狭小住宅を快適にする間取りの工夫とは?【さよさんインタビュー・前編】

2019.06.13 地域ライターE

注文住宅を建てる際、広いおやぜいたくな間取りにももちろん憧れるけれど、「家の広さ」ではなく、予算や立地、メンテナンスのしやすさなどで、「狭小住宅」に注目する人が増えています。

とはいえ、実際に狭小住宅を建てるとなると、間取りについてや、収納が足りるかなどの心配ごともありますよね。今回は人気ブログ「ちいさいおうち」、著書『さよさんの片付け力が身につくおうちレッスン』などでおなじみの整理収納アドバイザー 小西紗代さんに、ご自身が狭小住宅を建てた経験にもとづき「狭小住宅だからこそのメリット」と「狭小克服の工夫」についてお話を伺ってきました!まずはインタビュー前編からお楽しみ下さい。


狭小住宅は、家族が身近に感じられる家

ーー狭小住宅のメリットって、どんなところでしょうか?

まずは、日々のことです。狭いので、お掃除がすぐに終わること!もちろん、掃除がしやすい工夫などもありますが、絶対的な面積はやっぱり狭いほうが楽ですよね。(笑)

次に大きく感じるのは、光熱費が安いこと。部屋が小さければ空調の効きも良いですし、例えばお風呂のサイズでも「足を伸ばせる大きいお風呂、気持ちいいだろうな~」ということは思いつつバスタブが大きければそれだけ水道光熱費が増えるわけです。

費用面で、建てた後に気がついたことですが、「家が小さい=が少ない」のですよね。窓が少ないということは、窓拭きなどのメンテナンスが少ないことにプラスして、カーテン、カーテンレール、網戸など、「絶対的に必要なものが少なくて済む」こともメリットです。最初はどうしても家そのものだけの建築費に目が行きがちですが、トータルコストですから。

同じように、トイレが多かったら、トイレ関連のアメニティが増える、部屋数が多ければクーラーが増える、などの住宅関連設備の費用がかかってくるわけです。

最近、「特に中継器などを使わなくても、Wi-Fiが家中どこにいても使える」ということにも気がつきました。駐車場にいてもメールが確認できます。家を建てた当時にはまったく関係なかったポイントですが。(笑)

ここまでは「現実的なメリット」です。もうひとつは、「狭い分、家族がいつも身近に感じられる」ということですね。子育てをする中で、とても大切なことだと感じます。


モノを増やせないのはデメリット

ーーでは反対にデメリットも教えてください。

これはみなさんだいたい想像がつくと思いますが、「圧迫感があること」「背の低い家具しかおけないこと」「極力物を少なく努めなければならないこと」は設計当時からデメリットとして考えていました。

実際、引越しの際には、食器類など、だいぶ減らしたものもたくさんあります。しかし、「モノを少なく」というのは、狭小住宅に限らない話でもあるかなと。



狭小の間取りで優先したのは「家事動線」

ーー家づくりのなかで「狭小」を克服するためにどんな工夫をされたか教えてください。

3年かけて土地探しをして、やっと希望のエリアに見つけた土地は20坪。もちろん、建坪はもっと小さくなります。建築条件付の土地を購入したため、ハウスメーカーさんは土地の購入時点で決まっていました。もう制約だらけですよね。

家を建てた当時は、幼稚園教諭として働くワーキングママ。もちろん共働きでした。その中で、優先したのは「家事導線」です。もともとマンション暮らしだったので、ワンフロアに家事に必要な水回りが集約されていることの便利さを知っていました。でも、20坪の土地に家族が暮らしていくために、必要な設備を入れていったら、どうしても3階建てにするしかない。

「水周りを集約したいです」としか伝えていなかったはじめの頃、ハウスメーカーの設計士さんが最初に持ってきた図面は、「2階キッチン、1階お風呂」というよくあるプラン。「せっかくの一戸建て。広くて明るいLDKが2階に24畳ですよ!」もちろん、家にいる時間が長い方、広々としたリビングでゆったり過ごされたい方には必要不可欠ですよね。でも、私にとっての最優先事項ではありませんでした。

そこで広々LDKは捨てて、お風呂も2階に上げました。なので、わたしの家のリビング・ダイニングは11畳です。一戸建てにしては狭いですよね。それでも、不自由はありません。狭い分、家具家電を厳選して、極力モノを少なくするように意識したり、収納を工夫した結果、遊びにきていただいたお客さんには「もっと広く感じました」と言っていただけます。

暮らしにあわせて家を変えていく


家事導線を考えた工夫としては、他にも1階に衣裳部屋を作って3階はほぼ収納ゼロにしたり、玄関内にファミリー用玄関をもうひとつ作ったり。20坪というコンパクトな土地ですが、2台分の駐車場もふくめ、必要なものは全て揃っています。

もちろん、今の家は作ったときとまったく同じではありません。当時小学生だった娘たちも、今はそれぞれ大学と高校に進学しました。紙の教科書・テキストが必要だった勉強スタイルから、長女はもっぱらパソコンを利用して勉強するようになっているわけです。そこで、リビングにあった子供用のスタディーコーナーを最近撤去しました。生活が変わったら、家の中もすこしずつ変えていく。そんな風に工夫しながら、「ちいさいおうち」でここちよく過ごしています。

インタビュー後編はこちら!→狭小住宅だからこそのメリット、ご紹介します!(後編)

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小西紗代
開運収納師。整理収納アドバイザー1級、風水鑑定士の資格を取得。Fino株式会社代表取締役。幼稚園教諭だった時に建てた自宅での収納ブログ「ちいさいおうち」が人気を集める。セミナー講師、執筆活動、コンサルティング等でも幅広く活動。情報の整理・活用術として、Evernote コミュニティリーダーとしても活躍。著書『さよさんの「時短家事」スタイル』(三笠書房)
Fino株式会社公式ブログ「ちいさいおうち」Facebook

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この記事を書いた人

地域ライターE

ライター
建築住宅不動産業界担当営業経験10年&旦那が宅建士&父が元造園業経営&義父が不動産業経営! インテリアも整理整頓も大好物のフリーライターがみなさんの家づくりのお手伝いのため取材に走ります