魅力発信プロジェクト「しこくらいふ」主宰。 激辛グルメサークル「にいはまスパイスガールズ」主宰。