街の不動産屋さんに聞いてみました! 知らない土地での「物件」探しのコツ

2017.06.13 地域ライターE

土地勘がないエリアで土地探しをしたい。」地元に暮らす人には想像もつかないかもしれませんが、意外とさまざまな事情で土地探しに苦労している方がいます。例えば、「ずっと転勤族だったけれど、次が最後の転勤みたい。場合によっては、その土地で一戸建てを建てるのもアリかな・・・?」「転職を機に、何十年も離れている実家の近くに家を建てることになったけれど・・・。」「通勤往復3時間圏内での土地探し。広範囲すぎて途方にくれる・・・。」などなど。あなたの周りにも、ひょっとしたら経験者がいるかもしれません。

地元で探すよりも、ちょっとハードルの高い「知らないエリアの土地探し」。ただでさえ、訪問するのにちょっと敷居が高く感じる不動産会社。知らない土地で、情報もまったくないならなおさらですよね。「知らない土地で、物件探しをするコツ」についてお話を聞かせてくださったのは、兵庫県神戸市の人気エリア、「六甲道」を中心に、灘区だけに特化した不動産会社を営んでいる株式会社六甲道不動産取締役の西博史さんです。


「地域に強い不動産屋さん」の特徴を教えてください!

実は、一昔前と違って、今の不動産会社は「情報を囲い込み続ける」ということはできないんですね。「レインズ」というという、不動産会社は必ず登録しなければならないシステムがあります。

Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているシステムのことです。全国の不動産会社が不動産情報を受け取ったり情報提供を行うシステムで、会員間での情報交換がリアルタイムで行われています。自社にどんな売却情報があるのか、仲介契約をしてから一週間以内にはここに情報開示をしなければいけません。

ここに情報開示をしない間に成約する「一週間以内に売れる優良物件」は、予算が限られていて、なんのツテもない個人のお客様とお取引が成立する可能性はとても低いです。逆に言うと、媒介契約から一週間経過した物件は、全国どこの不動産会社からでもチェックできるわけです。

とはいえ、知らない土地の家探し、学校区の人気やよい病院、夜間の車の多さなど、その土地の者にしかわからない情報も踏まえて情報提供してもらいたいですよね。オススメとしては、売買仲介を得意としている不動産会社なら、必ず新しい物件情報が、オフィスの壁やガラスに、たくさん張り出されています。不動産会社と一口に言っても、賃貸仲介専門のところもあれば、自社物件の管理がメインのところ、ビジネス向けオフィスや店舗に強いところなど、その特徴は様々なんです。物件情報をチェックすれば、会社が「どの分野に強い会社なのか」ということが想像できます。



ネットの不動産情報で探すのはどうですか?

気軽に情報収集ができる、という点ではネットに勝るものはないですね。ただし、地価の高い、人気のエリアに限って言えば、人気物件はネットににも載らずに決まるという感じです。
人気エリアで手ごろな条件で出た物件は、ほぼ、さきほどご紹介したレインズに載るか載らないかのタイミングで買い手がつきます。「ずっとこのエリアでいい物件がないか探している」などという場合は、おそらくネットを眺めていても、物件を見つけることは難しいと思います。

オススメするのは新聞広告ですね。意外に思われるかもしれませんが、「広告初出稿」など、新しい物件が載ってくることがわりとあるんです。新聞広告はその地域の新聞をとっていないと手に入れることができませんが、希望のエリアで親戚や友人が住んでいたら、新聞を回してもらうという手もあります。


知らない土地の物件探し、みんなどれくらいの時間をかけて探すんですか?

コレに関しては、「縁」ですね。数年かけてやっとめぐり合った、という方もいれば、思い立って1週間で契約まで進む人もいる。1~2年で決めたい、と考えている方が多いといえば多いかな、という感じです。

長ければいい、短ければいいというものではないですね。値段が上がっている状況では「早く買ったほうが」ということになりますし、下がっている状況なら「じっくりまちますか」という話もでてきますから。

以前、私が売主側の担当として仲介した土地で、契約の直前になって売主さんがとりやめた、ということがありました。当然買主さんはがっかりされますが、これは仕方がない。通例として、売主側の不動産会社の担当は、契約までは買主さんと名刺交換はしないので、その時は買主さんにお目にかかっただけで、お名前も知らなかったのですが、その後偶然六甲道不動産に足をお運びいただき、「あ、あの時の!」ということになりました。なんとかいい土地をご紹介したかったですが、1年くらい何も出ない。もうあきらめようか、というタイミングで、前の売主さんから「やっぱり手放すことにするわ」とご連絡が来ました。もちろん、一番にその買主さんにご連絡しましたよ!本当に、「ご縁」だなあ、と感じた経験でした。


エリア以外、何も決まってないのですが・・・という方に、なにかアドバイスをお願いします!


マンションにするか、戸建てにするか、という2択については、迷われる方はほとんどいらっしゃらないんですね。

戸建ての中で、「建売にするか、注文住宅にするか」ということは迷われる方がたくさんいらっしゃいます。不動産会社としてオススメするのは、「まだ建っていない建売を狙う」ということです。完全に自分の思い通りの家を建てることはできませんが、壁紙キッチン、水周りなどの設備は、「建てる前なら変更可能」なことが多いのです。個人のお客さんが手ごろな土地を手に入れようと思ったら、建売業者から購入するのが実は一番手っ取り早い。「土地だけ」にこだわっている方は、建売物件にも目を広げてみてはどうでしょうか。

お話を伺った方:
西 博史さん
株式会社六甲道不動産 取締役
六甲道エリアを中心に、兵庫県神戸市灘区に特化した不動産会社を経営。六甲道のお店ポータルサイト「六甲道どっとこむ」の運営を通じ、六甲道の街の情報発信も行っている。

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この記事を書いた人

地域ライターE

ライター
建築住宅不動産業界担当営業経験10年&旦那が宅建士&父が元造園業経営&義父が不動産業経営! インテリアも整理整頓も大好物のフリーライターがみなさんの家づくりのお手伝いのため取材に走ります