建物のプランを考るための「工法」と「図面」の基本知識!注文住宅・新築一戸建て A to Z 〜Vol.5
シリーズでお届けしている 「注文住宅・新築一戸建て A to Z」。どんな家にするか間取りなどを具体的に考える段階まできたら、はじめに工法の違いを理解しておきましょう! 工法によって、建物プランに制約がかかる場合もあります。また、基本的な図面の種類や図面からチェックできることを知っておくと、プランニングにとても役立ちます。
今回は建物のプランを練るときに知っておくべき、主要な工法と図面の概要をまとめます。
工法その1:プレハブ
「プレハブ」の言葉の由来はPre-fabricated(前もって部品等をつくる)で、家の部材や構造を工場で生産し、建築現場で組み立てる工法です。プレハブで建てられた住宅は、「工場生産住宅」「工業化住宅」「プレハブ住宅」などと呼びます。プレハブ住宅は、品質管理が徹底した工場で生産される部分が多く、品質にばらつきが出にくいのが特徴。建築作業の負荷も軽減されるので、工期が比較的短いのもメリットです。
プレハブ住宅は、素材によって「鉄骨系」「木質系」「コンクリート系」の3タイプに分類されます。壁や天井の下地材、建具、設備まで取り付けた箱型のユニットを工場で生産し、現場でパズルのように組み立てる「ユニット系」というタイプもあります。
工法その2:木造軸組工法
木造軸組工法は、柱や梁で建物を支える日本の伝統的な工法です。
基礎に土台をのせて柱を立て、梁などの水平な木材を渡して骨組みをつくります。壁は木材を斜めに入れる「筋交い(すじかい)」で補強するなどして、木材を組み合わせて建物を支える構造です。
木造軸組工法では柱の位置や長さを思い通りにできるため、間取りやデザインの自由度が高いことがメリットです。筋交いの入った壁以外の場所なら、窓やドアを付ける位置も自由。日本の昔ながらの工法ですが、もちろん洋風の外観にもできます。
工法その3:2×4(ツーバイフォー)工法
2×4(ツーバイフォー)工法は、断面サイズが2×4インチの角材を使用し、床や壁、天井の「面」で建物を支える北米生まれの工法です。
地震や風などの外からかかる力を1カ所に集中させないので、構造の安定度が高いとされています。木材の隙間が少ないので、気密性や断熱性も良好。もっと厚い断熱材を使う「2×6工法」もあります。
「面」で支える工法のため窓やドアの設計には少しだけ制約が多くなりますが、柱による凹凸のないスッキリした空間をつくりやすいのが特徴です。
北米生まれの工法なので欧米風デザインが主流ですが、和風のデザインも可能! 工法がしっかりとマニュアル化されているため、施工会社による品質のばらつきがあまりないのもメリットです。
工法その4:RC造
RC造は、鉄筋コンクリート造の工法。RCはReinforced Concrete(補強されたコンクリート)の略です。
現場で鉄筋を組んで型枠をはめ、コンクリートを流し込んで壁や柱をつくります。鉄筋は引き伸ばす力に強く、コンクリートは押しつぶす力に強いため、高い強度を実現可能。耐用年数が長いのがメリットです。
ただし一般的な工期が7~9カ月程度と他の工法よりも長いこと、コストも高めになることがデメリット。
工法その5:鉄骨造
鉄骨造は、柱や梁を鉄骨でつくる工法です。鉄骨の種類により「軽量鉄骨造」と強度が高い「重量鉄骨造」があります。木造と比べると少ない柱で建てられ、筋交いも不要なので間取りの自由度が高いのがメリット。将来の間取りの変更にも対応しやすい工法です。
ただし重量が大きいので、地盤改良や基礎工事に多くコストがかかるケースもあります。
続いて、図面の種類を見ていきましょう!
図面の種類その1:平面図
平面図は、一番よく目にする「間取図」のことです。
部屋の広さ、配置、それぞれの位置などが分かる平面図では、希望通りの間取りになっているかどうかをチェック!
家族それぞれの生活動線を間取図に線で書き込んでみると、スムーズに暮らせるかどうかがわかります。隣家の窓の位置や、家具の配置、接する道路との関係なども間取図に書き込むとチェックしやすいですよ。
図面の種類その2:立面図
立面図は、建物の四方から外観を示した図面のことです。
玄関のドアや窓、外壁のデザイン、屋根の角度など外観上の配置やデザインがわかる立面図では、配置のバランスなどが思い通りになっているかどうかをチェック!
カラーパースや、CGでの立体画像を作成して見せてくれることもあるので、気になるときは相談してみましょう!
図面の種類その3:断面図
断面図は、建物を縦方向に切断したときの内部の様子を示した図面。
天井、吹き抜け、ロフトなどの高さが一目瞭然! 日差しの角度を書き込むと、日光がどこまで家の中に差し込むかがわかります。
上の図の左は家の中央で、右は洗面室付近を南北に切断した断面図です。窓や天井の高さもチェックしましょう!
図面の種類その4:展開図
展開図は、部屋の中央から壁面の見え方を示した図面です。
部屋ごとに作成される展開図では、ドアや窓の高さと形、収納の位置などがわかります。生活をイメージして、使い勝手が良いかどうかチェック!
図面の種類その5:設備図
設備図は、電気の配線図やガス・冷暖房・給排水設備図の総称。
電気配線図では、屋外から引かれた電気が分電盤から各部屋にどう配線されているか、コンセントやスイッチの位置、照明の位置、LANの配線などがわかります。
特にスイッチやコンセントの位置をしっかりチェックしましょう。家具の配置や、日々の家事効率に大きな影響を与えるポイントです。
図面の種類その6:敷地図
敷地図は、敷地内の建物や庭の配置がわかる図面です。
玄関やカーポートの位置は適切か、隣の家との距離は取れているか、庭の広さが希望通りかなどをチェックしましょう。
道路に面している庭の場合は、通行人からの見え方も考慮して検討しましょう。
まとめ
工法にも図面にもいろいろな種類がありますが、基礎知識を持っているだけでも建物のプランニングがスムーズに進みます! ぜひ参考にしてくださいね。
次回は「新築一戸建て A to Z〜Vol.6 土地を購入する手続き〜」に続きます!
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<参考・参照元>
プレハブ・木造軸組工法を知ろう | 住宅のプラン・工法を練ろう | 注文住宅・土地編マニュアル | SUUMO
2×4工法・RC造(鉄筋コンクリート)・鉄骨造を知ろう | 住宅のプラン・工法を練ろう | 注文住宅・土地編マニュアル | SUUMO
建物構造のRC造やSRC造って何の意味?|株式会社 アイディーホーム
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