地震に強い家を建てるには? 地震の力を面で分散する「耐力面材」とは【メーカーインタビュー】
地震大国・日本で家を建てるなら、無視できないのが建物の耐震性能。どんなにオシャレで住みよい家でも、地震で倒れてしまっては台無しです。
そこで今回は、耐震性能の要ともいえる「耐力壁」に注目。耐力壁に使われる構造用耐力面材のトップシェアメーカー「ノボパン」に、耐力壁のしくみや、より耐震性の優れた家づくりのためのポイントを聞きました。
普段の暮らしでは目にすることも、気にすることもない耐力壁の中身について、家を建てる前にちょっと覗いておきませんか。
建物は、柱や梁、床、そして「耐力壁(たいりょくへき・-かべ)」と呼ばれる建築構造用の壁によって、地震の強い力から守られています。耐力壁は、建物の形や大きさに応じて、必要な量を適正な場所に配置します。
一般的な木造住宅の場合、耐力壁は柱と「筋交い」と呼ばれる部材や、合板を用いた「面材」で建物を倒れないように支えます。
筋交いは“つっかえ棒”のように、面材は壁面全体で地震の力を支えて、耐震性能を実現しているのです。
今回お話を伺った日本ノボパン工業株式会社は、この耐力壁のための構造用耐力面材(構造用パーティクルボード)のトップシェアメーカー。ノボパン製の構造用耐力面材の正式製品名は「novopanSTPⅡ」です。
ちなみにパーティクルボードというのは、木材のチップを加熱圧縮した板のこと。構造用耐力面材としてだけでなく、家具や内装材など幅広く利用されていて、さまざまなメーカーが製造しています。
「耐力壁を面材にすると、耐震性がより高まることが最大のメリットです。木造建築の耐震性の規定として、建築基準法で定められている耐力壁の強さ『壁倍率(かべばいりつ)』というものがあります。一般的な筋交いの耐力壁の強さを基準値2.0として、これに対して何倍の強さがあるかを判断します。ノボパンを使うと、壁倍率は2.5以上になります。さらに、面材を施工する釘の数を増やすことで、もっと上げることも簡単にできます(上限5.0倍)」(服部さん、以下同)
耐力壁を面材にすることで、耐震性能が格段にアップするのですね。さらに、面材工法だと建築現場でのメリットもあるのだとか。
「プレカット工場でパネル化し、現場では簡単に取り付けるだけということも可能になり、職人の省力化、工期の短縮にもつながります。また、断熱材を壁の中にしっかりと納めやすいということも面材のメリットですね。ノボパンも、断熱材も、適切に施工されて初めてその性能を発揮できます。施工のしやすさは、耐震性能をきちんと確保するために欠かせないポイントです」
一方、デメリットとしてはコスト面。面材の場合、壁の厚さを建物全体で統一するために、耐力壁だけでなく建物の外周すべてに貼ることになるので、費用は高くなる傾向のようです。
ノボパンの名は、1942年にスイスのフレッド・ファルニー博士が発明したパーティクルボードの製造方法「ノボパン法」に由来します。
ラテン語の“新しい”を意味する「ノボ」と、英語の“パネル”を意味する「パン」を組み合わせた造語で、直訳すれば“新しい板”という意味。一国一会社で販売していた特許を、ノボパン創業者が取得したことから日本でのノボパンの歩みは始まりました。
「山林業を営んでいた創業者が、製材時に出る端材・廃材の利用先としてノボパンを作り始めたのがスタートです。現在では、木造住宅の解体木材、新築現場やプレカット工場の廃材などがメイン原料となっています。製造方法も、技術の進歩に伴って発明当初の方法からは進化した方法に変わっています」
廃材をリサイクルして作られているノボパン。製造工程を、おおまかに教えていただきました。
板ができたら製品サイズにカットして、厳格な検査を経て出荷されます。
製造工程で「接着剤」を使っているため、気になる方もいらっしゃるかもしれません。かつてシックハウスといって住宅建築に使用された化学物質・ホルムアルデヒドによる健康被害が問題となりましたが、ノボパンの耐力面材に使用されている接着剤はホルムアルデヒドを使っていないノンホルムアルデヒドタイプですので、心配はありません。
「『novopanSTPⅡ』は、国土交通大臣認定かつ、建設省告示の指定を受けた構造用パーティクルボード。地震の水平方向の力に強いパーティクルボードの特性を生かして、建物の優れた耐震性能を支えます。また安全性においても、ホルムアルデヒド放散量を示したJIS・JASの安全等級の最高ランク『F☆☆☆☆(エフフォースター)』に認定されています」
そのためノボパンでは、エネルギーコストを下げる取り組みとして製造工場では、2007年より使えない木質チップを活用したバイオマス発電で工場内で必要なエネルギーを自家発電で賄っているのだとか。
「ノボパンの原料は、建築廃材を主な原料としていますがどうしても原料として使えない部分が出てきます。そのような製品には使えない部分でも、最後まで使えるようにしたいという思いと、大量に必要なエネルギーコストを下げたいということからバイオマス発電を始めました」
建築廃材を原料とし、製造工程ではバイオマス発電でエネルギーまで生み出しているノボパン。肝心の耐震性能についても、製品の性能テストにこだわり、豊富な試験結果データに基づく地震に強い家づくりを可能にしています。
「京都大学の中川貴文先生が開発された木造住宅倒壊解析ソフトウェア『wallstat』を使って、過去に起こったさまざまな大地震の揺れをソフト上でシミュレーションし、建物の状態を解析することができます。解析に必要なデータは公開しています」
確かな性能とそれを証明するデータ、そして現場での施工のしやすさ。設計士や、施工現場の職人から選ばれるトップシェアメーカーたるゆえんなのかもしれません。
製品性能は確かなノボパンでも、貼り方や釘の打ち方など施工に問題があればその優れた性能は発揮できません。家を建てる際は、しっかりと施工してもらえる、信頼できる建築業者を選ぶことが地震に強い家づくりの第一歩といえるのでしょう。
https://www.novopan.co.jp/
>>快適性も安心も価格もいいとこ取りの住まい!人気の設備が標準仕様になった注文住宅<ブラーボ>とは?
そこで今回は、耐震性能の要ともいえる「耐力壁」に注目。耐力壁に使われる構造用耐力面材のトップシェアメーカー「ノボパン」に、耐力壁のしくみや、より耐震性の優れた家づくりのためのポイントを聞きました。
普段の暮らしでは目にすることも、気にすることもない耐力壁の中身について、家を建てる前にちょっと覗いておきませんか。
<お話を伺った方>
日本ノボパン工業株式会社 服部和生さん
日本ノボパン工業株式会社 服部和生さん
住宅の耐震性能の要「耐力壁」
まずは住宅の耐震構造について、おさらいしておきましょう。建物は、柱や梁、床、そして「耐力壁(たいりょくへき・-かべ)」と呼ばれる建築構造用の壁によって、地震の強い力から守られています。耐力壁は、建物の形や大きさに応じて、必要な量を適正な場所に配置します。
一般的な木造住宅の場合、耐力壁は柱と「筋交い」と呼ばれる部材や、合板を用いた「面材」で建物を倒れないように支えます。
筋交いは“つっかえ棒”のように、面材は壁面全体で地震の力を支えて、耐震性能を実現しているのです。
今回お話を伺った日本ノボパン工業株式会社は、この耐力壁のための構造用耐力面材(構造用パーティクルボード)のトップシェアメーカー。ノボパン製の構造用耐力面材の正式製品名は「novopanSTPⅡ」です。
ちなみにパーティクルボードというのは、木材のチップを加熱圧縮した板のこと。構造用耐力面材としてだけでなく、家具や内装材など幅広く利用されていて、さまざまなメーカーが製造しています。
住宅の耐力壁を「面材」にするメリットとは?
耐力壁には、筋交いや面材など工法にいくつかの選択肢があります。面材を選ぶと、どういったメリットがあるのでしょうか?「耐力壁を面材にすると、耐震性がより高まることが最大のメリットです。木造建築の耐震性の規定として、建築基準法で定められている耐力壁の強さ『壁倍率(かべばいりつ)』というものがあります。一般的な筋交いの耐力壁の強さを基準値2.0として、これに対して何倍の強さがあるかを判断します。ノボパンを使うと、壁倍率は2.5以上になります。さらに、面材を施工する釘の数を増やすことで、もっと上げることも簡単にできます(上限5.0倍)」(服部さん、以下同)
耐力壁を面材にすることで、耐震性能が格段にアップするのですね。さらに、面材工法だと建築現場でのメリットもあるのだとか。
「プレカット工場でパネル化し、現場では簡単に取り付けるだけということも可能になり、職人の省力化、工期の短縮にもつながります。また、断熱材を壁の中にしっかりと納めやすいということも面材のメリットですね。ノボパンも、断熱材も、適切に施工されて初めてその性能を発揮できます。施工のしやすさは、耐震性能をきちんと確保するために欠かせないポイントです」
一方、デメリットとしてはコスト面。面材の場合、壁の厚さを建物全体で統一するために、耐力壁だけでなく建物の外周すべてに貼ることになるので、費用は高くなる傾向のようです。
ものすごくサステナブル! エコな製品「ノボパン」
面材で耐力壁をつくることで、優れた耐震性能が得られるということがわかりました。でも面材のなかでもノボパンが選ばれる理由とは何でしょうか。まずは、ノボパンの正体を探ってみましょう。ノボパンの名は、1942年にスイスのフレッド・ファルニー博士が発明したパーティクルボードの製造方法「ノボパン法」に由来します。
ラテン語の“新しい”を意味する「ノボ」と、英語の“パネル”を意味する「パン」を組み合わせた造語で、直訳すれば“新しい板”という意味。一国一会社で販売していた特許を、ノボパン創業者が取得したことから日本でのノボパンの歩みは始まりました。
「山林業を営んでいた創業者が、製材時に出る端材・廃材の利用先としてノボパンを作り始めたのがスタートです。現在では、木造住宅の解体木材、新築現場やプレカット工場の廃材などがメイン原料となっています。製造方法も、技術の進歩に伴って発明当初の方法からは進化した方法に変わっています」
廃材をリサイクルして作られているノボパン。製造工程を、おおまかに教えていただきました。
- 切削~原材料の木質チップを細かくする
- 乾燥~水分含有率3%になるまで乾燥
- 分級~3層構造の表層用(細かい)・中間層用(細長い)にチップの大きさを分別
- 糊付・散布~チップを広げてサンドイッチのようなマットをつくる
- 圧縮~高温・高圧のプレスで圧縮して板のできあがり
板ができたら製品サイズにカットして、厳格な検査を経て出荷されます。
製造工程で「接着剤」を使っているため、気になる方もいらっしゃるかもしれません。かつてシックハウスといって住宅建築に使用された化学物質・ホルムアルデヒドによる健康被害が問題となりましたが、ノボパンの耐力面材に使用されている接着剤はホルムアルデヒドを使っていないノンホルムアルデヒドタイプですので、心配はありません。
「『novopanSTPⅡ』は、国土交通大臣認定かつ、建設省告示の指定を受けた構造用パーティクルボード。地震の水平方向の力に強いパーティクルボードの特性を生かして、建物の優れた耐震性能を支えます。また安全性においても、ホルムアルデヒド放散量を示したJIS・JASの安全等級の最高ランク『F☆☆☆☆(エフフォースター)』に認定されています」
製造工場では、使えない原料でバイオマス発電
パーティクルボードの製造には、乾燥させるための熱、プレスするときの熱など、とても多くのエネルギーが必要になります。そのためノボパンでは、エネルギーコストを下げる取り組みとして製造工場では、2007年より使えない木質チップを活用したバイオマス発電で工場内で必要なエネルギーを自家発電で賄っているのだとか。
「ノボパンの原料は、建築廃材を主な原料としていますがどうしても原料として使えない部分が出てきます。そのような製品には使えない部分でも、最後まで使えるようにしたいという思いと、大量に必要なエネルギーコストを下げたいということからバイオマス発電を始めました」
建築廃材を原料とし、製造工程ではバイオマス発電でエネルギーまで生み出しているノボパン。肝心の耐震性能についても、製品の性能テストにこだわり、豊富な試験結果データに基づく地震に強い家づくりを可能にしています。
「京都大学の中川貴文先生が開発された木造住宅倒壊解析ソフトウェア『wallstat』を使って、過去に起こったさまざまな大地震の揺れをソフト上でシミュレーションし、建物の状態を解析することができます。解析に必要なデータは公開しています」
確かな性能とそれを証明するデータ、そして現場での施工のしやすさ。設計士や、施工現場の職人から選ばれるトップシェアメーカーたるゆえんなのかもしれません。
製品性能は確かなノボパンでも、貼り方や釘の打ち方など施工に問題があればその優れた性能は発揮できません。家を建てる際は、しっかりと施工してもらえる、信頼できる建築業者を選ぶことが地震に強い家づくりの第一歩といえるのでしょう。
日本ノボパン工業株式会社とは
1956年設立。2007年、『novopan STP II』が独自に耐力壁の国土交通大臣認定を取得。2018年には、告示改正により建設省告示1100号および国土交通省告示1541号で「構造用パーティクルボード」の指定を受ける。wallstat認証建材https://www.novopan.co.jp/
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家族が安全に、快適に過ごせる家を建てるには?
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