キャッシュフロー表を作ろう!~家を建てたくなる?! ゼロから教えて!住宅ローン 〜初心者必見!ベテランFPに聞く住宅ローンの基礎知識〜 Vol.2
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ieny地域ライター・高坂類です。
本連載は、住宅ローンって何?という私が、
人に教えられるくらいまでプロに教わる「住宅ローン」入門企画です。
複雑なイメージの住宅ローンについて、
家を建てておらず、建てる予定もなく、知識ゼロのインタビュアーがお聞きすることで
誰にでもわかりやすい基礎知識まとめとして全4回でお送りします。
ご教授くださるのは、
愛媛県新居浜市のダンディなファイナンシャルプランナー・河野康廣さんです!
<河野康廣さんプロフィール>
河野 康廣 YASUHIRO KOUNO
CFP(上級ファイナンシャルプランナー)・一級ファイナンシャル・プランニング技能士・不動産コンサルティングマスター・相続プランナーズ協議会認定会員・宅地建物取引士。
大学卒業後、地元の金融機関や外資系生命保険会社での勤務を経て2004年「ファイナンシャルプランナーズ オフィス河野」を設立。
住宅ローンの相談、相続コーディネート、不動産運用コンサルティング、各種セミナー講師など幅広く活躍中。特に住宅ローンの資金計画、ライフプラン表の作成、住宅ローンの見直しが得意分野。
高坂「河野さん、本日もよろしくお願い申し上げます!」
河野康廣さん(以下敬称略)「よろしくお願いします。」
高坂「前回、今後35年のライフプラン表を作ってみましたが、次はどうしたらいいのでしょうか?」
河野「最終的には、将来の家計を一覧できる『キャッシュフロー表』を作ります。そのために、まだやることがありますよ。
まず、現在の家計状況を把握するいくつかのステップがあります。これから説明するステップで使用する表は、日本FP協会のサイトから無料でpdf/Excelデータでダウンロードできます。実際にやってみるといいですよ。」
高坂「私は現在の家計状況を全くつかめていません...。がんばってついていきます!!」
引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会
河野「夢の予定表『ライフプラン表』を作りましたが、夢を叶える第一歩は、家計の現状を把握することです。まずはこの収支確認表に書き込んで、現在の収入と支出、そして貯蓄力をチェックしてみましょう。」
高坂「貯蓄力...つけたいところです...。」
河野「まず表の左上から、収入を記入していきます。会社員なら給料、自営業なら事業収入です。でも、その額を全て使うことはできませんよね。所得税や住民税、社会保険料を引いた『手取り収入』が、実際に使えるお金です。順番に年間の金額を入れていきます。」
高坂「所得税や社会保険料は、何を見ればすぐわかりますか?」
河野「会社員の方なら源泉徴収票でわかります。住民税は、給与明細や納税通知書で確認してください。」
高坂「私のような自営業の場合は...」
河野「確定申告書や納税通知書で確認しましょう。それから自営の方は、さらに必要経費の金額も引かないといけませんよ。」
高坂「うう...手取り収入がわかるのって少し辛いですね。」
河野「わからないと家は買えませんよ!(笑) 夫婦の年間手取り収入がわかれば、年間収入合計の欄に記入しましょう。」
河野「続いて、表の下にある年間の支出についても確認しましょう。家計簿をつけているなら、『毎月の支出』と、『年に数回の支出』を書き出して、『毎月の支出』×12カ月分 + 『年に数回の支出』=年間の支出合計になります。」
高坂「←家計簿をつけてない人は...」
河野「ざっくりでいいので書き出しましょう。そうするとだいたいの年間支出合計が出ますね。」
高坂「そして、『年間収入合計』から『年間支出合計』を引くんですね!」
河野「そうです。それが1年間に貯蓄できる金額です。まさかマイナスになっていませんね?」
高坂「マイナスになっていたらどうしたらいいのでしょうか...」
河野「当たり前ですが、支出の見直しが必要です。また、プラスなのに貯蓄できていない方は、何に使ったかわからないお金があるかもしれません。よく確認しましょう。」
高坂「はい!」
河野「次は資産状況のチェックです。上の表に書き込んでいきましょう。資産というと現金や貯金ばかり思い浮かべてしまいますが、終身保険や個人年金保険などの貯蓄型保険も資産です。それらについては、現時点で解約した場合の解約返戻金の金額を入れましょう。」
高坂「これで資産の合計が出るんですね!」
河野「資産合計が出たら、次は負債です。住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどを書き出しましょう。」
高坂「表にありますが、確かに奨学金も負債ですね!」
河野「そうです、奨学金を返済中の人は忘れないように書いてください。そして負債を洗い出したら、資産合計から負債合計を差し引きます。それが『純資産』です。この金額が少なかったり、マイナスになってしまったりした人は要注意ですよ。」
髙坂「家計の状況が、みるみるあらわになってきますね...」
河野「前回作成したライフプラン表で未来の予定が、そして今作成した収支確認表と家計バランスシートで家計の現状がわかりましたね。」
髙坂「こうやって書き出していくと、実情がよくわかりますね!」
河野「ライフプラン表に、出産や子どもの進学時期もライフイベントとして書きましたが、だいたいそれぞれのライフイベントにかかるお金を知っておきましょう。」
髙坂「想像するだに恐ろしいですが、よろしくお願いします!」
河野「人それぞれですが平均的に、まず結婚の諸々に300〜400万、そして出産は約47万。でも出産は健康保険などから出産育児一時金で40万くらいの補助があります。産休や育休を取れる方はさらに手当金が出ますし、社会保険料免除もあります。もらえるお金はしっかりもらいましょうね。
続いて、子ども1人あたりの教育資金が、例えば幼稚園から高校まで公立で大学のみ私立だった場合、だいたい950万。」
髙坂「OH...1000万近いんですね...」
河野「幼稚園からほとんど私立だった場合は2,000万以上にもなりますよ。加えて、遠方の大学へ進学すれば仕送りもいりますよね。そして住宅が3,000〜4,000万。ちなみに住宅ローン完済後、老後のゆとりある生活には夫婦で月に約35万円必要です。」
髙坂「あれ......涙が.......」
河野「まだまだありますよ。」
河野「住宅購入にも様々なお金がかかります。物件の価格だけでなく、ローンを借りる時の手数料、登記費用、税金、保険料などです。新築物件だと物件価格の3〜7%程度ですね。住宅が3,000万だったとすると90〜210万くらいです。そして購入後も維持費や税金がかかります。」
髙坂「もう私にマイホームは無理です...!(笑)」
河野「無理はいけませんが、あきらめないで(笑)。住宅購入後の維持費や税金は、毎月のローン返済額とは別に住居費の負担になります。この費用がかかってくることも忘れないように、余裕を持って住宅ローンの返済計画を立てないといけないんですよ。」
髙坂「大変だあ...。わかりました!」
引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会
河野「さあ、それではキャッシュフロー表を埋めていきましょう。先ほどの日本FP協会のサイトからExcelデータをダウンロードして記入すると、自動で計算できますよ。
表の左端、現在の列にあるグレーの項目に、収支確認表で出た数値を入れていきます。そしてライフイベントがある年には、『一時的な支出』に金額を入れましょう。すると...それぞれの年の年間収支と貯蓄残高が出ます。」
髙坂「将来の家計状況まで一目瞭然ですね!!つまり、貯蓄残高がマイナスになる年がまずいってことですね。」
河野「そうです。その場合は、ずらせるライフイベントをずらすか、その時期の収入を増やす、または支出を抑えるなどの手立てを考えないといけません。稼ぎ頭以外の家族がアルバイトやパートに出るとか、学費を奨学金でまかなうとか、生活費そのものを見直すとか。」
髙坂「なるほど...。でも前々からこうしてわかっていれば安心ですね。」
河野「その時々の収入、支出、大きな出費...具体的な数字の金額を入れていくと、いつどのくらいお金があるか、必要か見えてきます。これが住宅購入を考えるスタート地点です。」
髙坂「逆に、どのくらい住宅購入にお金をかけられるかもわかりますね。」
河野「その通りです。ぼんやりと住宅購入の予算を立てていても、こうしてキャッシュフロー表で住宅ローン返済中の家計状況を具体的な数字で見ると、現在の予算が身の丈に合っているかもわかるんですよ。無理はいけません。」
髙坂「なんとなく買えそう、なんとなくお金が入ってくるだろう、は危険ですね。こうしてみると本当に人生にはお金がかかりますね...」
河野「身の丈に合わない価格で住宅を購入して、どこかで家計が破綻した場合には、結局土地とともに売却するなどして住宅を手放すことになりますからね。
その後はつらいですよ。住宅や土地は購入時の価格では売れませんから住宅ローンだけが残り、住居を賃貸に移したとすれば、賃貸の家賃を払いながら住宅ローンの残りを返済し続けることになりますから...。無理のない資金計画を立てることが大事です。」
髙坂「それはつらい...。キャッシュフロー表を作ると、希望時期に住宅を手に入れるために、いつ・どうしたらいいかがわかりますね。」
河野「家計状況の把握がとても大切なことが分かったでしょうか? それでは次回は住宅ローンの種類を説明しましょう。まだまだ続きますよ!」
次回もお楽しみに!
ieny地域ライター・高坂類です。
本連載は、住宅ローンって何?という私が、
人に教えられるくらいまでプロに教わる「住宅ローン」入門企画です。
複雑なイメージの住宅ローンについて、
家を建てておらず、建てる予定もなく、知識ゼロのインタビュアーがお聞きすることで
誰にでもわかりやすい基礎知識まとめとして全4回でお送りします。
ご教授くださるのは、
愛媛県新居浜市のダンディなファイナンシャルプランナー・河野康廣さんです!
<河野康廣さんプロフィール>
河野 康廣 YASUHIRO KOUNO
CFP(上級ファイナンシャルプランナー)・一級ファイナンシャル・プランニング技能士・不動産コンサルティングマスター・相続プランナーズ協議会認定会員・宅地建物取引士。
大学卒業後、地元の金融機関や外資系生命保険会社での勤務を経て2004年「ファイナンシャルプランナーズ オフィス河野」を設立。
住宅ローンの相談、相続コーディネート、不動産運用コンサルティング、各種セミナー講師など幅広く活躍中。特に住宅ローンの資金計画、ライフプラン表の作成、住宅ローンの見直しが得意分野。
ライフプラン表ができたら...次は?
高坂「河野さん、本日もよろしくお願い申し上げます!」
河野康廣さん(以下敬称略)「よろしくお願いします。」
高坂「前回、今後35年のライフプラン表を作ってみましたが、次はどうしたらいいのでしょうか?」
河野「最終的には、将来の家計を一覧できる『キャッシュフロー表』を作ります。そのために、まだやることがありますよ。
まず、現在の家計状況を把握するいくつかのステップがあります。これから説明するステップで使用する表は、日本FP協会のサイトから無料でpdf/Excelデータでダウンロードできます。実際にやってみるといいですよ。」
高坂「私は現在の家計状況を全くつかめていません...。がんばってついていきます!!」
「収支確認表」で現在の家計状況を把握しよう!
引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会
河野「夢の予定表『ライフプラン表』を作りましたが、夢を叶える第一歩は、家計の現状を把握することです。まずはこの収支確認表に書き込んで、現在の収入と支出、そして貯蓄力をチェックしてみましょう。」
高坂「貯蓄力...つけたいところです...。」
河野「まず表の左上から、収入を記入していきます。会社員なら給料、自営業なら事業収入です。でも、その額を全て使うことはできませんよね。所得税や住民税、社会保険料を引いた『手取り収入』が、実際に使えるお金です。順番に年間の金額を入れていきます。」
高坂「所得税や社会保険料は、何を見ればすぐわかりますか?」
河野「会社員の方なら源泉徴収票でわかります。住民税は、給与明細や納税通知書で確認してください。」
高坂「私のような自営業の場合は...」
河野「確定申告書や納税通知書で確認しましょう。それから自営の方は、さらに必要経費の金額も引かないといけませんよ。」
高坂「うう...手取り収入がわかるのって少し辛いですね。」
河野「わからないと家は買えませんよ!(笑) 夫婦の年間手取り収入がわかれば、年間収入合計の欄に記入しましょう。」
河野「続いて、表の下にある年間の支出についても確認しましょう。家計簿をつけているなら、『毎月の支出』と、『年に数回の支出』を書き出して、『毎月の支出』×12カ月分 + 『年に数回の支出』=年間の支出合計になります。」
高坂「←家計簿をつけてない人は...」
河野「ざっくりでいいので書き出しましょう。そうするとだいたいの年間支出合計が出ますね。」
高坂「そして、『年間収入合計』から『年間支出合計』を引くんですね!」
河野「そうです。それが1年間に貯蓄できる金額です。まさかマイナスになっていませんね?」
高坂「マイナスになっていたらどうしたらいいのでしょうか...」
河野「当たり前ですが、支出の見直しが必要です。また、プラスなのに貯蓄できていない方は、何に使ったかわからないお金があるかもしれません。よく確認しましょう。」
高坂「はい!」
「家計バランスシート」で、実質の資産「純資産」を確認しよう
引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会河野「次は資産状況のチェックです。上の表に書き込んでいきましょう。資産というと現金や貯金ばかり思い浮かべてしまいますが、終身保険や個人年金保険などの貯蓄型保険も資産です。それらについては、現時点で解約した場合の解約返戻金の金額を入れましょう。」
高坂「これで資産の合計が出るんですね!」
河野「資産合計が出たら、次は負債です。住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどを書き出しましょう。」
高坂「表にありますが、確かに奨学金も負債ですね!」
河野「そうです、奨学金を返済中の人は忘れないように書いてください。そして負債を洗い出したら、資産合計から負債合計を差し引きます。それが『純資産』です。この金額が少なかったり、マイナスになってしまったりした人は要注意ですよ。」
髙坂「家計の状況が、みるみるあらわになってきますね...」
一生のライフイベントにかかるお金はどのくらい?
河野「前回作成したライフプラン表で未来の予定が、そして今作成した収支確認表と家計バランスシートで家計の現状がわかりましたね。」
髙坂「こうやって書き出していくと、実情がよくわかりますね!」
河野「ライフプラン表に、出産や子どもの進学時期もライフイベントとして書きましたが、だいたいそれぞれのライフイベントにかかるお金を知っておきましょう。」
髙坂「想像するだに恐ろしいですが、よろしくお願いします!」
河野「人それぞれですが平均的に、まず結婚の諸々に300〜400万、そして出産は約47万。でも出産は健康保険などから出産育児一時金で40万くらいの補助があります。産休や育休を取れる方はさらに手当金が出ますし、社会保険料免除もあります。もらえるお金はしっかりもらいましょうね。
続いて、子ども1人あたりの教育資金が、例えば幼稚園から高校まで公立で大学のみ私立だった場合、だいたい950万。」
髙坂「OH...1000万近いんですね...」
河野「幼稚園からほとんど私立だった場合は2,000万以上にもなりますよ。加えて、遠方の大学へ進学すれば仕送りもいりますよね。そして住宅が3,000〜4,000万。ちなみに住宅ローン完済後、老後のゆとりある生活には夫婦で月に約35万円必要です。」
髙坂「あれ......涙が.......」
河野「まだまだありますよ。」
住宅購入にかかるお金もいろいろ
河野「住宅購入にも様々なお金がかかります。物件の価格だけでなく、ローンを借りる時の手数料、登記費用、税金、保険料などです。新築物件だと物件価格の3〜7%程度ですね。住宅が3,000万だったとすると90〜210万くらいです。そして購入後も維持費や税金がかかります。」
髙坂「もう私にマイホームは無理です...!(笑)」
河野「無理はいけませんが、あきらめないで(笑)。住宅購入後の維持費や税金は、毎月のローン返済額とは別に住居費の負担になります。この費用がかかってくることも忘れないように、余裕を持って住宅ローンの返済計画を立てないといけないんですよ。」
髙坂「大変だあ...。わかりました!」
「キャッシュフロー表」で将来の家計状況を把握しよう!
引用元:便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会
河野「さあ、それではキャッシュフロー表を埋めていきましょう。先ほどの日本FP協会のサイトからExcelデータをダウンロードして記入すると、自動で計算できますよ。
表の左端、現在の列にあるグレーの項目に、収支確認表で出た数値を入れていきます。そしてライフイベントがある年には、『一時的な支出』に金額を入れましょう。すると...それぞれの年の年間収支と貯蓄残高が出ます。」
髙坂「将来の家計状況まで一目瞭然ですね!!つまり、貯蓄残高がマイナスになる年がまずいってことですね。」
河野「そうです。その場合は、ずらせるライフイベントをずらすか、その時期の収入を増やす、または支出を抑えるなどの手立てを考えないといけません。稼ぎ頭以外の家族がアルバイトやパートに出るとか、学費を奨学金でまかなうとか、生活費そのものを見直すとか。」
髙坂「なるほど...。でも前々からこうしてわかっていれば安心ですね。」
河野「その時々の収入、支出、大きな出費...具体的な数字の金額を入れていくと、いつどのくらいお金があるか、必要か見えてきます。これが住宅購入を考えるスタート地点です。」
髙坂「逆に、どのくらい住宅購入にお金をかけられるかもわかりますね。」
河野「その通りです。ぼんやりと住宅購入の予算を立てていても、こうしてキャッシュフロー表で住宅ローン返済中の家計状況を具体的な数字で見ると、現在の予算が身の丈に合っているかもわかるんですよ。無理はいけません。」
髙坂「なんとなく買えそう、なんとなくお金が入ってくるだろう、は危険ですね。こうしてみると本当に人生にはお金がかかりますね...」
河野「身の丈に合わない価格で住宅を購入して、どこかで家計が破綻した場合には、結局土地とともに売却するなどして住宅を手放すことになりますからね。
その後はつらいですよ。住宅や土地は購入時の価格では売れませんから住宅ローンだけが残り、住居を賃貸に移したとすれば、賃貸の家賃を払いながら住宅ローンの残りを返済し続けることになりますから...。無理のない資金計画を立てることが大事です。」
髙坂「それはつらい...。キャッシュフロー表を作ると、希望時期に住宅を手に入れるために、いつ・どうしたらいいかがわかりますね。」
河野「家計状況の把握がとても大切なことが分かったでしょうか? それでは次回は住宅ローンの種類を説明しましょう。まだまだ続きますよ!」
次回もお楽しみに!